群馬交響楽団のベートーヴェン -続-
先回の続きで、当県の至宝:群馬交響楽団の盤を取り出した。

先回の記事にも書いた通り、今から二十余年前の1995年、創立50周年を迎えた群馬交響楽団によるベートーヴェン交響曲の全曲演奏会が浜離宮朝日ホールと群馬県下の各ホールで行われ、そのときのライヴ録音として限定配布されたもの。一般店頭には並ばなかったが、ぼくは同団の演奏会場で販売しているときに手に入れた。指揮は1993年に同団の音楽監督に就いた高関健。
このセットには立派なブックレットが付いていて、この中で指揮者高関健氏がこの録音に臨むにあたっての基本方針を述べている。少し長くなるが一部割愛して引用すると…
楽譜上のスタカートの表記について、「くさび」型のマークと通常の「点」の区別が旧全集ではほとんど一律の「点」の表記になっていた。これをベートーヴェンが本来意図していた、強調のためのくさび、フレーズの始まりと終わり示すくさび、短い音をあらわす点などの違いを明確にした。弦楽器のパート譜に慣習的に書き加えられたボウイングなどを取り除き、原譜に戻した。このような点に留意することで、ベートーベンの明確なフレージングがよりよく聴こえるようになった。演奏技術の点では特別なことはしていないが、結果的に19世紀的ロマン主義の色は少なくなっている。特に必要以上に音を延ばすソステヌートは出来るだけ止めた。オーケストレーションの勝手な変更もしていない
…といった具合だ。こうした楽譜上での準備段階の子細な検討に加え、先回の記事にも書いた通り、演奏会場のアコースティックも考慮した上で、弦楽群を8-8-6-5-4の中編成として管楽器とのバランスを整え、第1、第2ヴァイオリンの対向配置に加えてコントラバスを後席一列に並べた。こうした楽譜の検証と実際の物理的楽器群の整理とによって、音が分離が目覚ましく、まさに見通しのいい演奏に仕上がってて、それは高関氏がこの演奏で目指したところを見事に具現化してる。
先回同様、手持ちのCDから音源をアップしたので貼っておく。
第1番ハ長調 第1楽章。アルミン・ラープ校訂のヘンレ版(1995)を使用。
第3番変ホ長調 第1楽章。旧全集によるが、複数の版をもとに修正を加えているとのこと。
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