ジョン・ウィリアムス(G)のCBS初期録音



好天続くゴールデンウィーク。きのうに比べ気温も上がって気持ちによい夜。こんな盤を取り出した。


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70年代初頭、高校時代に買ったジョン・ウィリアムス(1941-)の盤。ジャケットはオリジナル初出時のものとは異なると思うが、内容は彼のCBSへの最初の録音(1964年)そのものだ。収録曲は以下の通り。

<A>
J.S.バッハ/組曲第4番ホ長調 BWV1006
<B>
アルベニス/セヴィーリヤ
タレガ/アルハンブラ宮殿の思い出
トゥリーナ/ファンダンギーリョ、ソレアレス、ラファガ
カタルーニャ民謡/アメリアの遺言
ポンセ/スケルツィーノ・メヒカーノ
ザグレラス/蜂雀

この盤はともかくよく聴いた。それこそ盤が擦り切れるほどといっていい。当時聴いていた装置もろくなものではなかったし、扱いもぞんざいだったのだろう、さすがに盤も傷みがあってあちこちでノイズが混じる。

この時期の(その後もか?)ジョンの演奏は面白みに欠けるというのが通説のようだが、当時ぼくにとってセゴヴィアはスペイン訛りの酔っ払いのようだったし、ブリームは色気とコブシ出し過ぎと思い、物差しで計ったようなジョンの演奏は新鮮かつ絶対的に感じられた。久々の針を下ろしてみたが、印象は昔と変わらなかった。録音のせいだろうか、ジョンのギター(当時の使用楽器はエルナンデス・イ・アグアド)はやや硬質ながらクリアかつ美しい音で録られていて、その正確無比な曲の運びと相まって、生真面目で誠実な印象を受ける。

A面のバッハの組曲は冒頭の<プレリュード>から粒の揃った音で淀みなく音が流れる。ゆっくりしたテンポの<ルール>では、今聴くともう少し深い呼吸がほしいところだ。当時そのあたりが面白みに欠けるという評判につながったのかもしれない。しかし今聴いてもそう思うが、根拠なく恣意的にテンポを揺らした妙な演奏が多かった当時のギター演奏にあって、こうした正確さは貴重だったし、組曲を通して聴いてみて、どの舞曲もよく考えられたアーティキュレーションで原曲のヴァイオリン版に慣れた耳にもまったく違和感なく楽しめる。 B面にはお馴染みの小品が入っている。当時ジョンの演奏でスケルツィーノ・メヒカーノや雀蜂を知った輩も多かったろう。ぼくもそのくちだ。アルベニスのセヴィーリャを聴き、何てカッコいいんだと思って楽譜を手に入れて弾こうとしたらまったく歯が立たなかった記憶がある。

60年代後半から70年代前半にかけて、ジョンは次々にギター名曲の録音を重ね、そのいずれもが従来のギター演奏とは一線を画す折り目正しい演奏だった。一時期ジョンの活動は方向転換もするが、その後再びクラシカルな世界に戻り、70歳を過ぎた数年前に引退を宣言した。


BBC制作のドキュメンタリー。ソロあり、様々な顔ぶれとの交流あり…ジョン・ウィリアムスファンならずともギター弾きには興味深い構成。1時間ほどの番組最後はアルベニスの<セヴィーリャ>で当時(70年代初頭と思われる)の愛器イグナシオ・フレタを華麗に鳴らして終わっている。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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