アンセルメのベートーヴェン第1・第3



八月になった。関東地方は相変わらずじめじめとした梅雨のような天気。盛夏には程遠し。きのうもきょうも気温は30℃を下回った。もっとも湿度はMAX。少し動くと汗だくになる。 さて、相変わらずの毎日ながら、本日も程々に業務遂行。七時ちょうどに帰宅した。ひと息ついて、数日ぶりに音盤タイム。前回の記事に書いたアンセルメのセットの検分を進めようと、この盤を取り出した。


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三つのボックスセットのうち<The Grat European Tradition>と名付けられたセット。フランス音楽集、ロシア音楽集はその名の通りのセットだが、この<The Grat European Tradition>はさしずめ<その他欧州編>とでもいうべきもの。バッハ、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス等の独墺系の他、ファリャやアルベニスといったスペイン物や、レスピーギ、ロッシーニ、ショパン、シベリウス等を含む。今夜はその中から、このセットを手にしようと思ったきっかけの一つとなったベートーヴェンの交響曲集から第1番と第3番が入ったディスクを取り出した。第1番が1963年、第3番が1960年の録音。

フランス、ロシア物のスペシャリストというイメージが強いアンセルメとその手兵スイスロマンド管(OSR)だが、ドイツ物もいくつかの注目すべき録音を残している。ベートーヴェンとブラームスの交響曲全曲と序曲等はその代表。特にブラームスはアルトラプソディーとドイツレクイエムも残している。ベートーヴェン、ブラームス共、以前から様々な評価がある録音で、ぼくも少し前からYOUTUBEで聴いて興味をもっていたもの。今回ようやく正規の音盤で聴くことが出来た。

立派なベートーヴェン!それが最初の印象だ。
第1番ハ長調の第1楽章。下属調の属7和音で始まるという意表つく開始(ギター弾きっぽくコードネームで書くとC7⇒F⇒G7⇒Am⇒D7⇒G)に続く序奏は、実に悠然としたテンポで進む。やや薄めのテクスチャながら明朗な弦楽群、輝かしい木管群の調和。英デッカ自慢のクリアな録音とも相まって、重苦しくはないが堂々とした響き。アンセルメ&OSRへの好意的世評の多くに同様の記載がみられる。OSRの弦編成が具体的にどの程度であったか寡聞にして知らないが、録音セッションンでは12型程度であったものと推測する。それゆえに管楽器群の響きが優勢で、60年代初頭の演奏にも関わらず、何やら昨今のピリオドオケ風のバランスに聴こえるほどだ。響きは全体に軽めだが、録音はコントラバス基音の最低域までしっかり収められており、過不足ない。第2楽章は爽やかによく歌い、第3楽章はメヌエットの指定ながらスケルツォ的に快速調の演奏がほとんどの中、このコンビはよりメヌエットらしい優雅さを残していて珍しい。

第3番変ホ長調<英雄>も出だしの和音からして明朗で開放的な響き。第1楽章展開部に入ると、木管群と弦楽群のやり取りが、明快なコントラストによって見事に描き分けられる。通常なら弦も管もマスの響きで押してしまいがちだが、この演奏は豊富な色彩感とコントラストで進む。第2楽章葬送行進曲の中間部、フーガとなる箇所では通常テンポを落としてじわじわと盛り上げていく演奏が多いが、アンセルメはここでテンポをわずかに上げるという手法を採り、さらにその終盤ではトランペットの強奏が、まるで最後の審判を告げるかのように延々と鳴り続けて驚いた。

このコンビに対するネガティブな評価として、アンサンブル(縦の線の合い具合)や管楽器群の音程に対するコメントをよく見かける。確かに重箱の隅をつつくように耳をそばだてればそうした指摘も可能だろう。しかし今から半世紀以上前にこれだけコントラストが明瞭で、各パートの役割の面白さを実感できる演奏を実現していたことをもって、そうした指摘は十分帳消しに出来ると感じるのだがどうだろう。


この盤の音源で第1番ハ長調の全楽章。第1楽章提示部は繰り返し有り。


同じく第3番変ホ長調<英雄>の全楽章。第2楽章フーガは21分48秒から。そのあと23分55秒過ぎからも注目。トランペットの強奏に驚かないように!



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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