ハインツ・ホリガーのオーボエ



一昨日の朝だったか、通勤車中のNHKFMでアルビノーニのオーボエ協奏曲が流れていた。そういえば昔よく聴いたなあ、アルビノーニ…と青春回顧。今夜、音盤棚を見回していたら、FMで流れていたものと同じ音源を見つけ、久々に取り出してみた。


DSCN6198 (560x560) DSCN6194 (560x560)


ハインツ・ホリガー(1939-)のオーボエとイ・ムジチ合奏団によるイタリア・オーボエ協奏曲集。1986年録音。手持ちの盤は当時リリースと同時に買い求めたもの。収録曲は以下の通り。

 マルチェルロ:オーボエ協奏曲ニ短調
 サンマルティーニ:オーボエ協奏曲第1番ヘ長調
 アルビノーニ:オーボエ協奏曲ト短調作品9-8
 ロッティ:オーボエ・ダモーレ協奏曲イ長調
 チマローザ:オーボエ協奏曲ハ長調

チマローザ以外はイタリアンバロック隆盛期の面々。とくにマルチェルロは映画「ベニスに死す」で使われたこともあって、70年代から80年代にかけて実によく耳にしたものだ。他の曲も、いかにもイタリアらしいのびやかな旋律美にあふれている。中でも短調作品のマルチェルロとアルビノーニの憂いに満ちたメロディーは印象的で、バッハが憧れをもって自ら編曲したイタリア作品の典型ともいえる。

久しぶりに針を落としたのだが、当時すでに手馴れてきたデジタル録音と、アナログ盤最終期の高い技術レベルもあって、音質、SNともまったく文句のない録音状態。バックのイ・ムジチの音色が思いのほか渋く落ち着いていることも、今回あらためて確認した。手馴れた曲ゆえに、もっとあっけらかんと明るい音を聴かせるのかと思っていたが、さすがはイ・ムジチ。中々懐が深い。

思えば、オーボエが一般愛好家の目にとまり、オリジナル作品のみならず様々な編曲物のアルバムまで発売されたのは、このハインツ・ホリガーにして最初で最後ではないだろうか。当時フルートならランパル、ゴールウェイなど広く知られる存在だったし、トランペットならモーリス・アンドレがいた。そうした面々と片を並べてホリガーの人気は高かった。おかげでアルビノーニやマルチェルロのオーボエ協奏曲が市民権を得たともいえる。 予想外に渋めの音を奏でるイムジチをバックに、ハインツ・ホリガーのオーボエも過度な抑揚を排した吹きぶりで好感がもてる。オーボエそのものの魅力的な音色と、イタリアンバロックの旋律美に身を任せられるよいアルバムだ。


アルビノーニの協奏曲ト短調作品9-8 同じコンビによる60年代の録音音源。


この盤には入っていないが、これもよく聴いたなあ。アルビノーニ作品9-2


チマローザの協奏曲ハ長調。この曲はアーサー・ベンジャミンが指揮者バルビローリの夫人でオーボエ奏者だったイヴリン・ロスウェルのために、チマローザのチェンバロソナタから4曲を選び協奏曲に仕立てたものだそうだ。


このチマローザの最初の楽章使われているソナタは、ブリームのギター編でも知られる。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

夏の夜の妄想



八月も今週でおしまい。今月で夏が終わるわけではないが、なんとなく安定を欠く夏。不純な天候ばかりが報道される。これも夏型気圧配置が弱いことに起因するようだ。しっかりせえよ、太平洋高気圧! さて週明け月曜日。今夜は夏の夜の妄想を…

