パコ・サンチャゴ・マリン作のギター



きのう土曜日、ギター製作家:田邊雅啓さんからの紹介ということで、お二方が拙宅にぼくの田邊ギターを試奏に来た。お一人は男性。もうひと方、一緒にギターアンサンブルを楽しんでいるというお仲間の女性。その男性がギター買い替えを検討していて田邊さんの楽器が候補になり、工房まで相談にいった由。たまたまその方が拙宅の近所ということもあって、田邉さんから私を紹介されたというもの。田邊さんの楽器の他、手持ちの楽器もお披露目して試奏してもらった。


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ぼくの楽器の評価あれこれはここでは置くとして、ぼくが興味をもったのは、同行された女性が持参した楽器。その女性は高校の部活時代からのキャリアがあって、指さばきを見ただけで、中々の弾き手だと分かった。その方が持参した、昨年購入したというパコ・サンチャゴ・マリン作の楽器。これが素晴らしかった。新作の640mmで都内某ショップで試奏して、すぐにピンとくるものがあって決めたとのこと。

グラナダの名工:アントニオ・マリン(1933-)の甥っ子にあたるパコ・サンチャゴ・マリン(1948-)。マリン系列は明るく良く鳴るグラナダ系の代表格。アントニオの息子ホセ・マリン・プラスエロ(1960-)の楽器は一年間程使ったことがあった。明るい音でよく鳴る楽器だったが、やや軟調で、音そのもの少々飽きてしまったこともあって手放した。以前からサンチャゴ・マリンは本家のアントニオやホセとは異なる作風で、欧州で高く評価されているとの話は聞いたことがあり、十年近く前に一、二度は試奏したこともあったかと思うが、印象に残ったことはなかった。ところが、今回の楽器はとても印象的だった。

ともかく音が明るく、立ち上がりが速くてよく鳴る。低音も強いウルフを伴ったボンッという音ではないが、十分ボリュームがある。ホセ・マリンも同様に明るくよく鳴ったが、サンチャゴ・マリンは音にしっかりとした芯・核があり、浸透力のある強さと重量感も兼ね備えている。サンチャゴマリンを弾いたあと、オルディゲスやハウザー、田邊ロマニ等を手にすると、一様に眠たい音に聴こえ、愕然としたほど。もっとも私が聴く側に回って、それらの楽器を弾いてもらうと、手元の印象とはまた違って、手元では眠たい音(サンチャゴ・マリンに比較して)に聴こえた私のハウザー、ロマニ系の高音も十分前に出ていて太く響き、弾いているときに手元で感じるような差はなかった。あらためて、手元の鳴りと、聴き手への音の届き具合は相関しないものだと認識した。

三人で楽器の品定め。せっかくの機会だからと、持参してもらった三重奏の楽譜を開いて初見大会で楽しく過ごし、また機会があれば遊びましょうとお開きになった。初秋の午後の楽しいひとときだった。


例の海外販売店サイト。サンチャゴ・マリン2012年作を弾くイザベラ・セルダー。ウォルトン「五つのバガテル」から第1番


同 第4番


同 第5番



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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