穏やかな日曜日。窓からの暖かい春の陽射しを受けながら久しぶりに真っ昼間の音盤タイム。先日来立て続けに聴いているカシオペア。きょうはこの盤をセットし、アンプのボリュームを思いきり上げた。 カシオペアの7枚目のアルバム<ミントジャムス>。 80年代前半に一世を風靡したフュージョン音楽。アイドル歌謡に満足しない当時の音楽好きの学生や若者に絶大な人気を得た。ブームは数年間がピークであったが、その音楽作りは90年代以降現在に至るまでのJPOPに多大な影響を与えた。この<ミントジャムス>はカシオペアの演奏を聴いたロンドンの音楽プロジューサーからの要請を受け、ヨーロッパでの発売を念頭に企画された。録音は1982年。築地中央会館にファンを中心とした満員の聴衆を入れ、ライブ形式の録音セッションで行った。テイク・ミー、アサヤケ、ミッドナイトランデヴー、ドミノライン、スウェアなど、デヴュー当時の名曲が並び、そのすべてがオーバーダビングや編集なしの一発録りで行われている。収録曲は以下の通り。 Take Me/Asayake/Midnight Rendezvous/Time Limit Domino Line/Tears Of The Star/Swear 演奏は彼ららしいキレによい技巧と抜群のアンサンブル能力の本領が発揮された素晴らしいものだ。神保彰と櫻井哲夫のタイトなリズム隊。今やテッチャンとしての仕事がメインとなった感のある向谷実の斬新なコードワーク、そして野呂一生のテクニカルなギター、そしてそれらを主題メロディとコードだけであとは奏者のアドリブにお任せのジャズ譜形式ではなく、完全にスコア譜に落とし込んだアンサンブルとして演奏するという今までになかった形態で、しかも素晴らしいドライブ感とライブ感を感じさせながら進行する。ドミノラインでは櫻井哲夫のスラップベースのソロや神保彰のドラムソロも楽しめる。カシオペアの盤歴の中にあって、その人気・実力のピークをとらえた名盤の一つだ。 この盤の全曲。聴きどころ満載のアルバムだが、例えば…9分47秒から始まる<ミッドナイトランデブー>。テーマがひと通り終わったあと、11分51秒から高速ユニゾンの経過句を経て向谷実のソロが始まる。タイトなリズム隊をバックにあえてメローなフレーズ。12分32秒に終わって再度高速ユニゾンがあり、パーンというSEを共に野呂一生のギターソロが出る…このアルバム最高の瞬間だ。VIDEO 全盛期のライヴ。1985年@両国国技館。ファンションやステーージングはさすがに30年の月日を感じさせるが、音楽の完成度はいまも第一級だ。演奏(元々のレーザーディスクの映像)がおわったあと52分25秒過ぎから、このライヴ当時を振り返る野呂一生(2000年前後かな…)のトークがある。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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朝から野暮用外出。高速中心往復200キロ程のドライブ。Newゴルフ7 は快調な走りと同時に燃費性能も20Km/L超えの素晴らしいパフォーマンスを発揮。単調なドライブに飽きることもなく、夕方前に帰宅した。 さて、夜更けの週末。今夜はカシオペアを離れて本業回帰?!。先週末まで続けていたセブン・シリーズの続きでこんな盤を取り出した。 ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59-1。昨年手に入れたゲヴァントハウス四重奏団による全集盤の中の1枚。手元にあるベートーヴェン弦四は、バリリSQのモノラル盤全集LP、ABQの中期作品、ラサールSQの後期作品がある。このゲヴァントハウス四重奏団の盤は、比較的新しい録音で何か全集盤リファレンスをと思い、手に入れたもの。 ベートーヴェンのナンバー7…と考えて最初に思いつくのは当然交響曲の第7番イ長調だろう。他にはピアノソナタの7番、弦四の7番、ヴァイオリンソナタの7番…と思い浮かべ、いわゆるベートーヴェンらしさと同時に多彩な表現を楽しめるのは第7交響曲よりむしろ弦四の7番からもしれないと思い当たった。もっともこの曲は弦楽四重奏第7番というよりは、ラズモフスキー第1番と呼ばれる方が多いかもしれない。中期弦楽四重奏を構成するラズモフスキーの3曲セットは規模・大胆な曲想等、前期作品の作品18の6曲と一線を画すといってよい傑作揃いだ。今夜取り出した第7番作品59-1も40分近くを要し、大作といってよい。 ヘ長調の明るい曲調で始まる第1楽章は周到に作られたソナタ形式。特に展開部では曲の勢いを増すだけの構成ではなく、フーガも導入されて各パートごとの対比や緊張感の表現が見事。この作品を含む<傑作の森>を実感させてくれる。