201708_E600.jpg

しばらく、いや随分前からアンプ選びでしゅん巡している。
現有のラックマンL-570に特段不満はない。一昨年、予防保全を含むメンテナンスパックも施したから、当面不具合が発生することもないだろう。とはいえ、さすがに発売から四半世紀以上を経過している。そろそろ人生の行く末を考える歳になったこともあり、これからの人生黄金期の二十年(実態はそんなバラ色とは程遠いが)を共に安泰に過ごせるかどうかを考慮すると、バブル期の贅沢な設計思想で作られているとはいえ、ぼちぼち退役も考慮しないといけないと考えている。ダメになったらそのとき考えればいい、アンプがなくなるわけでもなし…。その通りではあるのだが、アンプの入替えはスピーカのそれとは違って音質が180度変わってしまうようなリスクは少なく、浮気をしても痛い目にあうリスクが少ない。つまりオーディオとしてのお楽しみ的要素が強い。音そのものが廉価モデルとさほど変わりなくても、デザイン、操作感覚、存在感などが選択の基準になるのも、道楽のお楽しみが由の世界だからだ。

この手の妄想の前提として、ひとまず懐事情は横に置くことにして…
現有機のレベルから考え、候補はプリメインの上位モデルかセパレートへの移行を考えている。次にどのメーカーにするかだ。同じラックスマンで行くのが妥当なのだが、ラックスマンのプリメイン上位機種に少々不安があることから、世評ではまったく異なる音質キャラクターのアキュフェーズを本命としている。プリメインならE-600(この機種はおそらく今秋モデルチェンジされるだろう)。セパレートならパワーアンプA-47+プリアンプC-2450(このプリアンプは出たばかりの新製品)が候補。このクラスのプリアンプにはレコード再生用にAD-2850というフォノモジュールが用意されている。優れたモジュールのようだが、価格もそれなり。フォノモジュールだけで国産の中級プリメインアンプが買える。プリアンプを一つ下のモデルC-2120にする手もあるが、こちらはオプションのフォノボードが現有のL-570より確実に見劣りしそうで悩ましい。もちろんそれぞれの機種のひとつ前くらいの中古という選択もアリだ。

201708_A47.jpg
201708_C2450.jpg

アキュフェーズは手堅い設計思想と継続的メンテナンスとで国内外オーディオマニアの強い信頼を得ているメーカー。外見デザインも安易に変えない。しかし、客観的にみると年商二十数億の小規模メーカー。大企業の一部門であれば真っ先に整理対象になりかねない規模だ。市場拡大がそうそう望めない本格オーディオの世界にあって企業活動の維持には苦労していると推察する。それが証拠に、安易なモデルチェンジはないというアキュフェーズの各モデルではあるが、実際はいずれも4~5年周期で確実にモデルチェンジをし、同時に価格もアップしている。モデルチェンジに際しては「最新の技術を投入し…」「全面的に見直し…」というふれこみがもちろん付くが、多くがマイナーチェンジの域を出ない。大きな技術変革は10年に一度くらい。最近でいえば、音量調整にAAVCと称する技術(入力信号を電圧一電流変換。その後必要なレベルに応じて電流加算したのち再び電圧レベルに戻す方式)くらいではないだろうか。それに加えて周辺技術として、音量ボリュームにメカとセンサーを組合せた操作感覚に優れたデバイスを投入したこと、スピーカへの接続回路の開閉を機械式接点のリレーからMOSFETの半導体スイッチに変えて信頼性とダンピングファクターを向上させたこと、小信号回路をパラレル動作させてSN比を改善したこと…くらいだ。アナログオーディオの主要回路に関しては、すでに技術革新はほとんどない証左ともいえる。そんなアキュフェーズではあるが、やはり日本オーディオ界でのリファレンスであることに違いはなく、数年ごとのマイナーチェンジと価格アップも、アキュフェーズ存続のための応援費用と考えるのが妥当だ。

