第一回アンドレスセゴビア国際コンクール1981年



書棚を整理していたら、しばらく忘れていた封筒が出てきた。


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大阪のギター製作家:故・松村雅亘氏から届いたもの。十数年前、大阪出張の折の工房を訪れ、その後新作を依頼したり何度か手紙のやり取りをしていた頃のもの。いくつかの貴重な資料に加え、来日したギタリスト:ステファノ・グロンドーナ氏が持参したDVDが同封されていた。

そのDVDは、1981年に開かれた第一回セゴビア国際コンクールのドキュメンタリー。当時BBCが作成して放送されたものを誰かが録画し、二十数年ぶりに、そのコンクールにも出場していたグロンドーナ氏の元へ届いたというものだった。そのコンクールの本選出場者6名の中には、日本から参加した共に二十代だった堀内剛志氏と岩永善信氏が残り、堀内氏はみごと優勝を果たした。そして、堀内氏が使った楽器が、当時ロベール・ブーシェの教えを受け、本格的に日本国内で製作は始めていた松村氏作のギターであった。当時に様子は、雑誌現代ギター誌にも掲載されたので、覚えのある輩もいるだろう。

今では日本人ギタリストも多くの国際コンクールで上位入賞するようになり、個々そして全体としてのレベルも当時と比べると著しく上がった。しかし一方で、コンクール入賞が音楽の終着点のようになって、押しなべて没個性の演奏や音になってしまっている現状も無視できないだろう(これはギターに限らない)。今から三十余年前の当時は、まだまだ世界は遠い時代だったが、高い志と個性が光る時代でもあった。

その貴重な映像を今はYOUTUBEで見ることが出来る。この第一回のコンクールで本選に残ったメンバーは以下の6名(カッコ内は当時の年齢)、堀内剛志(22)、岩永善信(28)、ポール・ガルブレイズ(18)、ステファノ・グロンドーナ(23)、エリオト・フィックス(27)、チェリル・グライス(28)。世界から集まった有能な若者を、暖かく迎える企画運営の様子も伺える。優勝した堀内剛志氏は当然嘱望される存在となったが、その後悲劇的な出来事があり、第一線から姿を消した。この動画の最後で一言そのことに触れている。本ブログではその件についてはこれ以上コメントしないことにする。



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ギター熱上昇中



きょうは帰宅途中に近所のショッピングセンター内の書店へ。雑誌を二冊買い、ついでに音楽書コーナーを覗く。もちろん一般書店なので珍しいものがあるわけではないが、国内クラシックギター関連書の老舗現代ギター社の新譜などは時々置いてある。きょうもあてもなく眺めていたら、そのうち手にしようと思っていた曲集があったので、レジへ持っていった。


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二冊の曲集。一つはギタリストの鈴木大介(1970-)作曲による「12のエチュード」。現代ギター誌に連載されたいたものがまとまっている。今年5月の出版。もう一冊は同じくギタリスト益田正洋(1978-)の校訂・運指によるグラナドス(1867-1916)の「12のスペイン舞曲集」。編曲は益田氏とやはりギタリストで作曲家でもある藤井眞吾氏による。昨年秋の出版。

パラパラとページをめくっただけだが、鈴木大介「12のエチュード」は、それぞれの曲に、はげまし・解き放たれた心・ドルフィン・記憶・ゆれる麦の穂…といった副題が付されていて、弾く前から何となく曲をイメージしたくなる。エチュードだから、曲ごとに習得すべき技術的・音楽的な課題があるのだろうが、現代風の小品としてもおそらく楽しめるのものだろう。

昨年そして今年と、没後100年・生誕150年となるエンリケ・グラナドスのスペイン舞曲集は古くからギター用編曲がなされ、アルベニスの諸作品と共に、近代スペイン音楽の薫りをギターで楽しめる貴重なレパートリーだ。近年、クラシックギターの演奏会で取り上げられる曲というと、70~80年代とは随分様変わりしていて、19世紀の古典ギター黄金期の作品や、スペイン近代の編曲物など、かつての王道プログラムの影が薄くなり、先日の記事に書いたバリオスなど中南米の作品や、ポップスやジャスの感覚を取り入れた現代作品などが増えてきているように感じる。そんな中、益田正洋氏は、古典期のソナタ集を録音したり、この曲集のようなスペイン物も取り上げたりと、かつての王道プログラムを積極的に取り上げ、素晴らしい成果を挙げている。

