ムター・リサイタル2000



あすは休日という夜。ちょっと渋めのこんな盤を取り出した。


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アンネ・ゾフィー・ムター(1963-)が弾く近現代の作品集。2000年5月にシュトゥットガルトで行われたライヴをそのまま収録したアルバムだ。この盤は十数年前に仕事で中国を何度か訪れた際に買い求めた。確か10元(150円程度)かそこらの値段で、パッケージをよく見ると正規商品かどうかあやしげなところがある。もっとも音は至極まとも。以下の通り近現代の作品だけが収められている。ピアノはランバート・オルキス。

 1. ヴァイオリン・ソナタ第2番ニ長調op.94a(プロコフィエフ)
 2. 4つの夜想曲(G・クラム)
 3. 4つの小品op.7~ヴァイオリンとピアノのための(ヴェーベルン)
 4. ヴァイオリン・ソナタ ロ短調(レスピーギ)

プロコフィエフとレスピーギを除いたクラムとウェーベルンの作品は完全な前衛的な作品といっていいだろう。こうしたプログラミングの意図がライナーノーツに記されている。それによると、21世紀の将来に向けての新しい定番的なレパートリーにするべく取り組んだとある。プロコフィエフはすでにヴァイオリニストにとっては定番レパートリーだろうか。古典的ソナタの形をとった4楽章構成で、それぞれの楽章のキャラクターが明確かつ親しみやすい。クラムとウェーベルンはいわゆる現代曲そのものだが、こうしてプロコフィエフとレスピーギの間に置かれて聴いてみると違和感はない。現代曲にももちろん様々なものがあるだろうが、一つの典型としてある<夜><静寂>を描いたイメージを強く感じる。レスピーギ>はブラームスのソナタと言われたらそのまま信じそうな曲想。レスピーギ自身はイタリア近代というカテゴリーに入るだろうが、この作品はまったく後期ロマン派の風情だ。色濃く、美しく、深い。このアルバムそのものを4楽章構成の一つの曲と考え、4人の作曲家がそれぞれの楽章と考えたらいいのかなと、ふと思ったのだが、あながち間違いでもないだろう。

ムターの演奏はいずれも文句なしの素晴らしく。前衛作品の良否を言える耳は持たないが、プロコフィエフは意図的にやや控え目な表現で好感が持てる。楚々として美しく、穏やかに心静まる。レスピーギはやや積極的に踏み込み、濃い口の表現だが、ブラームス風のこの曲にはよく合っている。


プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ第2番第1楽章。クレメルとアルゲリッチ。


レスピーギのヴァイオリン・ソナタ



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