2017年回顧<覗機関編>



年末恒例本年回顧。ブログタイトルをなぞって<音曲編><六弦編>に続き、きょうは覗機関=のぞきからくり編。覗くためのからくり…まあ、オーディオって感じですかね。


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万事に変化の乏しい日々日常。だが、オーディオに関しては今秋、久しぶりの大きな更新を行った。かねてより懸案だったアキュフェーズのセパレートシステムを一気に導入。アンプとCDプレイヤーの全面入れ替えとなった。

 パワーアンプ:アキュフェーズ A-70
 プリアンプ:アキュフェーズ C-2450 (フォノモジュールAD-2850)
 SACD/CDプレイヤー:アキュフェーズ DP-560
 アナログプレイヤー:CEC 930
 カートリッジ:オルトフォン SPU-G
 スピーカ:アヴァロン ECLIPSE
 ヘッドフォン:ゼンハイザー HD800ソニー CD-900ST
 イヤフォン:シュア SE535

一昨年あたりから、まともにスピーカーを鳴らす機会が減った。夜半になって、食卓テーブルにおいたノートPCで与太ブログを書いたりネットを覗いたりしながら、PC付属のドライブにCDをセットしてそのままヘッドフォンリスニングということが多い。オーディオ的には及第点に届かない構成だが、うるさいことを言わなければ深夜のチョイ聴き確認にはオッケーのレベルだ。

スピーカーと対峙して聴くときには、もちろん音楽を楽しむことに違いはないが、数年前にスピーカーをアヴァロンECLIPSEにしてからは、ECLIPSEが提示する音場感に浸るのが主目的になってきた。オーケストラはもちろんミニチュアサイズだが、左右の広がり、前後方向の奥行きなど、実際のステージをイメージして聴く。ピアノやチェロ、ギターなどの器楽曲は、音量設定を適切に行えば実際の楽器を目前にする感じにかなり近く、リアリティ満点だ。 スピーカーの解像度や音場感が向上すると、音盤に刻まれた情報にはまだ奥があるのではないかと<欲>が出てくる。そんな欲がゆえに、オーディオの泥沼にずぶずぶと沈みこむ輩も多いわけだが、その気持ちも理解できる。理解は出来るが、それを具体化するためには相当な財政出動が必要。そこで逡巡、停滞、撤退、突進…と分かれることになる。そして今年は秋になって、一気に突進となった。

プリアンプの最新モデルC-2450は、音盤からピックアップした情報を細大漏らさずパワーアンプへ送り込み、予定していたモデルからワンランクアップしたパワーアンプA-70は、音楽を色付けしない摩天楼型のエネルギーバランスを保ちながらも、押し出しのいい低音を聴かせてくれる。当初、アンプが変わっても音に大きな変化はあるまいと踏んでいて、アンプの入れ替えは、ちょっとしたお楽しみとして散財のカタルシスを味わうくらいだろうと予想していた。しかし実際に入れ替えてみるとの、その音の刷新ぶりに驚いた。それまでがアンプL-570・プレイヤーD-500ともにラックスマンの、それも四半世紀前のモデルで、同社のまったり系キャラが濃厚なモデルだったこともあって、アキュフェーズの高解像度路線の音に接したときには、月並みな表現だが「こんな音まで入っていたのか」と驚いた。同時に、アヴァロンECLIPSEの身上とする音場感がより一層際立つようになり、前後左右に加え、上下方向の空間再現もより明確になったように感じる。

まともにスピーカーと対峙して音楽を聴くことも以前と比べ少なくなった状態でオーディオセットを入れ替えるのはどうしたものかとも思ったが、限られた機会、限られた時間だからこそ、そのときは出来るだけいい条件で聴きたいと、勝手な理屈でちょいと散財。結果的には今回の突進作戦は無事勝利。音楽の聴き方をより深化させ、投資回収に努めようと思っている。


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さて、今年もいよいよ押し詰まり、残すところわずか。代わり映えのしない本ブログの与太記事にお付き合いいただき、まことにありがとうございました。年内更新はこれにて終了。来年もまたマンネリMAXでスタートの予定。引き続きよろしくお願いいたします。 最後にこれも年の瀬恒例の長講一席。冬の噺<二番煎じ>をじっくりと、そして大晦日の晩は五郎との再会で本年も大団円のクロージング。それではみなさま、よいお年を。年明けにまた!


