カラーチェ:マンドリン協奏曲集



週末土曜日。時折小雨まじりながら、気温低めで過ごしやすい一日。昼をはさんで野暮用外出。帰宅後は日頃の寝不足補正で午睡を貪る。夕方近くになって、部屋の整理をしながら、こんな盤を取り出した。


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ラファエル・カラーチェ(伊1863-1934)のマンドリン曲を収めたナクソス盤。ニコライ・ケイジ主演の映画「コレリ大尉のマンドリン」で実際の演奏を担当したアリソン・スティーブンスがマンドリンソロを弾き、スティーヴン・デヴァインというピアニストが伴奏を付けている。2006年イギリス録音。収録曲は以下の通り。

・マンドリン協奏曲第1番 Op.113
・マンドリン協奏曲第2番 Op.144
・ナポリ風狂詩曲 Op.66
・ポロネーズ Op.36
・小妖精の踊り Op.43

マンドリンという楽器やその音楽は、今の一般音楽愛好家にどれほどの認知度があるのだろうか。クラシックギター愛好家、とりわけぼくら世代の連中にとってマンドリンは馴染みが深い。中には学生時代にマンドリンアンサンブルでギターやマンドリンを弾いていた輩も少なくないだろう。ぼく自身も学生時代はギターソロと同等かそれ以上にマンドリンによる合奏にのめり込んでいた。マンドリンはリュート族から派生し、バロック期以降、市井の楽器として人気があった。ヴィヴァルディのマンドリン協奏曲などは一般音楽愛好家にもお馴染みだろう。実は20世紀以降、日本は世界でもっとも広く深くマンドリンを受け入れ、マンドリンという楽器とその音楽は一時期隆盛を極めた(そのあたりのあれこれはいずれまた機会をあらためて…)

楽器製作を営んでいたカラーチェ家に生まれたラファエル・カラーチェは、家業の楽器製作を受け継ぐと同時に、マンドリンの演奏家また作曲家として、ロマン派後期から現在につながるマンドリン界に多大な功績を残した人物だ。今日でもカラーチェ・ブランドの楽器は世界中、とりわけ日本で人気が高い。ぼくの周辺にもカラーチェ製の楽器を持ってるマンドリン弾きがいるが、いかにもイタリアの明るい空を思わせる音色は日本の楽器にはない魅力をもっている。また彼が残した作品も、ソロマンドリン奏者にとっては格好かつ必須のコンサートピースになっている。この盤ではそんなカラーチェの作品から集大成とでもいうべき協奏曲が2つと代表的な小品が3曲収められている。作風は当時のサロン風で慰安的な面をもちつつもそれだけでは終わらず、中々創意に満ちてる。もちろん自身が演奏家として第一級でであったことから、マンドリンのテクニカルな魅力も盛り込まれていて、一般の音楽愛好家がマンドリンという楽器を知るには好適なアルバムだ。


カラーチェの楽曲他はこちらのサイトで公開されている。


マンドリン協奏曲第2番第1楽章マエストーソ。ソロを弾いているのは当地出身の桝川千明


カラーチェが得意としたリュート・カンタービレ(リュート・モデルノ、マンドリュート)の演奏。リュート・カンタービレはほしい楽器の一つだ。作品187のガヴォット。


昨年慶應義塾中等部に入り、部活にマンドリンを選んだ芦田愛菜ちゃん。その後は…?



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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