ジュリアーニ<FLとGのためのソナタ作品85>



好天続く。仕事で出向いた都内の桜は満開。例年数日遅れの当地も開花が進んだ。今年はざっと一週間以上早い感じだろうか。さずがに暖房も不要になって、エアコンノイズからも解放。久々にこんな盤を取り出した。


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マウロ・ジュリアーニのフルート(またはヴァイオリン)とギターのためのグランドソナタ作品85。ナクソス盤のCDも手元にあるが、今夜は懐かしいランパル盤を聴く。手持ちの盤は米オッデセイレーベルの輸入盤。ギターを受け持っているのは同じフランス出身のルネ・バルトリというギタリスト。ジャン・バティスト・ルイエのイ短調のソナタ作品1-1とロベルト・ドゥ・ヴィゼーの組曲ニ短調(ギターソロ)がカップリングされている。ジュリアーニはフルートとギターのための曲を何曲も残しているが、中ではこの作品85イ長調の大ソナタがもっともポピュラーだ。

この曲には少々思い出がある。この曲を知ったのはクラシックギターを始めて間もない高校2年の頃だった。最初はFMで聴いたのだろう。その後地元本屋の楽器売り場にあった緑色の表紙が印象的なフルートクラブ版の楽譜を買い求め、フルート吹きの同級生S君と二重奏を試みた。S君は大そうな名手で芸大に進もうかとも迷っていたようだが、学業も優秀で結局現役で京大文学部に進んだ。ギターも下手で浪人までして駅弁大学のぼくとは次元が違う。 彼とは文化祭のときにステージを設けてこの曲の第3楽章と第4楽章を演奏した。芸大に進もうかという彼だったから、最初の練習のときから見事な初見演奏で、伴奏のこちらが彼に引っ張られる状態だった。彼はギターの楽譜でも何でも手渡すと、フレージング、ディナーミク共に初見で実に見事に演奏した。ギターの楽譜なので当然和音も書かれているのだが、単旋律のフルートでそれらを音楽的にまったく違和感なく吹く様は当時のぼくには驚きだった。大学時代にはギターパートをカセットに録音し、それを聴きながらフルートパートをギターで弾いて一人二重奏を楽しんだものだ。

その後この曲を弾くことはずっとなかったのだが、つい数年前、新しい職場でフルートの名手に出会い、40年ぶりに合わせた。合わせた当日、「通しましょう」ということでスタート。知人のフルートはまったく危なげなくインテンポで吹き進め、ぼくのギターは事前にろくろくさらっていなかったこともあって、途中あやうい箇所がいくつかあったが、何とか4楽章を通した。玉手箱状態の合わせだったが、ひやひやしながらも大いに楽しんだ。

マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)はイタリアのギタリスト・作曲家。ヴァイオリンやチェロも修め、ベートーヴェンの第7交響曲初演ではチェロパートに参加していたと伝えられている。19世紀初頭のウィーンで大そう活躍し、人気も博したようだ。この曲もそうした当時の彼の実力をよく反映したもので、4楽章形式の立派な古典的ソナタ。彼のギター独奏曲よりも優れた感興に満ちていて、ウィーン古典派ど真ん中といってよい曲想は飽きることがない。中級を自認するギター弾きは管や弦の相方をみつけて、ぜひ楽しむべき一曲だと思う。


この盤の音源。


yumi(FL)・松尾俊介(G)による全楽章。音質はやや残念。ギターの音もあまりよくとらえられていない。


ヴァイオリンでの演奏も貼っておく。第1楽章。よりクラシカルな雰囲気になるかな


楽譜はこちらを参考に ⇒
http://maurogiuliani.free.fr/partitions/Op%2085%20grand%20duo%20concertant%20pour%20flute%20ou%20violon%20et%20guitare.pdf



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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