きょうが命日 ドヴォルザークとヤニグロ



戌年皐月。月が改まって日経文化欄の私の履歴書は4月いっぱい続いた「ジャパネットたかた」高田明元社長の編が終わり、きょうからインドネシアの財界人モフタル・リアディが登場。林真理子の連載小説は主人公の一人が京都で茶会を開く段になった。そんな中、業務は少々ひっ迫。きょうもせっせと働いて7時を少し回って帰宅した。何気なくPCを覗いていたら、きょうが忌日の人物の中にアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)とチェロのアントニオ・ヤニグロ(1918-1989)の名前を見つけ、それではと、こんな盤を取り出した。


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写真の盤は今なら中古レコード店の軒先にある百円コーナーで雨ざらしになっているような、70年代に山ほど出回った廉価盤シリーズの一つ。ぼくの最も敬愛するチェリストの一人であるアントニオ・ヤニグロがソロを取り、ハイドンとドヴォルザークの協奏曲を弾いている。このうちドヴォルザークの伴奏を付けているのは、黒人指揮者ディーン・ディクソン指揮のウィーン国立歌劇場管弦楽団(≒ウィーンフィルハーモニー)。 ディーン・ディクソン(写真)は1915年に生まれ1976年に世を去った。1968年には来日してN響を振り、田中希代子との録音も残している。高校生の時分、ときどきFMで流れる曲の解説で彼の名前を聞いた記憶はあるが、レコードはこの1枚が手元にあるだけだ。

ドヴォルザークの協奏曲では相変わらずヤニグロが素晴らしい。オケは録音が少々貧弱ということもあって、いささか精彩を欠く。本当のステレオ録音か少々あやしく、耳の悪いぼくなどは擬似ステレオだと言われれば、そうかなと…と思っていたら、やはりオリジナルはモノラル録音のようだ。それでも音楽の運びそのものは真っ当で、この曲のノスタルジックなところ、高揚感、聴かせどころは心得ていて過不足ない。

クラシック音楽畑の黒人演奏家は少ない。誰かとたずねられて名前を挙げられるの数人だ。女性歌手のジェシー・ノーマン、キャスリン・バトル、ピアニストのアンドレ・ワッツ。すぐに思いつくのはこのくらいだ。指揮者にいたってはディーン・ディクソンしか知らない。最近でこそ米国のオーケストラであれば黒人の団員も珍しくなくなったが、他の分野に比して明らかに少ないだろう。半世紀以上前の音楽界で黒人指揮者の彼がどのような扱いを受け、取り上げられ方をしたか想像に難くない。残された少ない彼の演奏を聴いていると、見たことのないその指揮姿が何故か目に浮かんでくる。


この盤のLP音源。ディーン・ディクソン指揮ウィーン国立歌劇場管とヤニグロのチェロ。ドヴォルザークのVc協奏曲・第1楽章。オリジナルのモノラル構成。動画のコメント欄に録音データは1953年とあるが、1955年あるいは1958年とされている資料もある。詳しい方がいらっしゃれば、教えていただきたい。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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