チョイと宅録 2017年弾き初め <その2>


きのうの2017年弾き初め<その1>の続きで、きょうは<その2>。


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佐藤弘和氏の<48のやさしい小品集>。昨年4月現代ギター社から発売。1997年4月から1998年3月までの一年間に渡って月刊現代ギターに連載されていた小品をまとめたもの。佐藤弘和氏は1966年弘前市生まれ。弘前大学教育学部音楽科を卒業後、ギタリストとして、またギター曲を中心にした作曲家として活躍していたが、残念なことに昨年暮れに亡くなった

この曲集に関して佐藤氏いわく、ピアノによくある「子供のための小品集」のようなものがギターにもあったらとも思いで作曲したとのこと。おおむね初級から中級向けの小品が並ぶ。中上級者ならほとんど初見で通せるだろう。いずれも1分に満たないほどの長さ。コンセプトは「やさしく弾ける」「分かりやすく、親しみやすい」だそうで、その意図は十分に反映されている。

クラシックギターの初級者向け小品というと、カルリやカルカッシなどの小さなエチュードが上げられる。確かに音数は少なく、古典的でシンプルな和声で出来上がってはいるが、弾いていて楽しいかといわれると、残念ながらノーだろう。最大の理由は和声があまりにシンプルすぎるからだ。もちろん19世紀初頭の古典和声以上のものを求めるわけではないが、ギターの場合、技術レベルを限定すると和声はどうしてもごくごくシンプルになり、面白さはない。その点この佐藤氏の曲集は、音数を極力少なくし、ローポジションを主体にしながらも、和声的には6,7,9といった和音が多用され、近代的あるいは現代ポップス風の響きが使われている。いわゆる<オシャレ~!>な感じといえば分かりやすいだろうか。佐藤氏の他の作品に接したことのある輩なら「いつもの佐藤節!」とでも感じるだろう。クラシック音楽全般に精通している佐藤氏ゆえ、小品ながらも舞曲、行進曲、変拍子など様々な曲形式を含み、長調短調の按配も考えられている。音楽にノリやすい三拍子系の曲が多いのも特徴。大曲チャレンジもいいが、こんな曲集を初見で雰囲気よく、すなわち音楽様式を感じ取って、さらりと弾く技量とセンスも身に付けたいものだ。

さて能書きはこのくらいにして与太plays佐藤弘和。きょうは以下の3曲をアップした。いずれも短調の作品。きのうと同様、使用楽器はヤマハのつるしギターCG192。録音は安直レコーダーZOOM社Q2HD。レコーダー付属のソフトウェアでなんちゃってマスタリング。

 ・葬送行進曲
 ・北の歌
 ・夜警の騎士

<葬送行進曲> ハ短調の響きを味わう曲。ギターでは開放弦の使用が限られてくることから独自のくぐもった音色感になる。


<北の歌> ギターではあまり使われないヘ短調(フラット4つ)。北の国をイメージさせる陰鬱な表情。途中で突然ホ短調に転じる。意味深長な余韻を残す終止。


<夜警の騎士> ギターで多様されるホ短調。原曲フランスの遊び歌を佐藤氏がアレンジしたもの。肝心なところで押弦が決まっていない。喝!



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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