イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ



このところ身辺諸事情あって気分が晴れない。不惑の年どころか、還暦を過ぎても、ああでもないこうでもないと腐心することが多い。日々の備忘とはいえ、呑気にPCに向かって駄文を打っているのも、我ながら無為の最たるものと思うのだが…。と、そんな投げやりな気分をみずから癒そうかと、こんな盤を取り出した。


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イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ集。NAXOSレーベルの1枚で、80年代に名だたる国際コンクールを総なめにしたイリヤ・カーラーが演奏している。2001年録音。 イザイ(1858-1931)といっても、実のところ作曲家としてはこの無伴奏だけが突出して有名で、一般の音楽愛好家にはそれ以外の曲はあまり馴染みがないのではなだろうか。実際ぼくもこの盤以外に何も持っていなかったはずだ(無伴奏チェロがあったかな…)。この無伴奏ソナタはその名から想像する通りバッハのそれを意識して書かれた。第2番などは冒頭からバッハの第3番がそのまま出てくる。それと、ギター弾きの視点からみると、私見ながらギター編曲への適合性はバッハより良いと思われるのもこの曲の魅力の一つだ。

一聴すると何とも不思議な感覚になる曲だ。いずれの曲も調性感があり、曲の組み立ても古典的なのだが、常にどこか暗く不安な空気が支配している。その不安定で抽象的、神秘的な空気と、同時に聴きなれた調性感と機能和声の予定調和的安堵感とが同居する。そして聴き手の心が何故か落ち着き平静になる。不思議な魅力をもった曲の一つだ。


単一楽章の第3番ニ短調


ギター編曲版による第2番の第1楽章。


ギター編曲版による第4番のアルマンド



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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