スペイン物はいずれの曲もその曲調に比して、技術的には中々ハードルが高い。特にピアノからの編曲ということもあって、音の展開に起因する左手の押弦の難易度が高い。このスペイン舞曲集も以前から見知っている曲だが、今回の編曲をちょっと眺めても、安直に楽しむというレベルではなさそうだ。まあ、初見で通せるような安直な曲ばかりでは一向に進歩もないし、少しは気合を入れて取り組もうかと…ひとまず今夜は心に誓ったところだ。さて、どうなるか…


益田正洋氏は以前よりこの曲集の演奏に傾注し、楽譜出版と共にCD録音も完成させた。


福田進一グラナドスを語る


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最近弾いたギター 2017年初秋



最近弾いたギターの印象。備忘を兼ねて記しておこう。
そもそも日々ろくろく弾きもしないのに、楽器についてあれこれ講釈するのは、まったくもって不本意なのだが、気になる楽器があると身体がムズムズしてくるのは、もはや性癖を通り越して病気かも知れない。しかし周辺には更なる重症患者もいるので、気を楽にして程々に病気と付き合っているのが現状だ。最後に楽器を買ったのは2014年秋のオルディゲス(あっ、こんなのもあったか)。その後、症状は落ち着いていたのだが、この春くらいから少々ソワソワが続いている。そんな中、久しぶりに楽器店を巡回。以下順不同にインプレッション他を。どこの店かを明かさない方がいいかなと思い、年式他詳細情報は伏せておく。もっとも、ちょっとネットをサーチすれば分かるだろうが…。


■ドミンゴ・エステソ■
松・シープレスのエステソ。表板・裏板ともクラック修理跡があるが適切に修理されていて問題なし。ネックや指板の状態もよかった。この時代の楽器らしく、軽いボディーと薄めの表板により低音ウルフトーンはF#辺り。低音がドンと鳴り、高音も木質系ながら反応よく、高音のハイポジションのつまりもなし。音量も十分。相場よりも少々低めの価格設定。シープレスというと現代的視点ではフラメンコギターをイメージしてしまうのか、横・裏がローズ系(いわゆる黒)になると、それだけで3割程価格アップする。音に関してはシープレスは決して悪くない。

■フランシスコ・シンプリシオ■
トルナボス付き。松・ローズ。店主が調弦しているときから、6弦開放のEがドーンと部屋に満ちてびっくり。ドンッ、だけでなくサステインもあって、ドーンと尾を引く。高音ハイポジションは全体にややつまり気味だが、トルナボスの響きがのって、曲を弾くとそれほど気にならないだろう。エステソと比べると男性的で豪放な音。全体に均一で整っていたエステソはとは好対照。委託品とのことで、持ち主がペグをピカピカの後藤に替えてあったり、横板と裏板が材質も違っていて、店主曰く、一度開けて裏板を張り替えているようだとのこと。私もそうみた。そのあたりもあってか価格も安めに設定してあった。

■矢木聡明ブーシェモデル■
初めてみる楽器。アマチュア製作コンクールで優勝経験もある愛知の方だそうだ。ブーシェモデルだけにこだわって作っているとのこと。細部まで丁寧に作られていて、特に指板の工作精度は素晴らしく、ほれぼれした。力のある低音と、太い高音で、全体にやや渋めの玄人好みながらいいギターだった。

■佐藤忠夫■
3本在庫してあった佐藤忠夫の作品中、松・メープルのモデルを試奏。特徴的なヘッドデザインが好みの分かれるところだろうか。他全体の工作精度はまずまず。ネックの状態もよい。音もメイプルらしく、少し短めの余韻を伴って、コロコロ・コンコンとよく鳴っていた。低音も十分で、20万円を切る価格は超お買い得と感じた。

■中野潤サントスモデル■
もっぱらトーレスモデルやハウザーモデルで知られる中野潤。サントスモデルは注文主からのオーダーもあって、ギター文化館コレクションにあるサントス・エルナンデスを参考にして作られたとのころ。かなりかっちり作られた印象の楽器。低音力強く、高音も立ち上がり鋭く、エネルギー感もあって良く鳴っていた。年月を経た本家サントスのような枯れた味わいはさすがに無理だが、出来たばかりのサントスかくやと思わせる。