さらにこの曲では第2楽章にスケルツォ、第3楽章にアダージョの緩徐楽章がおかれている。構成の上、第9交響曲の先取りのようでもあるし、曲想そのものも実に既知に富み飽きさせない。発表当時「冗談だろう」と言われたスケルツォの出だしのチェロのリズムがブルックナー第7のスケルツォを思わせるし、ヘ短調に転じる第3楽章の悲痛な歌では全楽章を通して活躍するチェロが一層雄弁に語る。 ゲヴァントハウス四重奏団のこの演奏は現代風のスッキリ系で、演出臭さも皆無。スコアを素直に再現している感があって好感がもてる。古いバリリSQの弾く第3楽章はどんな感じだっただろうか。いずれも聴き直してみようと思う。 若いメンバーによる全楽章。VIDEO タカーチSQによる第2楽章のアナリーゼと演奏。演奏は8分40秒過ぎから。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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カシオペアの記事には公開・非公開合わせていくつかコメントいただき、カシオペアファン健在と意を強くいたしました(^^ で、カシオペアの歌伴。<その1>があれば当然<その2>も…というわけで、昨日の続き。取り出したのはこの盤だ。 1979年のデビュー以来、年2枚のペースでアルバムをリリース。全国各地でのライヴをこなすなど、人気もうなぎ登りだったカシオペアがロンドンで録音したアルバム<JIVE JIVE>。1983年にロンドンでのライヴと併行して録音も行われた。このときのロンドンライヴの様子は、NHKニュースセンター9時でも取り上げられ(木村太郎&宮崎緑時代)、映像作品でも残っている。 <JIVE JIVE>はロンドンへ乗り込んで作ったという心意気もあって、それまでのキレキレ・バキバキのテクニカルな路線、そしてよりポップなメロディーも加えたコマーシャルベースの路線といったいくつかの彼らの顔とはまたひと味違う響きが聴ける。そして、昨日記事に書いた<SUN>に先立ち、ボーカルも導入され、現地イギリスの歌手が歌った。 <JIVE JIVE>に収録されているスローナンバー<What can't speak can't lie> 久保田利伸が1989年10月にテレビ番組<MUSIC PARTY>でカシオペアと共演して歌った。この2か月後、神保・櫻井のリズム隊がカシオペアを脱退した。VIDEO 同番組での演奏。久保田利伸の持ち歌2曲。カシオペアのアレンジが秀逸。この演奏を聴いたあと久保田利伸のオリジナルのアルバムを聴いたが、10秒でストップボタンを押してしまった(^^; 野呂一生がエフェクターを切り替える瞬間、フレーズの合間の櫻井哲夫のリフ…映像もいいところをとらえている。 <流星のサドル>VIDEO <TIMEシャワーに射たれて>VIDEO このときの<MUSIC PARTY>の全編はこちら⇒ https://www.youtube.com/watch?v=qZc0XrUMRzs カシオペアのバックで歌うスターダストレビューの根本要。曲はスティーヴィー・ワンダーの<You are the sunshine of my life>。この映像は1994年暮、NHKでクリスマス特集として様々な歌手が参加した番組。たまたまその2週間程前にカシオペアのライヴに行った際、向谷実が「クリスマスにはNHKで根本君と演奏しますからね」と言っていたのを思い出す。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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今夜もカシオペア(^^; このブログにアクセスしてくれる方の中にどれほどカシオペアファンがいるか分からないが、もともと自分がその日聴いた音楽の備忘録としてのブログ。まあ、気の向くまま続けます。 さて、インストルメンタルバンドとして演奏のみならず、そのアレンジも高い評価を受けてきたカシオペア。時々スペシャルな歌手を迎えてセッションを繰り広げることがあった。特に1986年にリリースされたアルバム<SUN>でボーカル入りの曲を使ったあたりから、テレビなどでも歌伴で引っ張りだされたようだ。その<SUN>でタイトルチューンになっているSUNという曲。1987年にリリースされた<CASIOPEA PERFECT LIVE>というアルバムでは楠木勇有行という歌手が歌っている。この2枚組のライヴ盤は新生カシオペアになる前の神保・櫻井のリズム隊による全盛期のカシオペアの記録として、映像作品共々貴重な記録だ。ぼくの手元にはLP盤とレーザーディスク盤があるが、現在ではYOUTUBEでほとんどの場面を見ることができる。 