ゲヴァントハウスSQのベートーヴェン弦四
日本列島南方に梅雨前線を伴った気圧の谷が関東を通過中で、暑さ日照とも程々の一日。きょうから六月。昭和の感覚なら夏服に衣替え。どっこい、今じゃ五月に入ればクールビズ。気分も体感もすっかり夏だ。 さてさて、本日も程々に頑張って定時に退勤。ひと息ついて、こんな盤を取り出した。

ゲヴァントハウス弦楽四重奏団によるベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集のボックスセット。しばらく前から気になっていて、数日前に身辺雑貨と一緒にアマゾンから入手したもの。十枚組二千円也。90年代後半から2000年代初頭にかけての録音。当初、後期作品が録音され、その後中期、初期とさかのぼるように録音された。改めて言うまでもなく、ゲヴァントハウスSQは19世紀初頭に誕生し、以来ゲヴァントハウス管弦楽団の首席奏者達によって、今日にいたるまで続いている世界最古の弦楽四重奏団だ。
ぼくがベートーヴェンのSQをまともに聴き始めたのは社会人になってからで、最初にアルバンベルクSQによる中期作品のLPを手に入れ、その後ラサールSQによる後期作品を(これはCD)、そしてバリリSQの古いモノラルLPの全集を手に入れた。いずれも一時代を成した演奏だと思うが、21世紀の今に相応しい新しい録音をハンドリングの簡便なCDで揃えたいと思っていたところ、このボックスセットをしばらく前に見つけた。
今夜は何気なく引き抜いた一枚から作品74(通称ハープ)と作品59―2(ラズモフスキー第2番)を聴いている。すでにネット上での評判で予想はしていたが、ゲヴァントハウスという名前から想像する古色蒼然としたかつてのドイツのイメージはまったくない。各パートともクリアで明るく伸びやかな音色。やや軽めのボウイング、ヴィブラートも控えめで、重層的な厚みのある音ではなく、広がりのある豊かな響きが立ち上がる。
ベートーヴェン弦四の様々な演奏を聴き込んでいるわけではないが、おそらく最も現代的な演奏からすれば、このゲヴァントハウスSQの演奏は十分伝統的でオーソドクスな解釈と音色なのだろう。たまたまぼくの手持ちのリファレンスが古い(特にバリリは…)ということだろう。そういう意味で手持ちの盤に比べ新しい感覚を感じるが、もちろん違和感はなく安心して聴ける。録音もクリアだが残響成分がやや多めで、少し位相にも手を入れているのか、時に響きが過多に感じる場面もあった。極端な言い方をすれば、カルテットではなく小編成の弦楽合奏にように聴こえることあった(これはあくまでぼくのセットでの場合。ヘッドフォンではほとんど違和感は感じなかった)。十枚組二千円也は相変わらずのCDデフレ状況と感じるが、名盤の誉れ高いアルバンベルクSQの最初のセッション録音盤はさらに安い。いずれにしても現役世代の演奏をCDで…という当初の目的には十分かなった盤。折をみて全曲聴き通すとしよう。
このボックセットの10枚目の盤には、ゲルハルト・ボッセやカール・ズスケなどを擁した歴代ゲヴァントハウスSQによるベートーヴェン弦四の抜粋と、ベートーヴェンが自身のピアノ・ソナタ第9番を弦楽四重奏用に編曲したものの演奏が収録されている。以下の音源はそのピアノソナタアレンジ版のもの。
このセットの弦楽四重奏曲第13番変ロ長調作品130。
★★追伸★★
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