若き日のシフ
先日来の続きで、何となく…若き日シリーズ。今夜はこの人の若き日の演奏を聴こう。


アンドラーシュ・シフ(1953-)が同郷のバルトーク作品を弾いた一枚。手持ちの盤は10年程前に日本コロンビアの廉価盤クレスト1000シリーズとして出たもの。DENONのPCM録音隆盛期1980年千葉県八千代市民会館ホールでの録音。収録曲は以下の通り。
・舞踏組曲Sz.77
・ルーマニア民族舞曲Sz.76
・3つのロンドSz.84
・15のハンガリー農民の歌Sz.71
バルトーク(1881-1945)は現代作曲家として、またピアニストとしても第一級であったが同時に、当時実用化されたばかりの蝋管録音機(フォノグラフ=写真)を持ってハンガリーの農村に伝わる民謡や舞曲の収録を進めた。またそれらを素材にして楽曲も作った。この盤に収められている曲はそうした彼の仕事の成果といってよい作品。いずれも民族的素材を使いながらそれぞれに料理の手法が少しずつ異なる。
<舞踏組曲>は初め管弦楽曲として作られまもなくピアノ用に編曲された。この組曲では民族素材を当時の先進的音楽手法で料理してクリエイティブな作品に仕上がっている。<ルーマニア民族舞曲>は全6曲を通して色濃い民族色と、どことなく暗い影と寂しさをもつ。<3つのロンド>は一転して明るくチャーミングでときにコミカルでさえある。バルトークは広義には新古典派の範疇に入る作曲家だが、自身もピアノの名手だっただけに、その表現や手法は中々多彩で楽しめる。
ぼくとほぼ同年齢1953年生まれのシフは録音当時27歳。きのう記事にしたラーンキやコシチュと共に<ハンガリー三羽烏>として人気が高かった。日本発のデジタル録音であったDENON・PCM録音の特性もあってか、すべての音がクリアでタッチもやや硬質に感じる。演奏もその音色に見合った明晰な表現で、のちの一連のバッハ録音とは別人かと思うほどだ。
バルトークの楽曲中もっともポピュラーな曲の一つ<ルーマニア民族舞曲>三題
シフの盤。音質劣化が残念。オリジナルCDはずっと高音質。
フルートとギター
チェロとピアノ
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