ジンマンのベートーヴェン
西日本は大変な状況が続く。日本全体が梅雨末期に戻ったかのようだ。きょうの関東地方は曇り空。昼間の野暮用終え、夕方近くになってやおら音盤タイム。こんな盤を取り出した。


デイヴィッド・ジンマン(1936-)とチューリッヒトーンハレ管弦楽団によるベートーヴェン交響曲全集。90年代終盤の録音。新ベーレンライター版の楽譜を使った録音として話題になった。この盤のリリースを皮切りにその後古典から後期ロマン派までの主要な交響曲や協奏曲を次々にリリース。一時は低迷したといわれたチューリッヒトーンハレ管を建て直したことでも脚光を浴びた。手持ちの盤はその発売当時に今はなき石丸電気で買い求めた。2000年代初頭まで秋葉原の石丸電気は、ぼくら音盤好きにとっては電器店というよりは豊富な品揃えを誇る音盤店だった。久々にそのベートーヴェン交響曲全集を取り出し、第2番を聴く。
全体にかなりの快速調。すでにいくつものピリオドアプローチによる演奏が広まっている中にあっては奇異に感じるほどではない。オケそのものは楽器も編成もモダン仕様で、奏法と解釈がピリオド仕様といったらいいだろうか。第1楽章は冒頭からティンパニーの打音とキレにいい弦楽群の響きが印象的。弦楽群はヴァイオリンだけでなくチェロやコントラバスも、フレーズの終わりを短めに切り上げているので、すべての音がデタッシュを基本にややアクセント付いたように聴こえる。それによって音楽が前へ前へ進む推進力となっている。第2楽章も速めのテンポでよく流れる。時々聴こえてくる木管群の自在な装飾音は楽譜に記されているのではなく、ジンマンと奏者による創作か。そういえばこの全集、新ベーレンライター版を採用とうたいながら、実はその新ベーレンライター版の楽譜発売以前に録音されている演奏が多く、一部の好事家からはそのあたりの仔細な事情について疑問符が投げかけられているようだ。第3、4楽章はもっともジンマンの解釈にマッチしている。各声部の分離もよく、弦と管の掛け合いが手に取るようにわかる。
幸い2014年夏、このコンビの来日公演を聴くとができた。チューリッヒトーンハレ管といえば、ルドルフ・ケンペのブルックナー第8、エッシェンバッハと前橋汀子のメンチャイ他が手元にある。他の欧州オケに比べ録音が少なかった印象があるが、ジンマン時代になって一気にメジャーになった。この盤でもアンサンブルは上出来。ヘッドフォンで聴き耳と立てているがよく整っていて文句なしだ。名ホールとして名高いトーンハレの響きも適度に加わりながら、モダンオケの機能性を十分に楽しめる好録音に仕上がっている。
この盤の音源。第2番ニ長調全楽章。
同第1番。フレッシュ!!
ジンマンとBPO。7番の2楽章のさわり。
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