2016年回顧 <覗機関編>


年末恒例本年回顧。ブログタイトルをなぞって<音曲編><六弦編>に続き、きょうは<覗機関=のぞきからくり編>。覗くためのからくり…まあ、オーディオって感じですかね。


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…と記事タイトルを立てたものの、今年はオーディオ関連の出入りは一切なし。2015年にスピーカーをアヴァロンに入れ替えてからは不動のセットアップが継続中だ。

 アンプ:ラックスマン L-570
 CDプレイヤー:ラックスマン D-500
 SACD/CDプレイヤー:デノン DCD-1500SE
 アナログプレイヤー:CEC ST930
 カートリッジ:オルトフォン SPU-G
 スピーカ:アヴァロン ECLIPSE
 ヘッドフォン:ゼンハイザーHD800ソニーCD-900ST
 イヤフォン:シュアSE535
 ヘッドフォンアンプ:フォステクス HP-A7

そもそも最近はまともにスピーカーを鳴らす機会が減った。与太ブログを書いたりネットを覗いたりしながら、PC付属のドライブにCDを入れてそのままヘッドフォンリスニングということが多い。オーディオ的には及第点に届かない構成だが、うるさいことを言わなければ深夜のチョイ聴きにはオッケーのレベルだ。アヴァロンと対峙して聴くときには、もちろん音楽を楽しむことに違いはないが、アヴァロンが提示する音場感に浸るのが主目的になってきた。オーケストラはもちろんミニチュアサイズだが、左右の広がり、前後方向の奥行きなど、実際のステージをイメージして聴く。ピアノやチェロ、ギターなどの器楽曲は、少し音量を上げれば、実際の楽器を目前にする感じにかなり近く、リアリティ満点だ。

スピーカーの解像度や音場感が向上すると、音盤に刻まれた情報にはまだ奥があるのではないかと<欲>が出てくる。そんな欲がゆえに、オーディオの泥沼にずぶずぶと沈みこむ輩も多いわけだが、その気持ちも理解できる。理解は出来るが、それを具体化するためには相当は財政出動が必要。そこで逡巡、停滞、撤退、突進…と分かれることになる。この1年、アヴァロンを生かすためには、やはりアンプとプレイヤーの入れ替えが必要かと思いつつも、アンプで音なんて変わらんよ…という気持ちもあって迷っている。具体的にはアキュフェーズのプリメインかセパレートが候補なのだが、どうしたものかと思案しながら1年が過ぎた。いじいじ迷っているのも精神衛生上よくないのは明らかで、来年は一気に突進しようかと考えているが、どうなるか。


☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆

さて、今年もいよいよ押し詰まり、残すところわずか。代わり映えのしない本ブログの与太記事にお付き合いいただき、まことにありがとうございました。年内更新はこれにて終了。年明けには装いも新た…にはならず、またマンネリMAXでスタートの予定です。引き続き、アクセス、コメント、バナークリック、拍手等、よろしくお願いいたします。最後にこれも年の瀬恒例の長講一席。冬の噺<二番煎じ>を貼って本年最後の記事といたします。 それではみなさま、よいお年を!


2001年に急逝した志ん朝は若い頃ドイツ語を学び、大のクラシック音楽ファンでもあった。



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2016年回顧 <六弦編>


本年回顧<音曲編>に続き、きょうは<六弦編>。マイ・ギターライフを振り返る。
クラシックギターを始めたのは1970年高校一年のときだから、足掛け四十年余ということになる。といっても長いブランクもあり、本格再開したのは50歳になってからのこと。再開後は遅れてきた道楽バブルよろしく、楽器調達に他流試合にと楽しく過ごしてきた。幸い、若い頃に比べて指が動かなくなったという感じはない。当時弾けたものは今も弾ける、弾けなかったものは今も弾けない。しかし還暦オーヴァーとなった今、それもいつまで続くか。短時間でも毎日楽器に触れるようにしたいと思うが、中々それもできずいる。


