最近弾いたギター 2016年初冬


師走12月。業務ほどほどにひっ迫。溜め息をつくほど忙しく、うんざり…という状況ではなく、マア、こんなもんかなと合点しつつ本日も終了。きのうの寒さがいくらかゆるんだ中、8時少し前に帰宅した。
実は先週と今週、久々にギター試奏で都内楽器店へ。行き先は某恵比寿方面。たまたま仕事のついでに近くまで行ったので…(もちろん、どちらがついでかあやしいのだが)。2回とも平日の夕方5時過ぎに店に伺い、閉店前の1時間ほど、アレコレ気になった楽器を弾かせてもらった。以下はそのインプレッション。印象の良かったものだけを記しておくことにする。


201612_Nakano_Jun_Hauser.jpg


◆中野潤 2006年作 ハウザー1937年レプリカ
松本在住の製作家中野潤氏による作品。セゴビアが壮年期に愛用したハウザー1世作の楽器を忠実にフルコピーしたもの。表板は松、横裏は中南米ローズ。ネックとヘッドはVジョイント。中野氏についてはあらためて記すこともないだろうが、21世紀になった頃から評判になり、伝統的手法で細部にまでこだわったギター作りで人気の製作家だ。特に華やかな装飾やトルナボスを再現したトーレスレプリカが有名だが、このハウザーモデルも派手な装飾こそないが、細部にまで神経の行き届いた作りが実感できる。手元にあるオルディゲスのハウザー1世モデルと比べると、ずっと音に締まりと緊張感がある。高音ははっきりと突き抜けるように鳴り、低音はF#あたりのウルフを中心にたっぷりと鳴るが、芯のある音で、総じてすべての表現が明確になる印象。音量は十分。ハウザーらしいややコンパクトなボディーと形のいいネック裏形状で、弾き易い。

◆ペドロ・(コントレラス)・バルブエナ 2006年
60年代ラミレス工房ではその作品にスタンプ<PC>を付していた名工バルブエナ。ラミレス工房を出てからは、アルカンヘルやアグアドの影響なども受けながら製作を続けていたが、惜しくも2007年に急逝した。現在は息子が跡を継ぎ、同じペドロ・バルブエナ名で製作を続けている。今回弾いた楽器は亡くなる前年2006年の作。表板:松、横裏:ハカランダ。いずれも良材が使われている。見た目は両肩がなだらかに下がった、いかにもマドリッド派風のビジュアル。音も見た目の印象そのままに、中高音の切れがよく、同時にも低音の量感も不足ない。製作から10年しか経っていないが、まるで半世紀くらい経過したような枯れた味わいの音で、好印象だった。

◆アントニオ・マリン 1994年
もはや長老のマリン父の作品。1994年作というから、マリンファミリーの知名度も今ほどではなかった時代のもの。表板:松、横裏:ハカランダ。弦長は標準的な650ミリだが、指板幅がほんのわずか広いことと、ネックの仕上げが扁平であることから、手にした第一印象がやや大型の楽器に感じた。音は最近のマリン作品のような華やかさはなく、ゆったりと落ち着いた音、くつろいだ音で鳴る。といっても、音の出がにぶいわけではなく、右手への反応も軽く、レスポンスも早い。20年の年月を経ているためか、上記のバルブエナ以上に枯れた色合いの音。日頃ハウザー系の楽器を好むぼくにとっては、ゆったりと緊張を解きほぐすような鳴り方は中々魅力的だった。

◆松井邦義 2016年 バルベロ1世モデル
町田市在住のベテラン:松井氏バリバリの新作。表板:松、横裏はハカランダ。このハカランダが実に見事。以前使っていた中出敏彦氏の最上位モデルを思い出した。さらに糸巻きにはアレッシと、力が入っている。音はいかにも出来たてホヤホヤで、高音も低音もカリカリっとした鋭敏な反応。特に高音の鳴り方は鋭く明瞭。低音はまだまったく緩みのない音だが、少し弾き込んで楽器全体がほぐれてくると、とてもいいバランスになるのではないかと予感させる。


