谷辺昌央(G)「アセントゥアード」
久しぶりにギターの盤を聴く。知人のギター弾きU氏から「与太さん、これ聴いてみてよ」と渡された盤を取り出した。

名古屋出身のギタリスト谷辺昌央(1974-)は若くして国内外のコンクールで優勝・入賞を果たし、ケルン音楽大・カールスルーエ音楽大で研鑽を積んだのち、ヨーロッパを中心に活躍していた。2011年以降は日本国内に活動拠点を移して現在に至っている。このアルバムは2009年の録音で谷辺氏のファーストアルバム。収録曲は以下の通り、日本初登場となる曲を含めて現代曲が並び、愛器のパコ・サンチャゴ・マリンから、美しい音を聴かせてくれる。
1. オブロフスカ:バルトーク讃歌
ピアソラ:5つの小品
2. 草原
3. ロマンティックに
4. アクセントを利かせて
5. うら悲しく
6. 伊達男
オブロフスカ:4つの日本の印象
7. 広重へのオマージュ
8. 北斎へのオマージュ
9. 歌麿へのオマージュ
10. 写楽へのオマージュ
クレンジャンス:最期の日の夜明けに Op.33
11. 待つ……
12. 夜明け
ブローウェル:舞踏礼賛
13. レント
14. オスティナート
ヒナステラ:ギター・ソナタ Op.47
15. エソルディオ(前口上)
16. スケルツォ
17. カント(歌)
18. フィナーレ
彼の名前は以前から承知していたが、この盤で初めて演奏に接した。10回以上のコンクール優勝暦を誇ることから技術、音楽表現ともに高いレベルだろうということは容易に想像できたことだが、それ以上に感心したのは、一聴して「難解」のレッテルを貼られかねない収録されたいくつかの現代曲が実に分かりやすく聴こえてきて驚いた。分かりやすくというと誤解を招くかもしない。ギターの物理的な特性、特徴。それらを具体的に生かした表現方法やその幅が、まったく違和感なくこちらに届いてくる。そんな印象をもった。同時に、比較的ポピュラーなピアソラなども安直なポピュリズムに没せず、普遍的な音楽として、ギターの音色にのせて届けてくれる。そんなところにも大いに好感を抱いた。ギター弾きとして幼い頃から英才教育を受けた一方で、東大文学部に学ぶという普遍性を併せもっていたことと、この盤で聴くことができる音楽の普遍性とが、どこかでつながっているに違いない。
この盤からアップしてみた。ブローウェル「舞踏礼賛」よりオスティナート。
この盤が発売された頃のプロモーション。レイス「もしも彼女に会ったなら」の一部。この盤に収録の曲とは趣きが異なるブラジル風演歌。
バリオス「フリア・フロリダ」
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