大木和音チェンバロリサイタル



五月最後の週末。昼過ぎから霞ヶ関某庁で仕事。「与太さん、きょうはプレミアムフライデー。テキパキやって早めに片付けましょう!」と面会した担当官の言葉通りスムースに終了。五時前の新幹線に飛び乗り、高崎での予定していたコンサートへ向かった。


DSCN5866 (560x560)


今週火曜日のイヴリー・ギトリスに続いてのコンサート三昧。ギター弾きにはお馴染みのアルベニスやグラナドスの曲をチェンバロで弾くという一風変わったプログラム。それだけでなくモンポウもチェンバロで聴けるということで、はて、どんなものかと足を運んだ。

===========================
・ドビュッシー :グラドゥス・アド・パルナッスム博士(子供の領分より)
・グラナドス : オリエンタル、アンダルーサ
・アルベニス :アストゥリアス
・ファリャ :火祭りの踊り
・J.S.バッハ :フランス組曲第6番ホ長調BWV817
 ―休憩―
・モンポウ :「内なる印象」より 哀歌I~IV、悲しい鳥、小舟
・モンポウ :歌と踊り 第6番
・ソレル :ファンダンゴ
~アンコール~ バッハ:ゴルトベルク変奏曲よりアリア、ラモー:一つ目巨人
---------------------------
チェンバロ:大木和音
使用楽器:クリスチャン・クロール(リヨン・1770年)レプリカ
オリヴィエ・ファディーニ(パリ)制作
2017年5月26日(金)19:00~ 高崎シティーギャラリーコアホール
===========================


『Latina‐内なる印象‐』CD発売記念コンサートと題されたコンサート。演奏曲目はフランス組曲をのぞき、アルバム収録のもの。昨年ほぼ同じ曲目でDSD11.2MHzレコーディングされたライヴはすでにネット配信で好評とのこと。今回のアルバムをそれを受けて今年3月にセッション録音されたもの。大木和音は藝大チェンバロ科を出てからすでに十数年のキャリアがあり、アルバムも数枚リリースしている。ぼくは今回初めて聴くことになったが、当地高崎でのリサイタルもキャリア当初からのもので、今回が15回目とのことだ。

1曲目のドビュッシーが始まってすぐ、チェンバロの放つ響きの調和感に驚く。ビジネスライクに平均律で整えられたピアノとは明らかに違う。三度音程の美しさ、いくつもの音が分散和音風に響いたとき、それぞれの音の相互変調成分も加わって出来るトータルの響きの純度が高く美しい。チェンバロの調律を担当したのは、今回のコンサートやCDのプロデューサーでもある狩野真氏。大木和音が曲間のMCでも、その狩野氏が今回の曲目に合わせて楽器の調整を追い込んで素晴らしい響きと作ってくれたと語っていた。楽器そのものもオリジナルが1770年というチェンバロとしては最後期のものということもあって大型で、1オクターブのペダルキーもあって、最低音域のサステインを確保できる機能が付いている。この低音域はバスパートとしての役割以上に、曲全体のダイナミクスの拡張や、和音の下支えの強化に威力絶大だった。

ぼくがこのブログの楽器談義の際に必ずといってよいほど6弦の低音ウルフトーン音程やボリューム感を引き合いに出す理由は、それが単音としてのボリューム感だけでなく、和音や楽器全体の響きの印象にとても影響するからだ。そのことを事あるごとにギター販売店店主に訴えたこともあってか、最近では販売する楽器に関してのコメントで低音ウルフの音程を記したり、そのボリューム感をコメントしてあるのを時々に目にするようになった。そんなギターの響きも思い出しながら、大型レプリカ楽器の豊かな低音と、微に入り細に入り調整した当夜のチェンバロの響きを楽しむ。

そうした響きの純度、多くの音が重なっても濁らない調整が生きているなあと感じたのは、冒頭のドビュッシー、アルベニスのアストゥリアス、そしてモンポウ。一方、メロディーや曲のダイナミクスに耳がいきがちなアンダルーサ、火祭りの踊りなどは、チェンバロで弾いている…という以上の積極的な面白さをあまり感じなかった(もちろんそれだけでも価値あるチャレンジだが)。そしてフランス組曲やスカルラッティ、さらにアンコールで弾かれたラモーなどは、チェンバロオリジナルの貫禄とでもいうべき相性の良さ、他に代えがたい良さをあらためて感じた。

曲間のMCで、チェンバロ弾きからみるとギターは、多彩な音色表現やピアニシモからフォルテにいたるダイナミクス表現、美しい音色など、うらやましく感じると語っていたが、ぼくなどはいつもギターの制約事項ばかり気になって鍵盤楽器はいいなあと指をくわえていた。きょうのチェンバロを聴いて、ギター演奏も響きの美しさや調和感に自ら耳を傾けながら弾くことの大切さを学んだような気がする。


スカルラッティのソナタニ短調 K.213


同曲のギターアレンジ。谷辺昌央氏の演奏。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)