2001年に急逝した志ん朝は若い頃ドイツ語を学び、大のクラシック音楽ファンでもあった。



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2017年回顧<六弦編>



本年回顧<音曲編>に続き、きょうは<六弦編>。マイ・ギターライフを振り返る。
クラシックギターを始めたのは1970年高校一年のときだから、足掛け四十年余ということになる。といっても長いブランクもあり、本格再開したのは50歳を前にした頃。 再開後は遅れてきた道楽バブルよろしく、楽器調達に他流試合にと楽しく過ごしてきた。幸い、若い頃に比べて指が動かなくなったという感じはない。当時弾けたものは今も弾ける、弾けなかったものは今も弾けない。しかし還暦オーヴァーとなった今、それもいつまで続くか。短時間でも毎日楽器に触れるようにしたいと思うが、中々それも出来ずにいる。

現状
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恥ずかしい過去
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◇楽器◇
今年は楽器の出入りはなし。一昨年からメンバー固定継続。ギター再開から十年余となり、この間、恥ずかしいほど様々な楽器を手にしてきたが、ここにきてようやく収束の感がある。ハウザー3世、ラミレス3世、オルディゲス、サイモン・マーティー、田邊雅啓、英チャペル、手持ちの楽器のいずれもがそれぞれに個性的な音を奏でてくれていて、不足も不満も少ない。もし今後出入りの可能性があるとすれば、かねてよりいくつかの楽器店に声をかけている楽器が入荷したときくらいだろうか。サントス、エステソ、アグアド…そのあたりで状態のよいものがあればという話だが、何としてもというほどの熱意もなくなった。

◇宅録◇
今年は年頭に小品をいくつか録音したものの、それ以降は録音からも縁遠くなってしまった。そもそも、身辺諸事情もあって楽器を手にする時間が激減してしまった。何週間も楽器を手にしないこともあって、たまにケースから取り出しても練習らしい練習には至らず、気ままにスケールやエチュードを弾いておしまいということが多かった。
あちこちで見聞きした受け売りのブログ記事など書いているよりは、楽器は弾く身であれば下手でも演奏録音のアップの方がずっとオリジナリティーがあるだろう。録音して聴いてみると、自分が意識せずに弾き飛ばしているところ、意識しているが理にかなっていないところなど、よくわかる。楽器弾きは録音すべし、と自戒の一年だった。

◇アンサンブル◇
アンサンブルに関しては、同じギターの他フルートやチェロの相手にも恵まれながら、ぼくの個人的事情でお誘いに応じられない状況が続いている。今年は三月にチェロ相方の弾くヴィヴァルディのチェロソナタに<なんちゃって通奏低音>で参加したのが唯一だった。アンサンブルはソロ演奏よりずっと楽しい。何とか時間を作ってトリオやデュオで遊ぶ機会をもちたいと思っている。


以下はYOUTUBEにアップしている演奏音源。楽譜を開いて、初見プラスアルファでチョイ弾きした小品ばかり。それぞれがプレイリストになっている。リンクをクリックして<すべて再生>を押すと連続再生がスタートする。繰り返し聴く気になるようなものではないが、まあひやかしに覗いて「下手くそ、このスットコドッコイ!」とでも叫んで下さいな(^^;

◇佐藤弘和 48のやさしい小品集より Part1◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efOLDDkOMwokgUCGY3GUTuha
◇佐藤弘和 48のやさしい小品集より Part2◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efMx1g8mfgVwTs01Mb2mcFyu
◇佐藤弘和 48のやさしい小品集より Part3◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efMzw-WemSAXiJn6tH6RWYZt
◇佐藤弘和 48のやさしい小品集より 短調作品三題◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efODQA8HTN1EoudAw9qt7jsX
◇カルカッシ 25の練習曲より◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efNzj41ayqkwX7nnC_lymnUN
◇初級定番課題曲三題◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efNJHgnBPU02uKzWvj3TO0mq
◇フルート・チェロとのアンサンブル◇
https://www.youtube.com/playlist?list=PLjAvYRun0efOSB3ANatVR54NDEbZnt_yy