201708_MA9000.jpg

気になるメーカーは他にもある。
漆黒のフロントパネルにブルーアイズのマッキントッシュの存在感はどうだ。過去何度か身売りを繰り返して経営主体は変っているようだが、そのデザインと音質のポリシーはアキュフェーズ以上に一貫している。こちらも数年ごとにモデルチェンジをし、価格もアップしている。プリメイン上位機種は最近MA9000がリリースされた。しかし45キロを超えるその重量は、衰え行く老体を考えると諦めざるをえない。そこまで考えるなら、マークレヴィンソンやクレル、ジェフローランドはどうか。いや、いくつかの国内ガレージメーカも個性的な製品を出している等々。おっと、球アンプを自作という道もあるが、小学三年のときからラジオ工作で真空管と付き合い、三球ラジオ(三球・照代にあらず)からオールウェーブ受信機にSSB送信機、各種アンプと十分遊んだので、もう球はいいかなと。

オーディオ選びで悩んでいます…という質問に対して<識者>から必ず出てくる答えが「試聴してご自分の耳でよいと思いものをどうぞ」というものだ。その通りだろう。しかしスピーカならともかく、ことアンプに関して、音質の良否、自分の好みとのマッチング等、静寂良質な試聴室であっても判断できる自信はぼくにはまったくない。従ってアンプに関しては、もっぱら機能と面構え、操作感覚で選ぼうと考えている。アンプは見た目が100%。でも35億も存在しない…こうして妄想はいつ果てることなく堂々巡りを繰り返す。

横浜に本社工場があるアキュフェーズ社。誠実な日本のメーカイメージそのものだ。


マッキントッシュMA9000



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

ハスキルの<狩>



スイスで開かれていたクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで、18歳の音大一年生藤田真央さんが優勝した。きょう昼間の移動中カーラジオから流れるニュースで知った。若手新人の登竜門での快挙。大いに祝福したい。おめでとうございます。
クララ・ハスキルといえばぼくらより少し上の世代により馴染みがある往年の名演奏家だった。きょうのニュースで思い出したこともあって、久々にハスキルの盤を取り出した。


201708_Haskil.jpg


クララ・ハスキル(1895-1960)によるベートーヴェン。ハスキル晩年1959~60年録音。手持ちの盤はまだフィリップスレーベルが健在だった2005年に廉価盤で出たときのもの。協奏曲第3番ハ短調(マルケヴィッチ指揮ラムルー管弦楽団)と、ピアノソナタ第17番ニ短調<テンペスト>と第18番変ホ長調<狩>が収録されている。今夜はこのうち18番を選んでプレイボタンを押した。

モーツァルト弾きとして名高いハスキルだが、もちろんベートーヴェンはピアノ弾きとして重要な作曲家だったに違いない。とはいえ、むやみにれパトリーを広げる演奏家ではなかったとようで、ベートーヴェンではこの盤に収録された3曲を取り分けよく演奏したそうだ。

ベートーヴェンのソナタ18番はそう多く取り上げられる曲ではないかもしれないが、よりポピュラーな第17番<テンペスト>と好対照を成している佳曲。全楽章を通じて、ベートーヴェンとしてはやや珍しく、チャーミングで軽みのある曲想だ。第1楽章は付点音符によるリズミックなモチーフが印象的な明るい楽章。2楽章に4分の2拍子のスケルツォをおき、第3楽章に優美なメヌエットが配されている。このメヌエットは美しい。終楽章は8分の6拍子。タランテラ風の急速調で、ベートーヴェンらしい熱を帯びたフィナーレとなる。

ハスキルはいずれの楽章も力で押すことなく、美しい音色と穏やかなフレージングが生きた演奏だ。全楽章を通じて、ハスキルが力を込めたフォルテシモで鍵盤をたたく箇所はそう多くない。メッゾフォルテ以下の弱音のコントロールが素晴らしいのだ。人間もそうだが、大事なことは大声で叫ばず小声で伝えるものだということが、ハスキルの演奏からはよく分かる。あのチャップリンをして「私の生涯に出会った天才はチャーチル、アインシュタイン、そしてハスキルだけだ」と言わしめた天賦の才に恵まれながら、若くして病魔に冒され、ナチスに追われたハスキルの過酷な人生を思うと、晩年のこれらの演奏を裏付けるものが分かるような気がする。


