ジュリアーニ「私の愛する花の選集」作品46



きょうの関東地方は朝から降雪。八丈島付近を低気圧が通過し、そこへ北から寒気が流れ込むという、関東平野里雪型の典型パターン。気温も低く寒い一日だった。しかし、そこは文明社会。暖を取りつつ、このところトンとご無沙汰だったギターの練習。こんな楽譜を取り出してひとしきり楽しんだ。


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マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)の「私の愛する花の選集」作品46。楽譜は海外アーカイブで簡単に見ることが出来るが、校訂ノートも付いた楽譜が数年前に現代ギター社から出版されたので手に入れたもの。この曲集には10曲の小品から成る「ジュリアナーテ」作品148も収められている。「私の愛する花の選集」作品46は小品10曲からなる曲集で、以下の通りそれぞれの曲に花の名前が付されている。

1. Le Myrte ミルテ
2. La Pansée パンジー
3. Le Lis ユリ
4. Le Jasmin ジャスミン
5. La Rosmarin ローズマリー
6. L‘Oeillet ナデシコ
7. Le Narcisse スイセン
8. La Violette スミレ
9. La Rose バラ
10. Le Laurier ローリエ

ジュリアーニの作品というと明るい雰囲気とギター的な技巧をちりばめた曲想をイメージする。同時にそんな特性にいささか単調さを感じることもあるだろう。この作品46の小品集は、そんな「いつもの」ジュリアーニとはひと味違った曲想をの楽しめる。どういういきさつがあって、花の名前を付すことになったから定かでないが、楽譜を開いてざっとさらってみると、それぞれの曲の花と曲想が一致している、あるいはそういうイメージをもったのかと想像を掻き立てる。
例えば…第6曲の<なでしこ>は日本人としては楚々として可憐なイメージを持つが、この曲集では4分の2拍子アレグロ・ヴィヴァーチェの指定があって、ホ長調の闊達な動きをもつ。第9曲の<バラ>はジュリアーニにしては内声の微妙な変化と細かな装飾音風パッセージが続いて、愛と美の象徴にふさわしいようにも感じる。

道楽のギターにとやかくいうつもりはないが、バッハだ、バリオスだ、ディアンスだと、己の技術レベルを超えて結局弾けずに格闘するのもいいが、ふと足元をみて、こんな古典の小品をイマジネーション豊かに楽しむのも、セールスや集客を気にせずに済むアマチュアゆえの特権であり、務めでもあると思うがどうだろう。


Boijeコレクションにある当時の出版譜。
http://boije.statensmusikverk.se/ebibliotek/boije/pdf/Boije%20156.pdf



9曲目の<バラ>。 使われている楽器はミヒャエル・テムズという製作家によるトーレス:ラ・レオナのレプリカとある。


19世紀ギター(パノルモのレプリカ)で3曲<パンジー><ジャスミン><スミレ>を弾いている。もう少し感興にのった流れがほしいが…



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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