以下の本ブログのギター関連記事リンク。
◇ギター工房訪問記◇
庄司清英(大阪)
野辺正二(浦和)
中山修(久留米)
堤謙光(浦和)
廣瀬達彦/一柳一雄・邦彦(名古屋)
松村雅亘(大阪)
西野春平(所沢)
田邊雅啓(足利)
田邊工房2014年

◇ギター関連カテゴリー◇
カテゴリー<楽器談義>
カテゴリー<ギター全般>
カテゴリー<演奏録音>


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2017年回顧<音曲編>



今年も残すところ数日となった。
マンネリMAX、与太記事続きの本ブログだが、年の終わりのまとめとして本年述懐。ブログタイトル<六弦音曲覗機関:ろくげんおんぎょくのぞきのからくり>の成り立ちより、本日はまず<音曲編>を。ここ数年の述懐とほとんど変わらない状況に、我ながら進歩のなさと加齢を実感しつつ、まあ仕方ないかなあと。

さて、今年2017年は270本余の記事を書き、その中でおそらく200枚程の音盤を取り上げた。10月にはブログ開始から7年が経過し8年目に入った。記事の総数はまもなく1800。記録していないので定かでないが、記事にした盤は1500枚程度になるだろうか。
昨年あたりからそうであが、音盤棚の目に付くところにあって、よく聴く盤は大体取り上げたかもしれない。もっとも総在庫4000枚余の確認を記事にしていると一生続きそうになるが、そう意識して確認するつもりもないし、土台無理な話だ。もちろん新たな音盤購入は皆無といっていい状態だし、中古レコード店巡りはもうやるつもりはない。魅力的ながらCDのボックスセットに付き合うのもそろそろ止めにしようと考えている。


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…といった舌の根も乾かぬうちにナニではあるが、わずかながら新規調達もあった。
わずかながら…といいながら、トータル300枚ほどになるアンセルメのボックスセット。この夏、暑さのピークにあった頃、フランス編・ロシア編・その他欧州編の3セットを大人買い。メジャーレーベルの英デッカ盤ではあるが、相変わらず続く音盤デフレ状況の産物ということもあって、廉価で手に入れた。呑み助なら居酒屋飲み代数回分。下戸のぼくにはその出費はないから問題ないだろうと勝手な理由付け。もっともこのセット購入には、アンセルメのドイツ物が意外にいいという評判もあってのこと。ポケットマネーがあったので、つい手が…という安易な理由でもない(そんな言い訳はどうでもいいのだが…)。手にしたアンセルメ&スイスロマンド黄金期の記録は聴き応え十分。よい買い物だった。特にベートーヴェン、ブラームス等ドイツ物は期待を裏切らないもので、このコンビのドイツ物を色眼鏡で見る必要なまったくないと合点した。本命のフランス編やロシア編は、実のところまだあまり聴いていない。このコンビの全録音中、相応の枚数に及ぶボックスセットだが、よくみるとファリャ:三角帽子、ストラヴィンスキー:春の祭典、といって重要曲のステレオ録音盤がいくつか抜けているのが少々残念。いずれもこのコンビの看板のような曲でもあり、レギュラー盤のセールスに影響しないようにとの企画意図だろう。もちろん膨大なカタログをもつこのコンビのコンプリートセットというわけではないので、仕方がない面もある。

アンセルメのセット以外で新規購入した盤はごくわずか。益田兄弟の弟:益田展行のバッハアルバム、大木和音のチェンバロは、いずれも演奏会会場でのメモリアルとして手に入れた。 益田展行氏の演奏会はアルバム同様、オールバッハという意欲的なもので、当日の出来もすこぶる良かったのを思い出す。 大木和音の演奏会とこの盤は、チェンバロ末期の大型楽器のレプリカを使い、バッハやソレルといった当時のオリジナルに加え、アルベニスやグラナドス、モンポウなど、スペイン近代のピアノ曲をチェンバロで演奏するというもので、ギター弾きにもお馴染みのこれらの曲に新たな光をあて、まったく違和感はなく楽しめた。益田兄の正洋氏のよるグラナドス:スペイン舞曲集と福原彰美のブラームスはごく最近手に入れたもの。いずれも近年聴いた盤の中ではもっとも印象に残るものの一つで、企画・演奏・録音ともに優れた盤だと感じた。福原彰美のブラームスについては、近々あらためて取り上げたい。