ハスキルの弾く18番。但し、こちらは1955年の録音(モノラル)。


18番の楽譜付き音源。ケンプの演奏だそうです。


横山幸雄による18番のレッスン。


★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

ブレンデルの<告別>



早いもので八月最後の週末金曜日。いつも通り7時過ぎに帰宅。一服したあと少し雑誌を眺めていて、気付いたらもう11時を回っていた。実はこのところ、以前にも増して音楽を聴こうというパッションが減少。かろうじてこのブログ時期の更新をトリガに何か盤を探してはみるが、あまり真剣に聴いている状態ではない。きょうもそんなノリの悪い夜なのだが、気を取り直して音盤棚をサーチ。何枚か出しては戻しを繰り返して、ようやくこの盤に落ち着いた。


201708_brendel.jpg 201708_brendel_LVB.jpg


ブレンデルの弾くベートーヴェンのピアノソナタ2曲が収められているLP盤。1985年のリリース。時代はCDへのシフトが進みつつあった頃。当時、ベートーヴェンのピアノソナタはグルダのアマデオ盤全集が手元にあったのだが、時流にのった演奏も聴きたいと思い、1800円というミドルプライスと、録音のいい直輸入原盤使用という触れ込みに釣られて手に入れた。しかしその後あまり聴いた記憶がなく、盤面も真新しい。さきほどからいつものCEC製プレイヤーとオルトフォンSPU-Gという組み合わせで聴いているが、プチッというノイズ一つなくクリアな音を聴かせてくれている。その後、この録音を含むブレンデルの70年代録音の全集セットをCDで手に入れたが、LPはLPで味わい深い。
告別ソナタはベートーヴェンのピアノソナタな中では好きな曲の一つだ。特に第一楽章がいい。落ち着いた、しかし緊張感のある序奏。そして主部では短調と長調のスケールが微妙に交錯する。ブレンデルの、この1977年録音の演奏はやや遅めのテンポで急がず騒がず、展開部に入ってもフレーズの一つ一つをじっくり確かめるように進む。ベートーヴェン演奏にありがちな剛直な感じは皆無。むしろ静寂感が支配しているといってもいいくらいで、ぼくが抱くこの曲のイメージにぴったりだ。一緒に入っている大曲ハンマークラヴィアソナタについてはまたいずれ。


ブレンデルによる告別ソナタ。


楽譜付き音源。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村

関連記事

アンセルメ&OSRのウェーバー



関東地方はきょうも不安定な天気。夜になってからかなり強い雨。昼間は気温も上昇して蒸し暑い一日だった。お盆も終わって八月も下旬。あっという間に年末だなあ…アッ、気が早すぎるか(^^; さて、週明け月曜日。可もなく不可もない一日が終了。エアコンONで部屋も涼しくなったところで音盤タイム。懲りずにアンセルメ盤の検分を継続。


201708_Ansermet_Weber.jpg 201708_Ansermet_Weber2.jpg


やはり気になるアンセルメのドイツ物。取り出したのは、カール・マリア・フォン・ウェーバーの作品を収めた一枚。アンセルメのボックスセット<その他欧州編>の中のDisk31。収録曲は以下の通り。

ウェーバー:『魔弾の射手』序曲
ウェーバー:『プレチオーザ』序曲
ウェーバー:『幽霊の支配者』序曲
ウェーバー:『オベロン』序曲
ウェーバー:『オイリアンテ』序曲
ウェーバー:『アブ・ハッサン』序曲
ウェーバー:祝典序曲
ウェーバー:ファゴット協奏曲ヘ長調 Op.75