もちろん他にも魅力的な楽器もあったが、ぼく自身の嗜好もあって、ひとまず上記4本のインプレッションに留めておく。近年はハウザー1世、ロマニリョス系の音が好みで、いわゆる近代スパニッシュの王道のもいうべきマドリッド派の楽器にはあまり感心がなかった。しかし、今回のバルブエナや以前も何度か出くわしたアルカンヘル、アグアドなどを弾いてみると、アルカンヘルのような透明感あふれる高音と、アグアドのようの近代的でありながらヴィンテージ風の味わいもほどほどに感じるような楽器にも、やはり独自の魅力を感じて心惹かれる。…とはってもいずれも状態のよいものとなると高級車相当の対価。話だけならいいが、その先には中々進まない。


今回弾いた楽器とは関係はないが、名器で奏でる和み系三題。例のGSIのYOUTUBEチャンネルから。

状態のいいフレタも弾いてみたい。クリコヴァの演奏。


同チャンネルにある名手:テイコルツの演奏。ミゲル・ロドリゲス1970年作


アンドリュー・ヨーク、トーレスを奏でる。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

テレサ・テン つぐない


さて今週も始まりましたよ。師走最初の月曜日。関東地方は少し前までの寒波は遠のき、このところ暖かい日が続く。きょうも20℃近くまで気温上昇。風もなく小春日和。帰宅後、きのう作ったカレーで豪華ディナー。飴色たまねぎの効果めざましく、コクのある甘味。3割ほどミックスした辛口ルーもピリッと効いて美味至極。美味しくいただきました。 さて、一服して音盤タイム。今夜も昭和歌謡が続きますぅww。


201612_Teresa_Teng.jpg


今から十数年前。2000年から2003年の間、仕事で中国や香港を何度か訪れた。夜の食事を終えるとカラオケバーへ。現地でのテレサ・テン人気は大そうなものだった。彼女の歌を誰かが歌うとヤンヤの喝采。そんなにいいのかと、その後2枚組みベスト盤を手にして聴いてみると…ケッコーいいじゃん。というわけで、にわかファンに。彼女の数奇な運命についてはよく知らず。 三木たかし作曲のメロディーと荒木とよひさの歌詞。<つぐない><空港>…今どきはこんなのありねぇ~!というような歌詞だが、これぞ昭和歌謡の王道。渋茶をやりつつ初冬の夜は更けていくのでありました。


<つぐない> この曲のポイントは倚音(いおん)と増5の和音。歌い出しフレーズの音は倚音(いおん)で構成され、きわめて印象的。そしてフレーズのつなぎ目には増5度和音(aug)を巧みに配して、変化をつけている。


<空港> これぞ昭和歌謡。トランペットのイントロメロディー。


<愛人> 曲名からして今ではありえない。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

与太、カレーを作る


12月最初の週末日曜日。午後三時を過ぎたところで、おもむろに台所へ。ふと思い立ってカレーを作ることにした。今どきカレー男子も多士済々と思われるが、きょうはいたって普通、イージーかつジャパニーズな昭和カレー。こだわりといえば、飴色たまねぎとルーの選択。ごく普通、でもおいしい!さて、首尾はいかに…

First of all…たまねぎ5個(通常のレシピの倍)のみじん切りを炒める。30センチのフライパンは満杯状態。最初は中火で。
DSCN5419 (560x560)

30分後。少し色付いて量も半分ほどに減る。弱火に落とす。
DSCN5426 (560x560)

さらに30~40分ほどでこんな感じの飴色に。冷凍保存OK。焦がしたらアカン。目を離さないこと。
DSCN5438 (560x560)

鍋に水600cc、炒めたたまねぎ、きのこ類(しめじ、まいたけ等をネットに入れ、1時間ほど干してうま煮を増したもの)を加えて、コトコト始める。あせらず弱火で。
DSCN5449 (560x560)

空いたフライパンで人参(中1本イチョウ切り)と肉(250~300グラム)を炒める。塩と胡椒少々。肉はお好みで…でも、チキンが美味しい。鶏モモ肉の皮と脂は取り除く。スッキリかつヘルシーに。じゃがいも(大2個乱切り)も加えてほどほどに炒めたら、鍋に移して合体コトコト。やはりあせらず弱火で。じゃがいもに楊枝を挿してスッと通れば基本OK。火を一旦止めてルーを加える。
DSCN5447 (560x560)


