ヤニグロの<ドン・キホーテ>
関東地方は昨晩からきょうにかけて低気圧&前線が通過。雨が上がったあと、昼過ぎからは強風が吹き抜けた。夜半を過ぎてだいぶ気温が下がってきた。熱い渋茶を淹れ、きのうの続きというわけではないが、こんな盤を取り出した。

フリッツ・ライナー&シカゴ響によるR・シュトラウスの交響詩「ドン・キホーテ」。アントニオ・ヤニグロがソロを取っている。録音は1959年。手持の盤は数年前にSACD/CDのハイブリッド盤として出たもの。隣り町のタワーレコードのワゴンで投げ売られていた。同じくR・シュトラウスの「ドン・ファン」とのカップリング。
この盤、もちろんヤニグロのチェロを激賞したいのだが、それ以前にまずライナー&CSOによる<RCAリヴィング・ステレオ>の面目躍如たる素晴らしいサウンドに圧倒される。ブックレットによると、このCDに収録されている「ドン・ファン」は1954年の録音で、ライナー&CSOとしての最初期のレコーディング。もちろんオリジナルのステレオ録音で、このときライナーは対向配置を取ったとある。そして5年後の「ドン・キホーテ」では左から右にかけて高音群から低音群へと並ぶ、現代的な配置を取ったと書いてある。つまりはストコフスキーよろしく、より音響的な効果を狙ったのだろう。実際マスタリングでもそれを意識したかのように、左右いっぱいにステレオプレゼンスが広がる。今日的な感覚では多少作為的と言えなくもないが、各楽器群の分離、オーケストラ全体のプレゼンス共に素晴らしいし、コントラバスのピチカートも深々と響く。
この曲は本来、各変奏曲とその描写とを楽しむ曲だ。それには何かテキストを横において、CDのトラック番号を追いながら聴く方がいいだろう。チェロはドン・キホーテのモチーフをつかさどるが、この盤ではあまりチェロをクローズアップするような録り方はしておらず、あくまでオーケストラサウンド全体の中に位置付けている感じだ。それでも名手ヤニグロの聴き所はあちこちあるが、やはり終曲<ドン・キホーテの死>出だしのカンタービレは感動的だ。
終曲<ドン・キホーテの死>。チェロアンサンブルのバック。
同曲。ヨーヨー・マとエッシャンバッハ&フィラデルフィア管
この盤の音源。全曲。YOUTUBE上にどのようなオーディオフォーマットでアップされているか定かでないが、この録音の素性の良さは十分わかる。コメント欄には各変奏の開始時間も記されている。チェロのソロが取り分け美しい終曲は37分13秒から。
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