今年手に入れた盤は以上。かつて年間200枚以上買っていた頃にくらべたら、ゼロに等しい。そもそも、以前のように音盤と対峙してい聴くようなことも数えるほどになってしまったし、新しいものに手を出そうという意欲も日に日に減退している。音盤棚の手元在庫に関しても、あれこれ未聴盤がまだあることを承知していながら、相変わらずバッハ、ハイドン、ベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーと、独墺偏重の在庫確認に終始した。


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そんなこともあって、音盤在庫もいずれ整理しようと思っている。その「いずれ」がいつなのか。健康寿命を残り20年と勝手に決め、ボチボチと…という意識にはなってきた。 数年前に、音盤に押されて場所を失った書籍千冊程を処分した。処分する前には、後悔の念に襲われるのではないかとも思っていたが、実行してみればあっさりしたもので、どうということはなかった。レコードやCDもと思うのだが、こちらは高校時代に最初に買ったレコードからして、ほとんど処分していないという現実があって思案中だ。できれば、ぼくよりふた周りくらい若い世代で熱心な音盤マニアがいれば、みんな持っていって!とお願いし、20年後には手提げ鞄一つに道楽の品を収まる程度にして、跡を濁さずの状況を作りたいのだが、さて実行かなうか、かなわざるか。去年の今頃も同じうようにつぶやいていたが、今年もまた同じかと、進歩のなさに溜息MAXの年の瀬述懐である。


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クリスマス・2017



休日と重なったクリスマスイヴ。ちょっと忙しく過ごした。午前中、往復200キロのとんぼ返りドライブ。要件は…2015~2016年にボランティアで一年間お預かりしていた盲導犬パピー(その後適正検査に合格して現在は盲導犬デビューを前にした最終訓練中)を年末年始にお預かりすべく所属協会へ。昨年の年末年始にも里帰りしていて、一年ぶりの再会となった。


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この10月から新たに迎えている、まだまだヤンチャ君のパピーが歓迎の大はしゃぎ。二歳年上のお姉さんは余裕の対応で受け流し、お互い疲れてようやく落ち着き、眠りについたところのツーショットです。

昼過ぎからは車ディーラーへ。あれこれ思案していた車の納車。11年間15万キロ乗ったプリウス号とお別れし、新たな相棒となるVWゴルフとご対面。当初二か月ほどかかるとふんでいた納期が意外に早く、年内納車となった。 なんちゃってレッドカーペットもどきがある<納車室>でパチリ。40年間何台か車を乗り継いできたが、納車時の写真を撮るのは初めて。子供じみていて少々恥ずかしいが、あとにも先にも今回だけということで、ひとつ…


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<納車の儀>を終え、自宅まで足慣らしドライブ。1.4リッター直噴ターボは、出来のいい7速デュアルクラッチトランスミッションとのコンビネーションもよく、低回転域から最大トルクを発生し、アクセルを軽く踏むだけで力強く加速する。乗り味、静寂性、いずれも文句なし。カーナビゲーションを中心とするデジタル系情報管理はスマートフォンとの連携で様々な機能を提供してくれるようだが、とても短時間では把握しきない。まあ、ボチボチ確認しましょう。


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帰宅後、夕方まで少しの時間で聴いたのはこの盤。
モーリス・アブラヴァネル(1903-1993)指揮ユタ交響楽団によるルロイ・アンダーソン名曲集。手持ちの盤は1998年に<ヴァンガード・クラシック特選名盤>というシリーズでキングレコードからミドルプライスで出たときのもの。1967年録音。収録曲は以下の15曲。

 そり滑り、ブルー・タンゴ、トランペット吹きの子守歌、舞踏会の美女
 ラッパ吹きの休日、忘れられし夢、シンコペーテッド・クロック、
 プリンク・プレンク・プランク、フィドル・ファドル、サンドペーパー・バレエ
 タイプライター、サラバンド、ベルの歌、ジャズ・ピチカート、セレナータ

聴いていて幸せな気分になる音楽はいくつかあるが、アンダーソンの曲のその一つだろう。ウィンナワルツ集も素敵だが、どこかあらたまったよそいきという感じだし、モーツァルトのホルン協奏曲も晴れがましく最上の気分になるが、やはり高貴さが先に立つ。その点アンダーソンは日常的で微笑ましく、それでいて気がきいていて、ノスタルジックで…。年齢、音楽的バックボーン、そういうものを問わずに楽しめる。アンダーソン名曲集は昭和時代の健全家庭におけるホームミュージック的雰囲気もあり、一家に一枚あっていい盤だ。


