アキュフェーズ検分 A-70



アキュフェーズ到着から2週間ほど経過した。音を出す出さないに関わらず、帰宅してから就寝するまでは常時通電。音も出さずに通電だけではほとんど意味がないのだが、まあ気休めのエージング。平日はまともに鳴らすことはなく、今のところ気合を入れてボリュームを上げるのはもっぱら週末。きのうの日曜日は一週間ぶりにシステムの検分兼ねてひとしきり音出し。音盤棚を見渡して、いくつかの盤を取り出した。


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きのうは特にパワーアンプA-70の様子を中心に検分した。
先日の記事にも書いた通り、当初パワーアンプはミドルクラスのA-47にするつもりでいたのだが、A-70の中々マッチョなエクステリアデザインに一目ぼれしてしまった。周知の通り、アキュフェーズのパワーアンプには出力段がA級動作とAB級動作とで二つの製品ラインナップが用意されている。A級のラインナップはA-36に始まり、その上にA-47、A-70と続く。A-70はステレオタイプの最上位機種。その上にはモノラル構成のフラグシップモデルA-250がある。


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A-70はほとんど見た目で選んだといってもいいのだが、もちろんそのガタイのマッチョさは音の余裕につながる。とはいえ一般家庭で鳴らすにはその下のA-47でもA-36でも十分、A-70は要らないだろうという見方には当然納得していた。見た目以外の理由を見つけるとすれば、負荷となるスピーカー:アヴァロン・エクリプスの能率定格値が86dB/Wと低めであること、加えて、おそらくかなり複雑なネットワークが構成されていて過渡的なインピーダンスが低いだろうというあたり。下位モデルを選んで、いざというときパワーアンプが馬脚を現すことにでもなったら、悔やみきれないとも考え、アンプ側に余裕があった方がいいだろうという結論に至った。…と、四の五の言っているが、まあメーカー側の商品企画戦略にそのままのせられたということになる。

アキュフェーズの音響バランスというと、ラックスマンのそれとは対照的に、低音から高音までスッキリと立ち上がった摩天楼型といわれる。日頃から音楽の基本はピラミッドバランスの音響が重要と感じているぼくにとって、アキュフェーズのバランスが腰高で軽量なイメージだったらどうしようという危惧があったのだが、音を出して5秒後には、それが杞憂であることがわかった。取り出した盤のいずれからも、以前のシステムを完全に凌駕する低音が聴こえてきた。

スウィトナー&SKBによるシューマン第2交響曲。第1楽章冒頭の序奏では、弦楽群がゆったりと歩むようなフレーズを奏でる。ここでのコントラバス基音の再現性が素晴らしい。スコアを確認していないので定かでないが、おそらくpかppの指定と思われるフレーズなので、コントラバス群もごく弱く奏しているのだが、その下支え感が見事。スピーカーが密閉型ということもあって、特定の音が膨らむもこともなく、60Hz以下の基音の音程が明確に聴き取れる。平賀マリカや熱帯JAZZ楽団の盤を少し大きめの音量でかけると、出力ピーク値は100W近くになる。当然それに伴って低音の量も増えてくるが、それぞれの音の立ち上がり、押し出し、収束が一切の遅滞なく行われる。アヴァロン・エクリプスの、見た目これで大丈夫かと不安になる高々22センチのウーファーからは、今まで聴いたことがない低音が飛び出してきた。量的に不足がなく、かつ極めてタイトで高い分解能の低音。アヴァロン・エクリプスがA-70を得て初めて本領発揮。ポテンシャルの高さを見せつけられた。

もちろん、こうした印象はスピーカー以外総入替えしたシステムトータルの結果ではある。しかし低音を支配するウーファーの駆動は、もっともパワーアンプの違いが現れるポイントであることからも、A-70の強力な駆動力ゆえのこの低音なのだろうと、上位モデルを選んだ心理的バイアスも加わって合点した。定格出力60Wと控えめながら、トロイダル型の大型電源トランス、82,000uF×2の大容量電解コンデンサ、10パラのMOSFET出力段等により、1オーム負荷480Wまでリニアに応答する。余裕をもって構成された理想的な定電圧源動作は伊達ではないと実感した次第だ。


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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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