ジョン・ウィリアムス 日本デビュー盤
先日のジョン・ウィリアムスの記事に続きで、こんな盤を取り出した。

1963年キングレコード発売のジョン・ウィリアムスのLP。収録曲は以下の通り。トローバとポンセという、当時の盤としては中々玄人好みの選曲だ。
ソナチネ、夜想曲、カスティリャ組曲(以上トローバ)
ワルツ、主題と変奏・終曲、12の前奏曲(以上ポンセ)
ジョンというとCBSのイメージがあるが、CBSと契約したのは1964年で(先日の記事に書いた盤がCBS最初の録音)、それ以前の録音がウェストミンスター他から出されている。ジョンのファンサイトにあるディスコグラフィによればこの盤は1961年の録音で、彼の3枚目のアルバムにあたる。先年リリースされたボックスセットも、CBS及びCBSソニーでの録音を集めたもので、それ以前の盤は含まれていないようだ。このキング盤はおそらく日本での最初のアルバムだろう。そしてこのレコードが出た1963年にジョンは初来日している。
先日の記事にも書いた通り、クラシックギターを始めた70年代初頭の高校生の頃、ジョンの演奏がすこぶる気に入っていた時期がある。自在極まるセゴヴィアや時々妙なアーティキュレーションを繰り出すイエペスに馴染めなかったのだ。ジョンは正確無比できっちり型に収まる演奏という印象で、何よりもその正確さが十代にぼくには魅力だった。この盤はジョンの最も初期のものの一つで、セゴヴィアからプリンス・オブ・ギターの名を冠されていた時期だ。今聴くとさぞやつまらない演奏ではないかと予想しながら針を落としたのだが、見事に裏切られた。
トローバもポンセも、無論正確でおよそミステイクなどとは無縁の弾きっぷりだが、味気ないという印象はない。少なくても当時よくあったラテン系奏者の拍節感のない歌いまわしより余程好感が持てる。普遍的なヨーロッパの音楽を感じさせる弾きぶりだ。録音当時の楽器はおそらくエルナンデス・イ・アグアドであったと思うが、録音された音は不要なエコーも少なくギターの素の音が聴こえ、低音もたっぷりとし高音は妙な甘さはなくすっきりしている。当時寵愛を受けていたセゴヴィアからの影響も随所に感じられる。フレーズが切り替わったときの音色変化、和音の弾き方、ちょっとした見得の切り方など、セゴヴィアの録音を彷彿とさせる箇所かいくつかあった。もちろん音色そのものと音楽の拍節感がまったく違うので、全体の印象は対極にあるように感じる。
1971年に作られたドキュメンタリー。スカルラッティ、アルベニス、ポンセ、ザグレラスなどポピュラーな曲を弾いている。この当時の愛器はエルナンデス・イ・アグアド。
モレノ・トローバの<夜想曲>。 70年代までのジョンの盤は手元にいくつかあるが、80年代以降はぼく自身がギターから離れていたこともあってよく知らない。この音源も再録のもの。取り上げた盤の演奏とはかなり印象が異なる。
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