カレールーの本命はこれ。エバラ食品の<横濱舶来亭カレーフレーク>。「こだわりの中辛」と「BLACK辛口」があるが、まずは中辛を。一般的なスーパーの棚に並ぶカレールーの中ではダントツと断言したい。ほぼ同等の美味しさのルーとしては、写真右の二つをあげる。PIZZA HOUSEすぴなっつおら<ホテル用カレールー・中辛>株式会社エル・トゥ・エムのカレールー。この二つは、いわゆる自然派食品の店にある。通販もOK。フレーク状のルーを加え、一旦止めていた火を再び着けてごく弱火に。静かにかき混ぜつつ、とろみの加減をみながら少し水を加える。
DSCN5451 (560x560)  DSCN5453 (560x560)

さて出来上がり。気になるお味は…。 残念でした。ここ火を止め、ひと晩おく。お楽しみはあすの食卓で。もちろんすぐに食べてもおいしいが、一日おくとグッとうま味がマスダアケミ。この時期なら北向きの部屋の片隅にでもおいてオヤスミナサイ…
DSCN5460 (560x560)


以上、ポイントは…
・カレールーのレシピに書いてある水や材料の量を忠実に守ること。適当にやらない。
・但し、たまねぎだけは倍の量を飴色になるまで炒める。
・きのこ類はネットに入れて短時間でも天日干し。うま味がグッと増しますル~大柴。
・きのこ、人参は水から煮る。
・カレールーの投入は鍋の火を止めて。
・水は最初やや少なめで始め、出来上がりの最後に少し足して調整。
・ひと晩おいて、うま味熟成<秋・冬>仕様。

…というわけで本日は、<与太、カレーを作る>の巻でありました。


★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

中森明菜 <Lyricism>


12月に入って最初の週末金曜日。仕事の区切りがよかったので定時少し前に退勤。あすは休みという気安さもあって、少々弛緩した夜。今夜はこの盤で和もう。


201612_Akina_Lyricism.jpg  201612_Akina.jpg


久々に取り出した中森明菜のアルバム<Lyricism>。1993年に出たベスト盤(中森明菜非公認といういわく付き)で、バラードばかり14曲が収められている。収録曲は以下の通り。

 1. Ever Lasting Love
 2. SO LONG
 3. 難破船
 4. 忘れて・・・
 5. APRIL STARS
 6. 夢を見させて・・・
 7. ムーンライト・レター
 8. まぶしい二人で
 9. 雨が降ってた・・・
 10. ノット・クレイジー・トウ・ミー
 11. バレリーナ
 12. 予感
 13. 感傷紀行
 14. 駅

彼女の歌うバラードはやはり素晴らしい。キーは低いが透明度の高い声が静かに部屋に流れる。近年彼女がリリースしているカヴァーアルバムに通じるコンセプトのアルバムだ。
「難破船」…悲劇的で暗示的なイントロ、中間部のオーケストラアレンジ間奏の盛り上がり、いつ聴いても涙ものだ。上田知華作曲の「雨が降ってた…」や飛鳥涼作曲「予感」、谷村新司作曲「感傷旅行」も歌謡曲王道の曲構成とコード進行ながら、その定石的展開が心を打つ。そして何といっても名作・名唱「駅」。作者の竹内まりあが歌っている動画がYouTubeにあったが、まったく別物の曲だった。「駅」は中森明菜に限るだろう。さりげないメロディーがさりげない日常的な光景を描き、同時に人生の断面を切り取る。ポピュラーソングの醍醐味ここに極まれりだ。


<難破船>


<駅>


相変わらず根強いファンの支持がある中森明菜。つい先日、彼女の新しいカヴァーアルバム<Belie>がリリースされた。<高音質CD+アナログ盤>なんていうパッケージもあって、ちょっと触手がのびチャウのだ。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
11 | 2016/12 | 01
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)