■寺町誠MT-2■
国内中堅製作家という印象の寺町誠氏。それでも東京、名古屋、大阪の複数の販売店が常時在庫する背景には、コンスタントに良品を提供している実績あってのことだろうし、その音質や品質も好評だからに違いない。松・マダガスカルローズ(漆黒板目の良材)の新作を試奏。見かけのプロポーションがフレタ似であることから、もっと男性的な楽器かと思っていたが、それほどガチガチではなかった。低音のウルフはG辺りだが、それより低い音域も充実した鳴り。高音はどの音も均一に鳴り、エネルギー感、サステインとも十分。工作精度、音ともに良い楽器。価格も適正。このレベルの楽器を早い時期に手に入れて長く弾き込むというのは最良の選択の一つだろう。

■一柳マエストロモデル■
松・ハカランダの上位モデル。3年程経過した中古品だったが傷は少なく、ネック他楽器としての状態は良好。低音の充実ぶりは今回試奏した一連の楽器中トップかもしれない。どっしりと深く重く響く。中高音は低音側に引っ張られてか、ややマイルドな印象。太く穏やかな響き。こういうバランスが好みの人もいるだろう。

■パコ・サンチャゴ・マリン■
先日来宅した知人が使っていて、一気にファンになってしまったパコ・サンチャゴ・マリン。今回650mmと640mmの両方を試奏した。松・中南米ローズ。2本とも素晴らしくよく鳴る楽器だった。低音は強いウルフトーンは伴っていないが、6弦ローポジションまでしっかりエネルギー感がある。5弦の7~10フレット辺りのつまりも少ない。高音は先日の印象同様、立ち上がり鋭く、かつ明るくよく鳴り、実に気持ちがいい。


…と、初秋の巡回報告は以上の通り。秋は空気も乾き、楽器のコンディションも上向く季節だ。楽器は弾いてナンボ。さて、こんなろくでもない与太ブログなど書いていないで、練習に励みましょうかね。


フランシスコ・シンプリシオ1929


ドミンゴ・エステソ1930


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布施明



風邪は大事に至ることなく収束方向。きょうは朝から食事もとったし、体調が悪いと受け付けない珈琲も数日ぶりに香りが楽しめた。幸か不幸かこの三連休は台風接近もあってあいにくの予報。さて、のんびり音盤でも聴きながらリハビリにつとめようかと、こんな盤を取り出した。


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手元にある昭和歌謡のLP盤は70枚ほど。まったく脈絡のない集合だが、ほとんどの盤は90年代後半から2000年辺りにかけて手に入れたもの。一部を除いて多くはリサイクルショップのジャンクボックスから@100程で救済してきた。従って盤質は玉石混合で、レコード盤の方ではなく、プレイヤーの針の方が痛むのではないかと思うような酷い状態のものもあって、そんな盤ではスクラッチノイズも盛大に出てくるが、それでも昭和のレコード盤に違いはなく、当時の録音技術、バックバンドの楽器や演奏のレベルなどが当時のままよみがえり、懐かしいことこの上ない。きょうはその中から布施明の盤を選んでみた。盤の状態は極めてよく、若き日の声を存分に楽しめる。

布施明は70年前後シャボン玉ホリデーでお馴染みの顔だった。デビュー当時まだ十代だったが、歌の上手さはよく覚えている。ぼくにとっての布施明は「シクラメンのかおり」以前の、「霧の摩周湖」や「恋」を歌う姿の印象の方が圧倒的に強い。この盤は1968年発売のベスト盤だが、当時はまだ二十歳そこそこであったはずだ。しかし声はよくコントロールされていて、伸びやかでよく通る声が気持ちいい。この頃の歌が今でも歌い継がれる大きな理由の一つは、プロの作詞家によって作られた歌詞と、その日本語を譜割りの音価一つ一つにのせ作った、プロ作曲家の作曲技法によるところが大きいと思う。音程に不自然な跳躍がなく、和声進行も自然で、結果として覚えやすく歌いやすい。今でこそ「そこそこクラシックオタク入ってます」状態のぼくだが、ベースには十代に聴いた歌謡曲や洋楽ポップスがある。歌謡曲もポップスのその和声の源泉は古くからの西洋調性音楽だ。Ⅵ-Ⅱ-Ⅴ7-Ⅰ(Am-Dm-G7-C)の和声進行などは、歌謡曲やポップスに多数見られるが、クラシックではバロック音楽時代以来の常套句。決して異質なものではなく、共通点も多い。遥かイタリアン・バロックに思いをはせつつ、昭和レトロの歌謡曲を聴くのもまた一興だ。


