一周忌
ギタリストで作・編曲家として活躍した佐藤弘和氏が亡くなってから一年が過ぎた。2016年12月22日に50歳の若さで世を去った。

1966年弘前市生まれの佐藤氏は一流のギター奏者であると同時に、多くのギター曲を残した。弘前大学教育学部で音楽を専攻され、クラシック音楽全般に精通。とかくギター音楽だけに偏重しがちなギター界にあっては貴重な存在だった。佐藤氏は自身の作品に関して、作曲のモットーは「弾き易くわかり易くメロディックであること」といい、また「楽器としてのギターを弾くことだけに偏りがちな傾向を打破するために、普遍的な音楽の中でのギターというものを考えていきたい」との信条をお持ちだった。
佐藤氏の作品には規模の大きなソナタもあるが、同時に、そうした信条を反映した技巧的に無理のない、シンプルで音数の少ない小品も多い。そしてそうした小品においても、豊かなメロディーと気の効いたモダンな和声が施され、弾いていて気分のよくなる曲ばかりだった。
ぼくは数年前にmixiを通じて知遇を得て、何度かメールのやり取りをした程度のお付き合いであったが、「与太さんの作った作曲家年表をレッスン室に貼りましたよ。とても便利。タレガとムニエルやカラーチェの同時代性を確認できて面白かった!」と返信を受けたことがあった。 また、知人とmixiの発表会で弾いてYOUTUBEにアップしたグラニアーニの三重奏に対して、「いい雰囲気で楽しそう!音楽がよく流れていますね!」とコメントいただいたことを思い出す。
この一年で遺作ともいうべき作品集がいくつか出版された。中級レベルのアマチュアギター弾きが座右において楽しむには格好の小品群が並んでいる。ページを開いて、その日の気分で気軽に楽しみながら、同時に、楽曲の様式感や和声の感覚など、音楽的にも充実感を味わえる小品集として、これからも折にふれ弾いていこうと思う。
最近、録音から遠ざかっているので、以前何度かアップした古いもので失礼。
昨年出版されたから<48のやさしい小品集>からヘ短調の「北の歌」
同「葬送行進曲」
<小シチリアーナ> 5年程前に録音した音源。野球の投球で「ボールを置きにいく」という表現があるが、この演奏は「音符を置きにいっている」ような演奏。シチリアーナの流れが感じられない悪いサンプルだ。与太!喝ッ!
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