この盤の音源で、時節柄<そりすべり>


<そりすべり>のジャズヴァージョン。



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一周忌



ギタリストで作・編曲家として活躍した佐藤弘和氏が亡くなってから一年が過ぎた。2016年12月22日に50歳の若さで世を去った。


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1966年弘前市生まれの佐藤氏は一流のギター奏者であると同時に、多くのギター曲を残した。弘前大学教育学部で音楽を専攻され、クラシック音楽全般に精通。とかくギター音楽だけに偏重しがちなギター界にあっては貴重な存在だった。佐藤氏は自身の作品に関して、作曲のモットーは「弾き易くわかり易くメロディックであること」といい、また「楽器としてのギターを弾くことだけに偏りがちな傾向を打破するために、普遍的な音楽の中でのギターというものを考えていきたい」との信条をお持ちだった。

佐藤氏の作品には規模の大きなソナタもあるが、同時に、そうした信条を反映した技巧的に無理のない、シンプルで音数の少ない小品も多い。そしてそうした小品においても、豊かなメロディーと気の効いたモダンな和声が施され、弾いていて気分のよくなる曲ばかりだった。

ぼくは数年前にmixiを通じて知遇を得て、何度かメールのやり取りをした程度のお付き合いであったが、「与太さんの作った作曲家年表をレッスン室に貼りましたよ。とても便利。タレガとムニエルやカラーチェの同時代性を確認できて面白かった!」と返信を受けたことがあった。 また、知人とmixiの発表会で弾いてYOUTUBEにアップしたグラニアーニの三重奏に対して、「いい雰囲気で楽しそう!音楽がよく流れていますね!」とコメントいただいたことを思い出す。

この一年で遺作ともいうべき作品集がいくつか出版された。中級レベルのアマチュアギター弾きが座右において楽しむには格好の小品群が並んでいる。ページを開いて、その日の気分で気軽に楽しみながら、同時に、楽曲の様式感や和声の感覚など、音楽的にも充実感を味わえる小品集として、これからも折にふれ弾いていこうと思う。


最近、録音から遠ざかっているので、以前何度かアップした古いもので失礼。
昨年出版されたから<48のやさしい小品集>からヘ短調の「北の歌」


同「葬送行進曲」


<小シチリアーナ> 5年程前に録音した音源。野球の投球で「ボールを置きにいく」という表現があるが、この演奏は「音符を置きにいっている」ような演奏。シチリアーナの流れが感じられない悪いサンプルだ。与太!喝ッ!



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ピアソラ<タンゴの歴史>



相変わらず寒い、寒い。けさの関東地方は都心でも内陸の当地並みに氷点下近くまで冷え込んだようだ。近年、暖かい年の瀬というフレーズばかりだったので、寒さMAXの年末の悪くない。と、そんなことを思いながら、きょうも7時ちょうどの帰宅。鍋物つついてホッとひと息。久しぶりにこんな盤を取り出した。


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ナクソスから出ているピアソラのフルートとギターのための作品を収めた盤。
ギターソロの<5つの小品>、フルートソロの<タンゴエチュード>、それとフルートとギターのための<タンゴの歴史>が収録されている。中で人気の曲は「タンゴの歴史」だろう。この曲は、ボーデル1900、カフェ1930、ナイトクラブ1960、コンサート現在、の4つの曲からなる。フルートパートはよくわからないが、ギターパートはアマチュア上級なら何とか演奏可能な技巧レベルで、プロ・アマ問わずよく演奏会で取り上げられている。またフルートの他、ヴァイオリンやチェロでソロパートを弾くことも多い。

ボーデル1900は軽快なフルートのパッセージとそれに呼応するリズミックなギターとで曲が進む。カフェ1930は深い抒情をたたえたメランコリックな旋律が印象的かつ美しい。ナイトクラブ1960は速い躍動的な部分と、それと対照的にテンポを落として歌われるメロディーの対比が素晴らしい。中間部、ギターの半音階進行にのせてフルートが奏でる旋律が印象的だ。

