N・コスト<25のエチュード>



通勤車中で聴いた今朝の「きらクラ!」は、日本のブラジルこと当地群馬県大泉町での公開収録。ゲストにフルートの高木綾子とギターの大萩康司が出演。ぞれぞれのソロに加え、タンゴの歴史からカフェ1960や、遠藤真理・大萩康司でヴィラ・ロボスのブラジル風バッハなどお馴染みの曲が楽しめた。最後は恒例のサンバ・ブラジルで大団円。観客へのインタビューで九州大分から来ているという人がいて驚いた。

さて二月に入りきのうは立春。しかし寒波の波状攻撃が続き相変わらず寒い日が続く。それでも日中の陽射しは柔らかく、すっかり伸びた夕刻の日足は春が近いことを告げている。そんな中、本日も業務に精励。七時ちょうどに帰宅した。ひと息ついて、きのうから部屋に出しっぱなしの楽器を取って少々練習。こんな楽譜を開いた。


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19世紀古典ギター全盛期に活躍したギタリストで作曲家のナポレオン・コスト(1805-1883)残した<25のエチュード>。昔から中級レベルを終えて上級に差し掛かるアマチュアギター弾きの課題となる曲集。いくつかの版があるようだが、手持ちの楽譜は1970年前後に全音楽譜出版から出ていたもの(現在も入手可能)。小船幸次郎氏夫人の小船照子監修。かなり細かなアーティキュレーション指示が付されている。裏表紙に記された定価は250円。買い求めたのは高校二年の頃。当時に通っていた高校校門前にあって、野郎どもの空きっ腹を満たしていた食堂のラーメンや焼きそばが100円だった時代だ。

きのうきょうと全曲をあちこちつまづきながら通して楽しんだ。もっとも一般の曲ならともかく、練習曲をいい加減に通して弾いてはまったく意味がないのだが…。それはともかく、久々に弾いてみるとこの曲集を初めて開いた高校時代を思い出す。その時の印象は「なんて音符が詰まっているのだ!」ということだった。こうして見返してみると当時の印象をそのまま今も抱く。コストが活躍した19世紀半ばは完全にロマン派の時代。和声は拡大されつつあり、単純な旋律美よりは感情表現を載せたうつろう和声が求められた。それを反映するかのように、このコストの練習曲の譜面の多くが3声・4声の和音が省略されずに記されている。つまり中声部が立て込んでいて音符の数が多く、その結果左手の押弦の難易度が上がる。初見であたりをつけながら楽しむには、テンポ感を少し犠牲にして遅く取り、左手のポジショニングに注意しながら、付された和声を丁寧に拾っていく。そうするとコストが描いた和声にうつろいがよく感じ取れ、楽しめる。


多くの曲をYOUTUBEにアップしているエドソン・ロペス氏による演奏。第5番


第25番<タランテラ>


リシェル&ビスケット=スミスコレクションにある当時の出版譜。
こちら⇒http://wayback-01.kb.dk/wayback/20101028111526/http://www2.kb.dk/elib/noder/rischel/RiBS0987.pdf

愛媛県のギター指導者青木一男氏はこの曲集全曲を録音公開している。
こちらからどうぞ ⇒ https://www.youtube.com/playlist?list=PLD68A999104AC74BD&feature=plpp


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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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