ウェーバーはベートーヴェンとほぼ同時代を生きた作曲家。のちのワグナーにつながるドイツオペラの秀作を多く残したことで知られる。しかし、現代ではそのオペラの上演機会は少なく、もっぱらこの盤に収められたような序曲やクラリネット協奏曲などが取り上げられる。知名度の比して演奏機会の少ない作曲家の一人ではないかと思う。実際、ぼくの手元にあるウェーバーの盤も序曲集とクラリネット協奏曲だけだ。しかし、その序曲群が実にいい!取り分け「オベロン序曲」は独墺系管弦楽作品の中でも最も好んで聴く曲の一つだ。ウェーバーならではのホルンを伴った序奏の開始。弦楽群が歌う美しいモチーフ。序奏が消え入るように終わろうとするときの突然のトゥッティ。そして急速な主部へ。いかにも劇的で心沸き立つ展開だ。主部は古典様式そのもののソナタ形式。明確な二つの主題と短いながらも息をもつかせぬ展開部はいつ聴いても感動する。

アンセルメとスイスロマンド管によるこの録音はいずれの曲も古典的造形と速めのテンポ設定。いつもながらの明瞭なパートバランスもあって、スッキリとした印象だ。もっとゴツゴツした肌合いを好む向きには少々軽量級かもしれないが、こうして自宅のオーディオセットで聴いている限り、ぼく自身はまったく不足感はなく、充実した響き。アンセルメのドイツ物を色眼鏡でみるのはもう止めるべきだと感じる。

この盤には当時のOSR首席バスーン奏者アンリ・エレールによるウェーバーのバスーン協奏曲も入っている。こちらも古典的な作風に加えて、初期ロマン派らしい息吹も感じる佳曲。今日バスーン(ファゴット)協奏曲というとモーツァルトかこのウェーバーの二択になるのだろうが、モーツァルトに劣らずバスーンの魅力を伝えてくれる。


アンセルメ&OSRによる<オベロン序曲>。残念ながらこの音源の音質はオリジナルCDに遠く及ばない。


この盤のバスーン協奏曲の第1楽章。


OSRを並んでスイスを代表するオーケストラ:チューリッヒ・トーンハレでバスーン首席奏者を務めるマティアス・ラッツによるバスーン協奏曲の演奏。バックはシモン・ボリヴァル管。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

プチ本番予定



mixiのコミュニティーに<クラシックギター・プチ発表会>というものがある。人前で弾く機会をもって、日頃の成果を発表するもの。練習の励み、場慣れ、といった副次的目的もある。主催者が適当な会場を押さえ事前告知、参加希望者はエントリーして当日現地集合。15~20分の枠で好きなように弾く。参加者は演奏者であると同時に聴衆。互いに弾き、聴くという、ごく内輪の地味といえば地味な企画だ。それでもギター人口の多い関東一円では京浜地区を中心に毎週何箇所かで開催されている。ぼくは2011年にひょんなことからmixiに入ったのをきっかけに何度か参加したのだが、ここ数年すっかりご無沙汰。たまたま今月末に当地で開催の報があったので久々にエントリーすることにした。


201708_JSB_VC.jpg


…とはいっても、日頃の練習もしていないし、常備している手持ちの曲もない。20分の時間枠を埋めるべく、何とか楽譜を追いながら止まらずに弾ける曲でいこうかと思案中だ。楽譜の棚をざっと見回し、過去に弾いた曲もあたり、バッハのチェロ組曲第1番の抜粋をメインにすることにした。プレリュードとサラバンド、それとメヌエット1・2。これで9分程度。あとは昨年いくつか演奏動画をアップした佐藤弘和氏の小品か、あるいはソルの小品をいくつか弾こうかと考えている。

チェロ組曲をギターで弾くにあたっては、まず楽譜の選択が必要だ。全曲版として手元にあるのは、40年以上前に世界に先駆けて出た小船幸次郎版、同じく日本人の佐々木忠による十数年前に出た版、Melbay社のイェーツ版、それと原曲チェロ版(ベーレンライター版)がある。原曲のチェロ版からの編曲に当たってはギターでの調の選択と、ポリフォニックな処理としての音の付加が鍵になる。先日来それらの版を見比べながら第1番を弾いているのだが、どの版にしようか決めかねている。佐々木忠版は原曲ト長調に近い一音違いのイ長調を選び、更に低音の音域確保のためイ長調ながら6弦をDに下げている。その結果、全体に落ち着いた響きでチェロによる原曲の音響イメージ近い。イエーツ版はハ長調。原曲への付加音が比較的少なくすっきりした印象で悪くないが、ハ長調という調性はギターでは案外弾きにくいところがある。今のところ全曲版先駆への敬意を込め、小船幸次郎版で弾こうかと思っている。本当は第1番全曲を弾きたいのだが、小船版のアルマンド、ジーグは付加音された音がかなり多く、しかもそれらの不自然さがどうしても気になってしまいパス。上記の3曲に留める予定だ。


