ストラヴィンスキー:妖精の口づけ
暑さMAXの土曜日。昼をはさんで野暮用外出。夕方5時を少し回って帰宅した。夜半近くになって、ようやく一服。このところの流れで引き続きアンセルメ・ボックスの検分。今夜はロシア音楽集の中からこんな盤を取り出した。


ストラヴィンスキーの「妖精の口づけ」~ディベルティメント。アンセルメ指揮スイスロマンド管による1962年録音。ロシア音楽集全33枚中の#27.同じくストラヴィンスキーの「エディプス王」全曲(1955年モノラル録音)とカップリングされている。
バレエ音楽「妖精の口づけ」の成り立ちについてはネットをサーチすればすぐに見つかると思うのであらためて記すまでもないだろう。バレエ曲としては全曲で40分を超えるが、ストラヴィンスキー自身がその中から4曲(シンフォニア、スイス舞曲、スケルツォ、パ・ド・ドゥ)を抜粋し、管弦楽組曲としての「妖精の口づけ」~ディベルティメントを作り直した。初演の指揮をアンセルメが行ったこともあってから、このロシア音楽集にはアンセルメによるこの曲の3つのヴァージョンが収録されている。一つはバレエ音楽としての全曲がディスク#18(1963年録音)に。また、ディベルティメントしてディスク#26(1955年モノラル録音)とディスク#27(1962年録音)の二つが収められている。この曲を知り、楽しむには4曲からなるディベルティメントを聴けばまずはいいのではないだろうか。
曲はストラヴィンスキーの新古典主義時代を象徴する作風で、ごく一般的な音楽愛好家にも分かりやすく、広く受け入れられるポピュラリティをもつ。物憂げに始まる第1曲シンフォニアは、ストラヴィンスキーがこのバレエ曲を作る際に参照したというチャイコフスキーの楽曲のイメージそのものだ。主部に入ると妖精をイメージした諧謔的なモチーフが出て曲は次第に熱を帯びていき、そのままアルペン風のホルンが印象的な第2楽章スイス舞曲へを続く。バックで終始一定のリズムを刻む音型が続く辺りは、いかにもストラヴィンスキーのバレエ曲。第3楽章のスケルツォをへて第4楽章では妖精と若者のデュエットをイメージさせる美しいアダージョで始まり、やがてそのヴァリエーションが奏でられる。
初期の原始主義に則ったバレエ三部作のあと、新古典主義時代のストラヴィンスキーの代表作の一つとしてこのディベルティメントは格好のサンプルだ。4楽章で飽き足らない向きは全曲盤をぜひ。
「妖精の口づけ」(ディベルティメント)4楽章の音源。ムーティ&フィラデルフィア管。
フルトヴェングラーとベルリンフィルによる音源。フルトヴェングラーによるストラヴィンスキーは他にもペトルーシュカや三楽章の交響曲などの録音があったかと。
妖精の口づけは、ヴァイオリンソロ他へも編曲されている。少し前に当地にも来演したワディム・レーピンのヴァイオリン。ピアノ伴奏は名手イトマール・ゴラン。
アンセルメによるバレエ曲全曲の音源
https://youtu.be/7q1XwEY-cJU
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