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◇チョイと宅録◇
今年は何度か宅録を実施。初見+アルファで何とかなる小品やエチュードを弾いてみた。あちこちで見聞きした受け売りのブログ記事など書いているよりは、下手でも演奏録音のアップの方がずっとオリジナリティーがあるだろう。録音して聴いてみると、自分が意識せずに弾き飛ばしているところ、意識しているが理にかなっていないところなど、よくわかる。楽器弾きは録音すべし。実はごく最近、数曲録音したのだが、うっかりミスでデータを消去!近いうちに気を取り直して再録音予定。

カルカッシ:作品60(25のエチュード)より
第1番
第2番
第3番
第10番
第12番
第13番
第14番

佐藤弘和:48の小品集より
<思い出 Remembrance>
<聖ヴァレンタイン・ワルツ St.Valentine Waltz>
<メランコリー Melancholy>
<家路 Homeward>
<子守唄 Lullaby>
<パストラーレPastorale>
<前奏曲 Prelude>
<悲しいワルツ Sad Waltz>
<夏の朝 Summer Morning>


◇アンサンブル◇
2011年からmixiの集まりに時々出向いて下手なソロや旧友Y氏のギターとのデュオを楽しんできたが、このところmixiはご無沙汰。一方で以前から、ヴァイオリンやチェロ、フルートとのクラシカルなアンサンブルをやりたいという気持ちがあったのだが、運よく三年ほど前に、チェロ弾き、フルート吹きのハイアマチュア2名と知り合い、ときどき合わせる機会を持つに至った。残念ながら今年はぼくの個人的な事情で全員集合はなかったが、来年は三月末に、チェロ相方が予定している本番のヴィヴァルディ:チェロソナタ第1番変ロ長調に通奏低音で参加予定。久々のアンサンブルが楽しみだ。

以下は昨年までのアンサンブル演奏音源。
-チェロとのデュオ-
メンデルスゾーン<無言歌>作品109(抜粋)
エルガー<夜の歌>(抜粋)
ジャズ・ボッサの定番<ブルー・ボッサ>(抜粋)
-フルート、チェロとのトリオ-
ピアソラ<チキリンデバチン>
ピエール・ジャン・ポッロ(仏1750–1831)の三重奏曲。モーツァルトのヴァイオリンソナタK.304を元曲にしたもの。
-フルートとのデュオ-
イベール<間奏曲>(抜粋)


…というわけで、今年の述懐<六弦編>のあれこれ。楽器探しの放浪も一旦終息し、長期安定の見込み(ホントに?)。アンサンブルに関しては相手に恵まれながら、ぼくの個人的事情でお誘いに応じられていない状況だが、アンサンブルはソロ演奏よりずっと楽しいもの、来年は何とか時間を作ってトリオやデュオで遊ぶ機会をもちたいと思っている。


以下の本ブログのギター関連記事リンク。
◇ギター工房訪問記◇
庄司清英(大阪)
野辺正二(浦和)
中山修(久留米)
堤謙光(浦和)
廣瀬達彦/一柳一雄・邦彦(名古屋)
松村雅亘(大阪)
西野春平(所沢)
田邊雅啓(足利)
田邊工房2014年

◇本ブログのギター関連カテゴリー◇
カテゴリー<楽器談義>
カテゴリー<ギター全般>
カテゴリー<演奏録音>


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2016年回顧 <音曲編>


今年も残すところ数日となった。
マンネリMAX、与太記事続きの本ブログだが、例年通り、年の終わりのまとめとして本年述懐をしておこう。ブログタイトル<六弦音曲覗機関:ろくげんおんぎょくのぞきのからくり>の成り立ちより、本日はまず<音曲編>を。去年の述懐とほとんど変わらない状況に、我ながら進歩のなさと加齢を実感する。

