朴葵姫(G)来演 群馬交響楽団演奏会
きのう土曜日は久しぶりに群馬交響楽団(群響:グンキョウ)の演奏会へ。本拠地高崎で行われる通常の定期演奏会とは別枠の演奏会。少し前から思案していたのだが、野暮用の予定がなくなり、チケットもまだあるとのことで足を運ぶことにした。

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フォーレ/ペレアスとメリザンド組曲 作品80
ロドリーゴ/アランフェス協奏曲
ドヴォルジャーク/交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」
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ギター: 朴葵姫(パク・キュヒ)
指揮: 円光寺雅彦 管弦楽:群馬交響楽団
2017年7月15日(土)18:30~ 前橋市民文化会館
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当夜の目玉はギターの朴葵姫をソリストに迎えてのアランフェス協奏曲。アランフェス協奏曲が演奏されることも、そうめずらしいことではないが、当地のようなローカルで聴けるのは貴重な機会だ。これも群馬交響楽団があるおかげだろう。それに、そもそもギターの代表的な協奏曲であるこの曲を、コンスタントにステージにのせられる国内の演奏家は何人いるのだろうか。思いつくままに指を折ってみても(…この曲がクラシックギターの代表的な協奏曲であるにも関わらず)、その数は少ない。だからどうだというわけもないが、ギターのおける協奏曲の位置付けは、やはり他の楽器とは異なる。 朴葵姫はアイドルのようなその風貌からちょっと想像しがたいが、いくつかの国際コンクールでの優勝や入賞、国内外でのソロリサイタル、オケとの協演等、十分な実績がある。もちろんアランフェス協奏曲やジュリアーニの協奏曲なども手の内にあって、本格的プログラムに取り組んでいる貴重な存在かもしれない。
アランフェス協奏曲だけでなく、ギターとオケとの合わせ物では、その音量ギャップにどう対処するかが大きな問題になる。昨今ではPA使用がごく普通になり、当夜もギター用PAとしてよく使われる卵型のスピーカECLIPSEが使われた。ギターの前にマイクと置き、スピーカはギター奏者のごく近くに目立たないよう置かれていた。PAがあるためにオケパートの編成もさほど小さくせず、12型(12_10_8_8_6)の前後の曲から各パート1プルトずつ減らした程度。2管編成の管楽器群とのバランスも良好に保たれながら、弦楽群の量感も十分。第1楽章では少々ギターが埋もれることがあったが、全体を通してはよいバランスが確保されていた。PAから出る音も、音量・音色とも自然で、おそらくこれ以上PAからの音を大きくすると、例えば有名な第2楽章などではギターの音が不自然意に大きくなり過ぎるだろう。
アランフェスの演奏は、第1楽章冒頭から落ち着いた運びで余裕があり好印象。ギター・オケともに賑やかに走り回る演奏もあるが、少し余裕のあるテンポの方が、管弦楽曲としてのこの曲の魅力がよく分かる。朴葵姫のソロも危なげなく余裕を感じさせる。もっぱら第2楽章ばかりが有名だが、この曲の第1、第3楽章は近代スペインの響きを伝える管弦楽曲としてよく出来ていると、ぼく自身は感じている。特に管楽器の扱いや弦楽群と交錯するような構成など、ギター付き管弦楽曲として魅力的だ。当夜の演奏は先に記した通り、オケパートが充実した響きを保っていたことが奏功して、音楽全体として、この曲の魅力を十分表現していた。
アランフェスをはさんで演奏されたフォーレ/ペレアスとメリザンド組曲とドヴォルジャークの「新世界より」。こちらも群響の弦楽セクションが好演。当夜のホールは定員1200名程の、どこにでもある多目的ホールではあるが、比較的音響特性も良好で、特にホルンや木管群が適当な距離感をもって聴こえてくることから、いずれの曲も響きの調和、迫力ともに不満なく楽しめた。指揮者の円光寺雅彦もドヴォルザークは暗譜で指揮。手馴れた曲だろうが、細かな指示を出しながら、終楽章ではテンポ設定に意を配した熱演だった。
穏やかな淡い光を感じるフォーレ、コントラストの強い太陽を感じさせるロドリーゴ、夕暮れの郷愁を誘うドヴォルザーク。フランス~スペイン~ボヘミアと欧州を巡り、これでイギリスでも加われば欧州一周かと思っていたら、思い通じてか、アンコールにはロンドンデリーの歌(ダニー・ボーイ)が弦楽合奏で演奏され、終演となった。
カタルーニャ奇想曲
ジュリアーニの作品30イ長調の協奏曲第3楽章。
山下和仁によるアランフェス。この人ならPAは不要か(笑) 愛器ラミレスの弦高をめちゃくゃ高く設定しているのが映像からも分かる。第3楽章冒頭、山下のギター導入部が終わってオケパートが出るところ、テンポ設定がまるで違う(笑)
★★追伸★★
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