名曲<霧の摩周湖> この盤の音源と同じく初出時の音源と思われる。かぶせてある映像は…90年代以降でしょうかね。


こちらは70年代終わりから80年代初頭か。


2005年だそうです。


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パコ・サンチャゴ・マリン作のギター



きのう土曜日、ギター製作家:田邊雅啓さんからの紹介ということで、お二方が拙宅にぼくの田邊ギターを試奏に来た。お一人は男性。もうひと方、一緒にギターアンサンブルを楽しんでいるというお仲間の女性。その男性がギター買い替えを検討していて田邊さんの楽器が候補になり、工房まで相談にいった由。たまたまその方が拙宅の近所ということもあって、田邉さんから私を紹介されたというもの。田邊さんの楽器の他、手持ちの楽器もお披露目して試奏してもらった。


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ぼくの楽器の評価あれこれはここでは置くとして、ぼくが興味をもったのは、同行された女性が持参した楽器。その女性は高校の部活時代からのキャリアがあって、指さばきを見ただけで、中々の弾き手だと分かった。その方が持参した、昨年購入したというパコ・サンチャゴ・マリン作の楽器。これが素晴らしかった。新作の640mmで都内某ショップで試奏して、すぐにピンとくるものがあって決めたとのこと。

グラナダの名工:アントニオ・マリン(1933-)の甥っ子にあたるパコ・サンチャゴ・マリン(1948-)。マリン系列は明るく良く鳴るグラナダ系の代表格。アントニオの息子ホセ・マリン・プラスエロ(1960-)の楽器は一年間程使ったことがあった。明るい音でよく鳴る楽器だったが、やや軟調で、音そのもの少々飽きてしまったこともあって手放した。以前からサンチャゴ・マリンは本家のアントニオやホセとは異なる作風で、欧州で高く評価されているとの話は聞いたことがあり、十年近く前に一、二度は試奏したこともあったかと思うが、印象に残ったことはなかった。ところが、今回の楽器はとても印象的だった。

ともかく音が明るく、立ち上がりが速くてよく鳴る。低音も強いウルフを伴ったボンッという音ではないが、十分ボリュームがある。ホセ・マリンも同様に明るくよく鳴ったが、サンチャゴ・マリンは音にしっかりとした芯・核があり、浸透力のある強さと重量感も兼ね備えている。サンチャゴマリンを弾いたあと、オルディゲスやハウザー、田邊ロマニ等を手にすると、一様に眠たい音に聴こえ、愕然としたほど。もっとも私が聴く側に回って、それらの楽器を弾いてもらうと、手元の印象とはまた違って、手元では眠たい音(サンチャゴ・マリンに比較して)に聴こえた私のハウザー、ロマニ系の高音も十分前に出ていて太く響き、弾いているときに手元で感じるような差はなかった。あらためて、手元の鳴りと、聴き手への音の届き具合は相関しないものだと認識した。

三人で楽器の品定め。せっかくの機会だからと、持参してもらった三重奏の楽譜を開いて初見大会で楽しく過ごし、また機会があれば遊びましょうとお開きになった。初秋の午後の楽しいひとときだった。


例の海外販売店サイト。サンチャゴ・マリン2012年作を弾くイザベラ・セルダー。ウォルトン「五つのバガテル」から第1番


同 第4番


同 第5番



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セルのブラームス



秋の音楽といえば何だろう…ぼくの場合最初に思い浮かぶのはやはりブラームスだ。彼の故郷北ドイツの港町ハンブルグの街に枯葉が舞い、陽射しのない空に低く冷たい雲が垂れ込める。鬱々としたメロディー、歌い過ぎないロマンティシズム、渋さ極まる和声。嗚呼、ブラームス…(^^;


