ケンペのベートーヴェン
当地関東地方は昨日梅雨入り。きょうは朝方まで降っていた雨があがり薄曇りの一日となった。気温程々ながら湿度高く、雨の季節到来に相応しい。 さて、本日も実直堅実に業務に精励。七時ちょうどに帰宅。ひと息ついて、音盤棚を眺めていたら、棚の最上段にこんな盤を見つけて取り出した。


ルドルフ・ケンペ(1910-1976)とミュンヘンフィルハーモニーによるベートーヴェンの交響曲全集。70年代初頭の録音。この頃ケンペは指揮者としてのピークにあって、このベートーヴェン他、ブラームスの交響曲、ブルックナーのいくつかの交響曲、リヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲など、次々と録音を重ねていった時期にあたる。手持ちの盤は2000年に当時の廉価盤ボックスセットのラッシュをBrilliant_Classicsと競ったDisy_Classicsから出たもの。原盤はEMI。 この盤を手に入れた2000年前後はいま思うと恥ずかしいくらいに音盤を買い漁っていた。ベートーヴェンも同時期にかつての名盤が続々とボックスセットでリリースされたこともあって、我ながら完全制御不能な状況がしばらく続いた。このセットもそんな時期に手に入れたものだ。今夜は久々にボックスケースを開け、第3番変ホ長調<英雄>をプレイヤーにセットした。
第1楽章冒頭、Es_durの主和音が昨今の演奏を聴きなれた耳には驚くほど柔らかなタッチで響く。ハンマーを思い切り叩きつけるようなアインザッツが常態化している今どきの演奏の対極だ。テンポは当時の平均的な設定といったところだが、拍節のアクセントやフレーズの緩急の具合など万事が穏やかかつ中庸なためか、一聴してテンポが遅く感じられる。ミュンヘンフィルの音色も派手さはないが、録音状態は総じて良好。コントラバスの基音もしっかり聴こえてくる。 おそらく当時もそして今も、この手の演奏は「派手さのない」「滋味あふれる」「堅実な」…といった形容詞で飾られる。あの手この手を尽くし、聴き手を飽きさせまいとする演奏と比べたら、ツマンネェ~と一蹴されかねない演奏かもしれない。しかし、さすがに聴き手のこちらも馬齢を重ねたからか、この手の演奏のたくまざる奥深さ、味わい深さに十分反応できるようになった。流麗で、起伏に富み、爆発も嘆きも全開といった演奏にいささか食傷気味なった頃、こういう演奏を聴くと、飾らない昔ながらの中華そばに出会ったような感じを受ける。楽譜に忠実に、過剰な演出をさけ、調和を旨とし…そんなケンペのイメージがそのまま音になったような演奏。久々に聴いたが、心温まる英雄だった。
晩年の1975年、ストックホルムフィルとの<英雄>ライヴ。ミュンヘンフィル盤と比べ、少しテンポが遅いように感じるが、演奏全体の印象はよく似ている。
ベルリンフィルとのエグモント序曲。ケンペは50年代ベルリンフィルともいくつかの録音を残している。
★★追伸★★
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