前橋汀子のチャイコフスキー
さて、月があらたまって十月。一昨日は台風一過で30℃超えの真夏日スタート。三か月後は正月というのが信じられないが、とまれ年度進行でいえば下期スタート。与太記事続きのこのマンネリブログもなし崩し的に9年目に突入だ。 そういえば職場で拾い読みする日経文化欄<私の履歴書>も、ひと月続いたスカイラーク創業者:横川章氏に替わって、今月から前橋汀子が登場。前橋汀子かぁ…とつぶやきながら、ふと思い出し、先日来のチャイコフスキー推しもあって、こんな盤を取り出した。


前橋汀子の弾くチャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調。スイス在住だった晩年のヨーゼフ・シゲティ(1892-1973)に師事した前橋汀子。この盤はそのスイスでアナログ盤最終期に近い1984年に録音された。クリストフ・エッシェンバッハ指揮チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団のバック。お約束通りメンデルゾーンとのカップリング。
録音当時彼女は40歳になったばかりで、心技体とてもよい状況だった頃だ。第1楽章の冒頭からその特徴がよく出ていて、やや深めのヴィブラートと時折ナチュラルにかかるポルタメントも加わり、最近の若い世代にはない濃厚で深い音色が堪能できる。アンセルメ亡きあと低迷が伝えられたこともあるチューリッヒ・トーンハレ管だが、この盤では素晴らしい音響で知られる名門ホール;チューリッヒ・トーンハレの響きも伴ない、広がりと奥行きを兼ね備えた音で、特に木管群の響きが美しい。エッシェンバッハも指揮活動を本格化させ始めた頃。第1楽章のアラ・ポラッカ風(3拍子ではないが)となるところではテンポを落とし、どっしりとした運びでスケール感を出している。
それにしても大迫力の見開きジャケット。篠山紀信撮影の彼女の美しさはいかばかりか。ショーケンとの中が噂されて週刊誌を賑やかしたのも、この盤が録音された頃だったろうか。別刷りのライナーノーツには、オッカケを自認していた深田祐介氏と蟻川幸雄氏が一文を寄せている。ああ、あれから三十年…。今も彼女は第一線のコンサートバイオリニストとして活躍している。
1974年前橋汀子31歳。岩城宏之&N響とのチャイコフスキー。途中から映像と音声がずれたり、第3楽章の最後が切れたりと、いささか残念。
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