さて、今年2016年は270本の記事を書き、その中でおそらく200枚程の音盤を取り上げた。10月にはブログ開始から6年が経過し7年目に入った。記事の総数はまもなく1500。記録していないので定かでないが、この間、記事にした盤は1000枚を下ることはないだろう。昨年あたりからそうであが、音盤棚の目に付くところにある盤は大体取り上げたかもしれない。全在庫4000枚余の確認を記事にしていると一生続きそうになるが、そう意識して確認するつもりもないし、土台無理な話だ。もちろん新たな音盤購入は皆無といっていい状態だし、中古レコード店巡りはもうやるつもりはない。魅力的ながらCDのボックスセットに付き合うのもそろそろ止めにしようと考えている。…といった舌の根も乾かぬうちにナニではあるが、わずかながら新規調達もあった。


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まず大物はショルティのワグナー録音を集めた36枚組ボックスセット。ウィーンフィルとの指環が御目当てで、そのセットもあったが、この際だからと、ワグナーの主要作品を集めたセットにした。 『トリスタンとイゾルデ』、『タンホイザー』、『パルジファル』、『マイスタージンガー』、『さまよえるオランダ人』、『ローエングリン』そして『ニーベルンクの指環四部作』。さらにボーナスCDとして『トリスタンとイゾルデ』の全体リハーサル、ピアノ・リハーサルや、出演者のディスカッションも含むレアな音源と150ページほどのブックレットが付く。『さまよえるオランダ人』のみシカゴ響。他はウィーンフィル。いずれも英デッカ黄金期の高音質のセッション録音。これで9千円余はもってけ泥棒状態。かつてのLP時代を知るものには隔世の感ありだ。 ワグネリアンでもないのに<指環>だけでもこれで3セット目になる。バイロイトでのライヴを集めたセットと、ノイホルト指揮バーデン歌劇場でのライヴ録音。そして今回のショルティ盤。もちろん抜粋盤は他にもいくつかあって、「ちょっとワグナー気分」というときは抜粋盤のお世話になることが多い。しかし、ショルティ&VPOの指環はワグナー録音の金字塔としてやはり持っておきたいとの気持ちに抗し切れなかった。まとめて聴くほどのゆとりもないが、時折取り出して、その圧倒的な音響とオーケストラのプレゼンスに酔いしれている。

次はR・シュトラウスのセット二組。まずルドルフ・ケンペ指揮SKDによる管弦楽全集9枚組。これは十年ほど前に出たEMI盤緑色のボックスセット時代から手に入れたいと思いながら、何となくスルーしていたもの。EMIがワーナーに組み入れられたこともあって、今回ワーナーレーベルで新装発売となった。演奏・録音とも常に絶賛されるケンペ最大の遺産といえる録音だ。ついでにR・シュトラウスの室内楽集のセットも手に入れた。

ベルガンサがスペイン物を歌っているセットは、もちろん彼女の歌が主役だが、一部の曲で伴奏を付けている指揮者へスス・ロペス・コボスにも興味があったもの。

サイモン・ラトルとウィーンフィルによるベートーヴェン全集は、たまたま立ち寄ったTWRで投売りされていた。2000円のプライスタグにひかれて購入。元々EMIから出ていたものだが、こちらも2013年EMIの身売りに伴い、ジャケットにはEMIに代わってWARNER CLASSICSのロゴが入っている。折りしもラトルとベルリンフィルによるベートーヴェンの交響曲全集が数日前にリリースされたばかりというタイミング。それへの対抗もあるのか、破格の値付けだ。演奏は2002年の4月から5月にかけ、ウィーンフィルの本拠地ムジークフェラインでライヴ録音されたもの。ライヴとして短期間にまとめて録られたこと、またベーレンライター版が使われたことなどが話題になった盤で、例の石原俊著のオーディオ本でも、同著発売当時(2005年)のベートーヴェン演奏の一つの形として、またオーディオ的リファレンスとして取り上げられていたもので、ムジークフェラインの音響を生かした高音質でも評価されていた盤だ。値段はともなく、日頃古めの録音ばかり聴いていて、たまには時流にのるものいいかなあと思っていたこともあって手に入れた。手元にあるベートーヴェン交響曲全集は十種を超えるが、もっとも新しいのがジンマン&チューリッヒトーンハレ盤(1997-98年録音)、高関&群馬交響楽団盤(1995年録音)あたりで、21世紀の録音は今回が初めてになる。しかし買ってはみたものの、実のところあまり出番がない。ベートーヴェンを聴こうという段になると、ブロムシュテット&SKD盤やスウィトナー&SKB盤に手が伸びることが多い。でも、まあ2000円ならいいかと…