90年代になってクラシック音楽は辺境への広がりを見せるようになった。その一つの表れがピアソラの音楽だろう。様々な形態で演奏されるピアソラだが、フルートとギターという組み合わせは珍しい。フルートというと、すこぶるノーブルな楽器というイメージで、辺境の抒情というには少々アクが足らないかと思ったが、どうして中々いい。演奏しているフルートのイルムガツト・トッパー、ギターのウーゴー・ヘルマン・ガイド、共に美しい音色でこの曲の魅力を堪能させてくれる。ブックレットにのっている写真をみるとギターのヘルマン・ガイドは随分こわもてに見えるが、演奏は繊細かつ深い呼吸で文句のない出来栄えだ。


タンゴの歴史・第1曲<bordel1900>の佳境。所々にある左手の拡張箇所は難易度高。8分音符M=180の指定。
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この盤を手に入れた十年近く前は、いつかこんな合わせ物をやってみたいなあと思っていたが、数年前にひょんなきっかけからフルート吹きとチェロ弾きのハイアマチュアの方と知遇を得て、この曲も含めて何度か遊んだ。チェロ相方とは、このタンゴの歴史を、またフルート吹きとはジュリアーニやイベールを合わせる機会があった。このところちょっとご無沙汰だが、いずれもまた合わせる機会もあるだろう。そのときのために、時々合わせ物の楽譜を広げてさらっておこう。


Bordel1900 ギター奏者の使用楽器はサイモン・マーティー


Cafe1930 この曲はチェロがよく合う。 4年前に初めてチェロ相方と合わせときのことを思い出す。


NightClub1960 寺田愛(Fl)、松田弦(Gt)



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村上春樹の部屋



週末土曜日。昼をはさんでちょいと外出。近所のショッピングセンターの横を通ると駐車場は満杯。入庫待ちの車が公道に列を成していて驚いた。ボーナス支給、年末、クリスマス…店はかき入れどきだ。 そんな師走の光景を眺めつつ帰宅すると、アマゾン経由で注文していたムックとCDが届いていた。


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CasaBRUTUS特別編集「音のいい部屋」とCD2枚、益田正洋(G)と福原彰美(P)の新録音。
主に大人男性向けの雑誌として発刊された「サライ」。それに続いた「AMUSE」(廃刊)や「男の隠れ家」といった一連の雑誌で、「ステレオサウンド」や「無線と実験」といったオーディオ専門誌とは違った切り口で、音・音楽をテーマとした特集が組まれることがある。ときの流行りや編集担当者の嗜好が反映されてそうしたテーマが決まるのだろうが、ここしばらく音楽やオーディオの特集を見かけなかった。今回のムックでは、雑誌Casaらしい切り口で音と音楽を軸に、様々な人たちの部屋、音のいいレコードBAR、オーディオショップなどを紹介している。


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こちらは十年前
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記事の一つとして村上春樹の部屋が取り上げられているのだが、たまたま十年程前にもステレオサウンド別冊で同じように氏の部屋が取り上げられていて、この十年の変化が見て取れて興味深い。仕事場を兼ねる部屋は相変わらずきれいに整理されているし、全体のイメージも変わりがない。メインのスピーカは長年使っているJBLのバックロードホーンで不変だが、十年前にあったLINNのトールボーイ型スピーカがなくなり、代わってタンノイのバークレイが置かれている。アンプは以前と同じアキュフェーズのプリメインE-407に、OCTAVE社の真空管アンプが加わった様子。レコードプレイヤーは継続使用のトーレンスTD520の横に新しいラックスマンPD5200が並んでいる。ステレオ用・モノラル用で2台体制になったとのこと…等々。評するのは僭越だが、音楽愛好家らしい堅実なシステムで好感がもてる。

この手の特集で様々な人の書斎や道楽部屋を見ると、自分の方寸小部屋の参考にしたくなる。今回取り上げられている「音のいい部屋」の主の多くはぼくより若い世代。そしてそのオーディオシステムにはヴィンテージ品によるものも多い。ここ数年ですっかりありがちな今風システムになった我がオーディオシステムだが、こういう記事をみると、以前の2S-305と真空管アンプによる「昭和なシステム」に回帰したくもなる。まあ、あれもこれもというわけにはいかず、悩みつつも、どこかで折り合いつけ、分相応にやっていくしかないのだが。

2枚のCDについては、近々あらためて。


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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