楠木勇有行との<Choose Me> VIDEO 夜のヒットスタジオでは西城秀樹が<SUN>を歌った。1986年VIDEO 谷村有美が歌う<ホワイトクリスマス> こちらは新生カシオペアになったあと、さらにドラムが日山正明から熊谷徳明に変わった頃のもの(1992~1996)。いかにもカシオペアなコードワーク。それに…ボーカルがバックに食われてる(^^;VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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きのうに続きカシオペアを聴く。 カシオペアのデビューアルバム。その名も<CASIPOEA>。1979年5月リリース。グループ名のカシオペアはもちろん星座のカシオペアを意味するのだが、本来英語の綴りはCassiopeia。何でもリーダーの野呂一生がグループ名のことで母親と話していたとき、Casiopeaの方が綴りが簡単でいいわよねと言われたことによると、向谷実が書いた本で読んだ記憶がある。このアルバムではドラムは佐々木隆。一部をニューヨークで録音していて、ブレッカー・ブラザースやデヴィッド・サンボーンらが加わるという、20代そこそこの若いグループにしては異例の扱い。このあたりにもアルバムデビュー前からその実力が買われていた様子がうかがえる。収録曲は以下の通り。すべて野呂一生の作曲。 -A- 1.タイム・リミット 2.ティアーズ・オブ・ザ・スター 3.スペース・ロード 4.ミッドナイト・ランデブー -B- 5.ファー・アウェイ 6.スワロー 7.ドリーム・ヒル 8.ブラック・ジョーク 当時の彼らの売り出し文句が「スリル・スピード・スーパーテクニック」。プロレスの新人かと勘違いしそうだ。実際1曲目のタイム・リミットからいきなりテクニカルなアンサンブルが展開する。高速のスケール、16分や32分音符の裏拍をビシビシ決める高いアンサンブル能力。いずれも売り出し文句にふさわしい。録音もデッドで、細かな音の並び一つ一つをあいまいにせず描き出す。ブレッカー・ブラザースやデヴィッド・サンボーンのソロも加わってデビューアルバムの冒頭を飾る硬派な曲に仕上がっている。デビュー前、いくつかのレコード会社が彼らに興味を持ちながら「先進過ぎて、売れない」と二の足を踏んでいたのもうなづける。 スペース・ロード、ミッドナイト・ランデブー、ブラックジョークなどはその後、現在に至るまでライヴでの定番曲として繰り返し取り上げられる。後年のライブでは様々な趣向を凝らされることが多いが、このアルバムのオリジナルはいずれも遊びのないテクニカルな印象。中でもミッドナイト・ランデブーはぼくのお気に入りのトップ。カシオペアの全楽曲の中でももっとも素晴らしいと感じる曲の一つだ。 <タイム・リミット> 1979年このアルバム発売直後の演奏@六本木ピットイン。出てくる音楽だけ聴いていると、まだあどけなさが残る面影の面々が演奏しているとは思えない。VIDEO 同じく<ミッドナイト・ランデブー>VIDEO あれから幾年月がありまして…野呂さんも還暦だ。櫻井哲夫とのデュオで<ミッドナイト・ランデブー>アコースティックヴァージョン。VIDEO このアルバムの全曲音源の再生リスト。ただし曲順はオリジナルと異なる。 https://youtu.be/vKOekWuzk3o ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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じわじわと気温上昇。今週後半は20℃超えの陽気が続くとの予想。何となく春気分の夜半のリスニングタイム。こんな盤を取り出した。 1991年リリースのカシオペア<FULLCOLORS>。収録曲は以下の通り。 1.FIGHTMAN/2.THE SKY/3.PASSIONATE VOLTAGE 4.PURPLE HOURS/5.FINAL CHANCE/6.AKAPPACHI-IZM 7.PRIVATE SUNDAY/8.SEARCH MY HEART/9.STREET OF DREAMS 10.NAVIGATORS/11.ONCE IN A BLUE MOON/12.TOP WIND くどくど説明は不要だろうが、80年代半ばの彼らの人気は大そうなものだった。アイドル歌謡やニューミュージックとやらに飽き足らない音楽好きの若者の多くはカシオペアのテクニカルかつ斬新なコードワークに惹かれていった。しかし80年代後半になるとフュージョン全体の衰退もあって、そんな彼らの人気も陰りが出始める。まだ若かったメンバーの方向性の違いも顕在化し90年代を前に小休止。