5月の福原彰美さんのピアノリサイタルとその直前にあったプライベートなお披露目会は、今年印象に残ったイヴェントの一つ。会場で入手した14歳のときのデビュー盤他はそのときのメモリアル。このブログでも記事にしようかと思ったのだが、録音状態が芳しくなく、彼女の魅力を伝えきれてないことから見合わせている。今の状況を伝える新録音がほしいところだ。


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…と、挙げてみると今年の音盤購入はごくわずかだった。おそらく来年はもっと少なくなるかもしれない。加齢も進み、新しいものを望まなくなった。そもそも在庫確認も出来ていないのに…。そんな中でダントツの勢いを示すのがヴィジュアル物の<孤独のグルメ>。テレビ録画が全部残っているSession5以外のDVDを一気に調達。拙宅ではトップのヘビーローテーションとなった。今年は新年と夏のスペシャル版があっただけで、新編の放映はなかったが、その渇きを癒すように、来年2017年の新年早々にまたもスペシャル編が放映されることになった。1月2日夜11時20分から<2017年お正月スペシャル> 乞うご期待!

もう二、三年前から考えていることだが、音盤在庫もいずれ整理しようと思っている。その「いずれ」のタイミングを推し量りつつ、当面差し迫った状況でないのをいいことに先延ばしをしているわけだが、還暦も過ぎたのを機にボチボチと…という意識にはなってきた。実は数年前に、音盤に押されて場所を失った書籍数百冊を処分した。処分する前には、後悔の念に襲われるのではないかとも思っていたが、実行してみればあっさりしたもので、どうということはなかった。レコードやCDもと思うのだが、こちらは高校時代に最初に買ったレコードからして、まだ1枚も処分していないという現実があって思案中だ。ぼくよりふた周りくらい若い世代で熱心な音盤マニアがいれば、みんな持っていって!とお願いし、20年後には手提げ鞄一つに道楽の品を収まる程度にして、跡を濁さずの状況を作りたいのだが、さて実行かなうか、かなわざるか。来年の今頃、また同じセリフをつぶやいているのかな…


ブログ記事に貼り付けるYOUTUBE音源散策では、いくつか興味深い音源に出会った。
バッハのカンタータも昨年来、聴き進めようと思いながら、ほとんど手付かずだった。この演奏も印象に残ったもの。80年代後半から試みられるようになった合唱団をおかず各声部1名による究極の小編成。ジェズアルド・コンソート・アムステルダムによるBWV80。躍動的で小編成ながらまったく不足感はない。



先に記したショルティ&VPOのセッション風景。<神々のたそがれ>ジークフリートの葬送行進曲。当初乗り気でなかったウィーンフィルがショルティの熱意により、次第にその気になっていったという逸話が分かるような指揮ぶりだ。



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マーラー交響曲第1番ニ長調<巨人>


今年最後の週明け月曜日。寒さもひとしお。ついこのあいだ秋めいたと思ったのに、今年も終わりかぁ…と、つぶやきつつ帰宅。いつも通りの日常。熱めの風呂で温まって、さて一服。きのうブロムシュテットの記事を書きながらYOUTUBEを覗いていたとき、そのブロムシュテットのマーラー第1番をみつけ、そういえばしばらく聴いていないなあ<巨人>…と思い立ったのがきっかけで、こんな盤を取り出した。


