エヴァ・リンドのウィンナソング
ぼちぼち正月気分も終わって日常回帰。これといって正月らしいイヴェントもなく終了。元旦恒例のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートもどこへやらの正月だった。実のところニューイヤーコンサートをここ近年まともに観ていない。映像もより美しくなり演出も華やか。まこと正月には相応しいのだろうが、昔と違ってこちら側の問題で、斜に構えているつもりはないが、何となく居心地がよくなくなってしまった。近年で印象に残ったのは2010年のジョルジュ・プレートル(1924ー2017)のときくらいだろうか。そうはいっても何となく華やいだ音楽はやはりこの時期に聴きたくなる。そこでこんな盤を取り出した。


ソプラノのエヴァ・リンド(1966-)のソロデヴューアルバムとして出たウィンナ・ワルツを集めたレコード。伴奏はフランツ・バウアー・トイスル指揮ウィーンフォルクスオパー。1986年の録音で翌年リリースされた。時代はCDへの移行が進んでいた時期でアナログレコードとしては最後期のものだろう。収録曲は以下の通り。お馴染みのウィンナワルツが並んでいる。中ではアルディーティの曲が珍しい。
J.シュトラウス2世
1. 春の声
2. 愛の歌
3. オペレッタ「カサノヴァ」~尼僧たちの合唱
4. レモンの花咲くころ
ヨゼフ・シュトラウス
5. オーストリアの村つばめ
アルディーティ
6. 話して!
J.シュトラウス2世
7. シーヴェリングのリラの花
8. 皇帝円舞曲
ウィンナワルツはやはりウィーンのローカルな味わいが身上だ。ジプシーやハンガリーの土の匂いが残るくらい、あまり立派でインターナショナルでない方がいいというのが持論で、そんなところから近年のニューイヤーコンサートに居心地の悪さを覚えてしまう。ウィーンフィルでいえばやはりボスコフスキー時代が格段に雰囲気があるが、このフォルクスオパーには土着のオペレッタ劇場の雰囲気を感じる。他ではロベルト・シュトルツが振ったものなども格別の味わいがある。
さて、この盤。当時エヴァリンドは22歳。人気上昇中の時期で、まことに若々しい声とチャーミングな歌いっぷりだ。フランツ・バウアー・トイスル指揮ウィーンフォルクスオパーのバックも決して出過ぎずに程々の塩梅。これがウィーンフィルだともっと華麗に響き、歌ってしまうだろう。珍しいといったアルディーティの<話して!>はやはりウィンワルツの<接吻円舞曲;イル・バチオ>と共に彼の名を残した曲だ。たまたま<接吻円舞曲>は隣り町のマンドリン楽団で演奏したこともあって、アルディーティの名前が印象に残っている。イタリア人の彼だが完全にウィンナスタイルの曲を作り、当時夫人とヨーロッパ中を演奏旅行したらしい。B面最後のトラック、定番の<皇帝円舞曲>ではフォルクスオパーの合唱団も入って一層雰囲気を盛り立てる。情緒豊かな管弦楽と楚々とした歌いっぷりは、新年の清々とした気分によくマッチしていて好ましい。
このレコードから25年を経てエヴァ・リンドも相応に歳を重ねたが、幸い?大アネゴにはならず、チャーミングだ。2009年中東ドバイのホテルでウェルシ社のオルガン伴奏で歌うリンド。
ルネ・コロとのデュオ。メリーウィドウ・ワルツ。
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