そしてリズム隊のメンバーチェンジを経て新生カシオペアが誕生した。このアルバムは新生カシオペアになってから2作目のアルバム。前作<THE PARTY>では手探りの感もあったが、このアルバムでは、特にベースの鳴瀬喜博の個性が明確に反映され、櫻井哲夫のタイトなサウンドから一転、重く太いベースサウンドに変化した(神保・櫻井のリズム隊以外のカシオペアは考えられないというファンも多く、その意見も十分納得できるが…) ぼくは彼らの全盛期を横目で見ていて気にはなっていたが、音盤投資はもっぱらクラシック優先だったため、まともに聴き始めたのは90年代なってからだった。以降、オリジナルのLP・レーザーディスク・CDもほとんど手に入れ、ライヴにも何度か通った。 このアルバムは収録曲そのものがいずれも素晴しい。発売からすでに四半世紀が経つが、現在のカシオペア3rdに至るまで、繰り返し演奏される初期の曲、ASAYAKE・MISTYLADY・GALACTICFUNKなどに並んで、このアルバム収録のFIGHTMAN・THE SKYなどもしばしば取り上げられる。アルバムタイトル通り、ロックテイストの強いTOP WIND・NAVIGATORS、都会的スローナンバーのPRIVATESUNDAY・ONCE IN A BLUE MOONなども含め、多彩な楽曲にあふれているのもこのアルバムの魅力だ。 <FIGHTMAN> 今夜もPCに向かいながら10回以上聴いてしまった(^^;VIDEO カシオペア・T-SQUAREのセッション版<FIGHTNAN> 前哨戦のあと1分25秒過ぎから本編開始。 ソロ回しのあと、4分58秒からの安藤vs野呂のギターバトル最高!VIDEO このアルバム発売当時のライヴ@日清パワーステーション。1992or93年かと。 NHKBSで放送されたものを繰り返し見ましたね。VIDEO PRIVATE SUNDAYVIDEO このアルバム<FULLCOLORS>の全曲プレイリスト https://youtu.be/mepoWxF2CuM ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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寒暖を行きつ戻りつしながらの弥生三月。きのうきょうと寒。三週間後に桜満開というのが信じられないが、来週後半から一気に暖かくなるとの予報。どんな塩梅になるのだろうか。 さて、きょうも夜更けて音盤タイム。先日来のセブン・シリーズの続きで、こんなセブンを取り出した。 フェルナンド・ソル(1778-1839)の第7幻想曲作品30。ジュリアン・ブリームによる1980年の録音。収録曲は幻想曲が2曲(作品30と作品7)と魔笛ヴァリエーション、それとディオニシオ・アグアド(1784-1849)の作品2-1,2,3の3曲が入っている。ソルの作品ではいくつかの変奏曲やソナタが代表作といわれるが、幻想曲第7番もそれらに勝るとも劣らない素晴らしい作品だ。 ソルの幻想曲は大部分が変奏曲部分を含んでいたと思うが、この第7幻想曲もその一つ。盟友アグアドに捧げたとされている。曲は正に古典の薫り高く、かつ初期ロマン派風の主情を併せ持つ。変奏の一つ一つが原曲をうまく生かしつつ充実した和声を展開し、味わい深い。ジュリアーニなどイタリア系の華麗な技巧お披露目的要素の強い変奏曲と比べるまでもない。 ブリームの演奏は古典的様式感や表現の枠を守りながらも、時々聴かせるタメやヴィブラートの効いた美音などは70年代から続くいつもながらの彼のスタイルを踏襲している。この録音から三十年余を経た今なら、より普遍的な古典スタイルの演奏もあるだろうが、当時はまだこの曲の録音自体が珍しかった。それでもこの曲の良さを伝えるに十分な演奏だ。 ソル 第7幻想曲の楽譜。スウェーデンのBoijeコレクションから。http://boije.statensmusikverk.se/ebibliotek/boije/pdf/Boije%20502.pdf ソルの多くの作品はこちらのリンクから。http://www.guitareclassiquedelcamp.com/partitions/fernandosor.html この盤の音源。ブリームの演奏。長めの序奏があって、2分過ぎから主題が奏される。VIDEO ホルヘ・ホルツマンというギタリストによる演奏。VIDEO ■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■ ■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■にほんブログ村
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