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サー・ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団によるマーラーの交響曲第1番ニ長調<巨人>。1957年録音。手持ちの盤は1977年にテイチクから出ていた<バルビローリ1500名演集>と称するPYE原盤のシリーズ。ジャケット裏の隅に1978年1月5日購入と書いてあるから、学生時代最後の正月に手に入れたことになる。帯裏の記載によると、シベリウス、ドヴォルザーク、ディーリアス、ニールセン、チャイコフスキー、エルガーなど、中々多彩な15枚がリリースされている。手元にはこのマーラーとドヴォルザークの第7番がある。

当時バルビローリ(1899-1970)がシェフを務めていたハレ管弦楽団との一連のPYEレーベル録音は、バルビローリの個性が、のちのEMI録音以上に色濃く出ていて興味深い。このマーラー第1番も、一見<サー>の名に恥じない英国紳士然としたバルビローリの内に潜むラテンの血がときおり表出する。第1楽章は冒頭から中盤まで地味に過ぎるのではと思うほど控え目に進行するが、終盤の盛り上がりでは、それまでの沈静を一気に打ち破るように爆発する。第2楽章のスケルツォはやや遅めのテンポで入り、トリオでは弦楽群がはばかることなくポルタメントを駆使して歌う。終楽章でもいくつかある楽曲のピークで打ち鳴らされる打楽器群の強打などは、尋常ならざる形相だ。また近年、コーダではホルンセクションが起立してコラールを奏することが多いが、これはバルビローリのパテントといわれている。こうして並べると、こけおどし的な演出ばかりのように聞こえるかもしれないが、全体としてテンポは中庸、カンタービレも品性を保ちつつ進む。決して音楽の品格を失うことがない。このあたりがバルビローリの素晴らしいところだろう。

この演奏はこの曲の最初のステレオ録音らしいが、ややマイナーなPYEレーベル、そしてオケもロンドンのオケと比べると格下と評されても仕方ないところ。音質自体もときに作為的なところや、左右の定位が不安定になるなどイマイチの感は免れないが、バルビローリの個性と、それに応えるハレ管の健闘を良しとして聴く盤だろう。


この盤の音源。CDからのものと思うが、左右定位がときおり不安定になるのはLP盤と同様だ。
第1楽章は冒頭から抑え気味に進むが、後半11分30秒過ぎから一気に爆発。第2楽章スケルツォのトリオ(17分36秒から)では弦楽群が甘美に歌う。終楽章の大団円は49分から。


冒頭に記した、来年90歳となるブロムシュテットの健在ぶりを伝える演奏。デンマーク放響とのマーラー第1番@2016年。終楽章コーダ:52分11秒ホルンセクション起立!



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ブロムシュテット&SKD ブルックナー第4


三連休も終わり、あすからは今年最後の週。ぼくの場合、今年は一般慣例通り28日が仕事納めで、年明けは4日から始まる。あすからの3日間も、年の瀬を感じるのにはちょうどいい程度に、ほどほどに仕事も詰まっている。中々ちょうどいい塩梅はないものだが、この年末はラッキー。そんなことは考えつつ、さて今夜は少し気合を入れて聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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ヘルベルト・ブロムシュテットがドレスデン国立歌劇場管弦楽団(シュターツカペレ・ドレスデン:SKD)を振ったブルックナー交響曲第4番変ホ長調。手持ちの盤は十年ほど前に日本コロンビアから出た廉価盤シリーズ<クレスト1000>の中の1枚。1981年録音。当時、先陣を切ってデジタル(PCM)録音を推進していた日本コロンビアが東独シャルプラッテンと共同制作したもの。
ブロムシュテット(1927-)は近年も度々来日。この秋もバンベルク交響楽団を引き連れていくつかの公演を行った。高齢にも関わらずまだまだ現役バリバリであるが、やはりこの時期、80年代の活躍ぶりがぼくら世代には印象的な存在だ。取り分け、70年代後半から80年代初頭にかけて、ベートーヴェンやシューベルトの全集を名門ドレスデンと録音したことで、N響を振る姿だけでなく、世界的なトップであることを印象付けた。このブルックナーも同時期に録音された第7番と共に、ブロムシュテット壮年期を代表する盤だ。