数年前にmixiの集まりで弾いたときの音源。このときも第1番から抜粋でプレリュード・サラバンド・メヌエット1/2を弾いた。途中何度も止まって弾きなおすという<あってはならない>失態を繰り返してしまった。こっぱずかしいけど貼っておこう(^^; 楽器は英チャペル社オリジナルの19世紀ギター(1860年頃)。アクィーラ社の19世紀ギター用ナイルガット弦(アンブラ800)を使用。室内騒音多し。クッション付きの椅子の座り心地が演奏には最悪で、往生した記憶がある。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

バッハで初見練習



ギター弾きの中には、ソロを弾いているときはかなりの難易度の曲を弾きこなしているにも関わらず、ちょっと二重奏で遊びましょ、と楽譜を広げて合わせると思いのほか弾けない輩が多い。あれだけ弾けるなら、このくらいの二重奏は初見でいけるだろうという当てがまったくはずれることがしばしばだ。他の弦楽器や管楽器の連中に比べ、ギター弾きの初見能力が格段に低い現実をみると、彼らとの差を痛感する。


DSCN6126 (560x560)


初見に強くなる方法については、おそらくネットに様々なアイデアやノウハウが出ているだろうから、それらを参考にするのもよいだろうが、やはり基本は多くの楽譜に触れることだろう。以前、スケール練習についての記事を書いた。その中では、マンドリンやヴァイオリン向けの教則本に出いているエチュードも有効だと記したが、先日YOUTUBEでこれはいいかも…というものを見つけた。まあ、もったいつけるほどの話ではない。以下の貼った楽譜付きの音源に合わせて、その楽譜を弾くというもの。

例えばこれ。バッハの協奏曲ト長調BWV980。画面上に流れる大譜表の上段を音源に合わせてギターで弾く。調性もギターで弾きやすい調だし、ほとんどがローポジションで弾ける。旋律楽器のエチュードに比べ、和音を基本とした音形が多く、ギター曲によくあるパターンが盛り込まれている。余裕があれば、下段の低音も所々入れる。32分音符の速いパッセージなどは飛ばしてもよいだろう。多声になっているところ、密集した和音などで無理がある部分は、とっさの判断で重要度の低い音を省略する。


もう一つこれはどうだろう。同じくバッハの協奏曲ロ短調BWV979。こちらもギターで扱いやすい調性だし、音域も低い。ここでも、多声になっているところ、密集した和音などは、いくつか音を省略してもいいだろう。



いずれも、音源と同じ速さで、ともかく止まらずに弾き通す。画面では赤いマーカーがあるので、落ちることはないだろう。ぼくなりの判定基準では、この2曲が音源のテンポで一緒に弾き通せれば(もちろん初見で)、<初級に近い中級レベル>は合格かなと思う。ソルのやさしい二重奏程度は初見で合わせられるだろう。おそらくまともなプロ奏者なら、二段譜を合わせて程々に音の取捨選択をして、適切なテンポで独奏曲として弾けるに違いない(もちろん初見で)。

以下はヤマハが設定した初級の初見課題例。初級者なら一応音を間違えずに出すレベル。中級者なら、曲の構成(形式)、テンポ等を30秒程で把握し、曲想は弾きながらナチュラルに引き出す…という感じかな。
201708_Yamaha_T_sample.jpg


★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
検索フォーム
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)