ギター弾き比べの儀


<追記修正あり>
昨日の夕方ギター弾きの知人から「与太さん、あしたヒマ?」とのメール。毎日が日曜日というほどじゃなけど、ヒマだよ~んと返信。それじゃ…というわけで、その知人が最近買ったという新しい楽器を引っさげて遊びに来た。予報はずれて好天の週末土曜日。拙宅の方寸道楽部屋にてアレコレ弾き比べの儀と相成った。


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知人が持参したのは以前から持っているラミレスと、最近手に入れたというケヴィン・アラムの新作。ぼくの手持ちを含めて狭い部屋にギターを広げて品定め。備忘のために知人が持参した楽器のインプレッションを記しておこう。

■ホセ・ラミレス3世1986年作
東京のギター販売店老舗F社がラミレス工房に注文したオリジナルモデル。聞くところによれば、当時15台を注文し、F社スタッフが現地で材料選定にまで関わって、ワンランク上の材料を使ったとのこと。持参したギターはその中の1台。表板は杉、横裏板は真性ハカランダ、弦長664mm。外形、デザイン等は通常のモデルと変わらない。ぼくの1978製と比べると、グレードの高い表板、横裏のハカランダ材の効果もあってか、特に高音がツーンと抜けるように鳴る。ラミレスでときに不足を感じる6弦ローポジションのボリューム感も十分で、総合点の高いギター。ラミレスは当時世界中であまりに沢山売れてたことから、少し出来のいい量産品という言葉と共に低い評価が与えられがちだが、どうして、さすがの貫禄。昨今はその大量に売れた時期の楽器が放出期を迎えたこともあって中古品の出物も多いのだが、製作年が80年代中庸までで、横裏板ハカランダ、さらに弦長650mmのモデルで状態のよいものがあれば、お買い得の楽器だ。

■ケヴィン・アラム2016年作
英国の製作家ケヴィン・アラム(1949-)による、松・ハカランダの新作。ケヴィン・アラムのギターは、十数年前のギター再開に際して楽器を物色した際、有力候補だったもので、それ以降、現在まで常に憧れをもって眺めてきた楽器だ。きょうはゆっくり音と姿を検分。
弦長はスタンダードな650mmながら弾き手の身体と手にスッと馴染む軽く小型のボディサイズ、トーレス・ハウザー系のコンパクトなヘッド、つや消しの極薄オイルフィニッシュ、スムースで柔らかな巻き心地のロジャース製糸巻き…いずれもこの製作家のものとひと目でわかるビジュアルだ。音もその印象通りに、フレンドリーで弾き手をリラックスさせるように鳴る。長年トーレスやハウザー1世系等の音作りを継承し、低音のウルフはF#付近にあって、6弦ローポジションはドンッとお腹に響く。中高音はポーンとはじけるように立ち上がり、すっきりと倍音の少ない音とやや短めのサステインは、余計な響きを残さずに収束する。その結果、音数の多い曲を弾いても、各声部の混濁が少なく、消音が楽で次のフレーズに集中できる。

知人の愛器2本。褐色のラテン美女:マダム・ラミレスと、色白清楚なケヴィン・アラム嬢。あらゆる部分で対照的なこの2本があれば全方位に対応可能と感じた次第。

<弾き比べ関連記事>
※英豪系ギター名器の弾き比べ
http://guitarandmylife.blog86.fc2.com/blog-entry-351.html
※ハウザーモデル比較試奏
http://guitarandmylife.blog86.fc2.com/blog-entry-187.html

ケヴィン・アラムの紹介


ケヴィン・アラムのギターを使った演奏三題。
アントン・ディアベリ<バルカローレ>


イサーク・アルベニス<アストリアス>


モレノ・トローバ<トリーハ(哀歌)>



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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