ブルックナーの交響曲に親しみ始めてから40年余になるが、最初に接したのは多くの愛好家同様この第4番だった。その後、興味は5番や7番、8番等に移っていったが、今夜久しぶりの聴きながら、やはり名曲だなあと納得。取りわけ第2楽章の美しさに心打たれる。ブルックナー自身この第2楽章について「歌、祈り、セレナーデ」と書いているそうだが、その言葉通りの抑制された響きの中で心静まる音楽が展開する。チェロやヴィオラによって歌われる息の長い主題旋律は、穏やかな葬送の音楽のようにも聴こえてくる。 ブロムシュテット&SKDの演奏についてはすでに多くが語られているように、その美しい響きと、楽曲をありのままの提示した組立てにおいて、素朴で純粋なこの曲の持ち味を十全に引き出している。取り分け、SKDの弦楽群、木管群のしなやかかつ整った響きが、録音セッションを行ったドレスデン・ルカ教会の自然な残響を伴って、限りなく美しい。テンポはほぼインテンポをキープ。各パートのバランスに留意して決して大声を上げず、曲の有り様をそのまま聴き手に届けてくれる。低弦群も控え目ながらしっかりとしていて、ローエンドののびも秀逸。先回記事にしたシューベルトが摩天楼型の音響バランスだったのに対し、このブルックナーではややピラミッド型にシフトしている。それでも音響全体の鮮度、解像度は高い。

以前使っていたスピーカー三菱2S-305は、オーディオ的にやや狭いレンジ感が奏功して、音楽の核心と演奏者の意図をダイレクトに表出することに長けていた。だからブルックナーをオーディオ的視点から楽しもうとは思わなかったのだが、スピーカーをクールで精緻な表現が得意なアヴァロンに替えてから、その空間表現の巧みさもあって、ホール空間に広がるオーケストラの響きそのものを楽しむようになってきた。以前ならこのブロムシュテット盤のような演奏にさほど感心しなかったかもしれないが、アヴァロンで聴くとSKDが繰り広げる極上のオーケストラサウンドに酔いしれる。やや軽量級ともいえる第4番の曲自体がひと回り大きくなったように感じるからだ。


ブロムシュテット&SKDによる第3楽章。この盤と同時期1981年来日公演。
ホルンにペーター・ダム、ティンパニーにゾンダーマン。


ブロムシュテットの今。2015年1月ベルリンフィルとの第8番第3楽章から。



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アバド&LSO ロッシーニ序曲集


数日前までの暖かさが一転、寒風吹きすさぶ一日。三連休中日の土曜日。野暮用あって昼過ぎまで外出。移動の車中は陽射しMAXで暑いくらい。でも、何となくクリスタル…、もとい何となく年の瀬気分。除夜の鐘には早いが、心静かに暖をとりつつアンプの灯を入れ、先日来の記事の流れでこんな盤を取り出した。あっ、ギターネタも最後にありますよ(^^;


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アバド&ロンドン響のロッシーニ序曲集。1978年の録音。LP時代終盤の1987年に廉価盤で出た際に手に入れたもの。アバドは70年代前半にも同じロッシーニ序曲集をDGと、また80年代終わりにヨーロッパ室内管とも録音している。このRCA盤の収録曲は以下の通り。