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…というわけで、枯葉舞う季節にはいささか気が早いのだが、秋の先取り。久々にこの盤を取り出した。 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるブラームスの交響曲全集。数年前にCBSソニーからリマスタリングされて再発されたのを期に手に入れたもの。録音時期は1966~1967年。


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先ほどから第4番ホ短調を聴いている。
いきなり結論めいてナンだが、演奏はいずれも期待に違わず素晴らしい。まずテンポ設定がいい。「標準」といってもまったく個人的な感覚だが、その標準よりもわずかに遅めのテンポ設定。しかも大きなフレーズの切替ポイントでかなり大胆にテンポを落とすところもある。セルは19世紀的ロマンティシズムに根ざした演奏様式とは無縁というのが通説だが、こうして聴くとやはりその伝統を背負っていることを感じる。遅めのテンポだと全体としての響きが渾然一体となって重くなりがちだが、そこはさずがにセル。響きの透明度が高く、各パートの存在が手に取るように分かる。これこそがセルの真骨頂だろうか。もちろん録音の影響もあるが、そうした響きを目指して演奏し、録音技術陣もそれを最善の形で残そうとした結果だ。

セルのトレーニングを受けて鉄壁を誇ったクリーヴランド管弦楽団のアンサンブルも申し分ない。1stヴァイオリンがメロディーをとると、まるでひとすじの絹糸のようにメロディーが歌われる。そのメロディーをヴィオラとチェロが引き継ぐといったフレーズなど、こういうパート間の受渡しがあったのかとあらためて気付かされる。特に緩徐楽章での演奏にそうした美点が顕著に現れ、あらためてその美しさに心打たれた。管楽器の扱いは弦楽群とのバランスを取り調和を図っている一方で、ブラームスの曲でしばしば重要な役割を果たすホルンパートなどは、時にオッと思うほどの強奏を聴かせる。 周到に組立てられた展開、個々のフレーズの扱い、精緻かつ明晰な各パートの動き、そうしたもののベースの上に成り立つブラームスらしい音響と情緒の現れなど、秋色のブラームスにふさわしい名演だ。


第4番の第2楽章。4分10秒からの副主題の提示、そして9分10秒から同主題の再提示と盛り上がる展開はこの楽章この曲のもっとも素晴らしいフレーズの一つだ。



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注文していた靴が届いた。


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神戸の小さなメーカーで職人二人がコツコツ手仕事で作っている。一般市販するほど作れないので、年に二回、春と秋に全国数箇所で受注会を開いて注文を受ける。実は昨年秋に初めてその受注会とやらに行き、そのとき頼んだものが気に入ったこともあって、今回二回目の注文となった。三ヶ月ほど前に頼み、意外と早く届いた。
ダービーシューズというのかな。これ以上ないくらいプレーンなデザイン。ちょっとキザですが…英国トラッド。革張りの底もいい感じ。靴紐はもちろん平紐。注文といっても、足型を取って…というものではなく、デザインとサイズのサンプルを実際に履いてみて、あとは皮の色を選んで注文確定。従来、女性物がメインだったが、最近は男性物も徐々に増やしている様子。 メンテナンスしながら、一生とはいえないまでも、十年や十五年は履けるだろう。値段も思ったほど高くはない。もう少し若い頃にこういうものを選んでおけばと後悔するが、まあ、その頃はそういう余裕も考えもなかったから仕方ない。


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一年近く前に、とあるブランドの既製品で同じ系統の靴を黒とこげ茶の二足購入しているのだが、まだ実際に履いていない。今回のものを頼むとき、デザインがかぶるかなあと思ったが、出来上がってみると、雰囲気はかなり違うので、まあよかったかなと。

左:某英国ブランド 右:今回注文品
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手前が今回のもの 右二足が昨年買った色違い二足
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就職してからメーカーの工場勤務が長く、着る服といえば会社支給のユニフォームだったが、還暦を過ぎて、今更ながら少々身支度に気を遣うようになった。ようやく涼しくなって秋到来も間近。この靴に合うようなセットアップを着てコンサートにでも行こうかと、落ち込みがちな日々にあって、気分をあげるべく画策している。


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Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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