 1. セミラーミデ
 2. 絹のはしご
 3. イタリアのトルコ人
 4. イギリス女王エリザベス」(セヴィリアの理髪師)
 5. タンクレーディ
 6. ウィリアム・テル

オペラ本体を観ずに序曲だけ聴いてその気になるのは、オペラファンからはブーイングの嵐かな…。まあ、そう言わんで下さいな。ロッシーニばかりか、ウェーバーやモーツァルト(スウィトナーの魔笛やベームの理髪師などの全曲盤も手元にあるが…)、ワグナーも歌には興味がわかず。言葉も分からないし…。しかしその音響はもちろんLOVE。
高校時代、ロッシーニのことを「イタリアのモーツァルトって感じかな」とぼくに教えてくれたのは学業優秀かつフルートもセミプロ級だったS君だった。この盤でも颯爽として明快で、ややこしいことをつべこべ言わず、一気呵成に進むロッシーニ節が楽しめる。アバドはもちろん、こうした曲にはぴったりの指揮者だ。なんといってもミラノスカラ座の御大を長らく務めた。序曲はもちろん、そのベースとなっているオペラの隅々まで知り尽くしているし、一節一節のオペラの中での役割を心得た上での序曲演奏に違いない。アバドはロンドン響と70年代初頭から密接な関係にあり、80年代には音楽監督を務めた。同団はアバドに絶大な信頼をおいていたという。この盤の演奏は中々熱演ではあるが、録音セッションらしい整った演奏という印象が先に立つ感もある。これがミラノスカラ座のオケだともっと自在にかつ自発的に歌うのだろう。もう少し荒削りでもいいから、一筆書きのような勢いもあっていいかなと贅沢な注文を付けたくもなる。収録曲の中では、曲の良さもあって「イギリスの女王エリザベス」と「ウィリアム・テル」がもっとも楽しめる。

1991年のニューイヤーコンサートでのアバドとウィーンフィルの演奏その<泥棒かささぎ>序曲。


昨今人気らしいクピンスキー・ギターデュオというユニットによる<泥棒かささぎ>。
編曲はオリジナルとのことだが、ジュリアーニがギター二重奏にアレンジした楽譜あたりがベースになっているものと思う。ギターに馴染みのない方のために付け加えておくと、冒頭のスネアドラムを模した音は、ギターの低音弦を使った特殊奏法によるもの。


マッテオ・メーラとロレンツォ・ミケーリという二人組による<セヴィリアの理髪師>。
やはりジュリアーニがアレンジしている楽譜はこちら



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訃報 佐藤弘和


ギタリストで作編曲家の佐藤弘和氏が昨日亡くなった。
1966年弘前市生まれの佐藤氏は一流のギター奏者であると同時に、多くのギター曲を残した。弘前大学教育学部で音楽を専攻され、クラシック音楽全般に精通。とかくギター音楽だけに偏重しがちなギター界にあっては貴重な存在だった。氏はそのプロフィールで、作曲のモットーとして「弾き易くわかり易くメロディックであること」といい、また「楽器としてのギターを弾くことだけに偏りがちな傾向を打破するために、普遍的な音楽の中でのギターというものを考えていきたい」との信条をお持ちだった。技巧的に無理のない、シンプルで音数の少ない小品でも、豊かなメロディーと気の効いたモダンな和声が施され、弾いていて気分のよくなる曲が多かった。


DSCN5511 (560x560)


ぼくは数年前にmixiを通じて知遇を得て、何度かメールのやり取りをした程度のお付き合いであったが、「与太さんの作った作曲家年表をレッスン室に貼りました」と返信を受けたことがあった。 かねて病気療養中で、一時期お元気になられたのだが…。
享年50歳。ご冥福をお祈りいたします。


ほころびだらけのつたない演奏ながら、以前弾いた佐藤作品から2曲。
佐藤弘和ギター作品集1<秋のソナチネ>から <素朴な歌 A Simple Song>


48のやさしい小品集から <思い出 Remembrance>



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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