バーンスタイン&NYP マーラー交響曲全集
きょうは幾分寒さゆるむ。年末年始の休みを前に少しピッチを上げて業務遂行中。今夜もわずかばかり居残り仕事。帰宅後ひと息ついて何日かぶりにオーディオセットの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


レナード・バーンスタイン(1918-1990)が60年代に当時の手兵ニューヨークフィルと録音したマーラー交響曲全集(第10番は1975年録音。また第8番はロンドン響との演奏)。数年前にオリジナルLPジャケットデザイン12枚組のボックスセットで出たもの。オリジナルのLPセットを持っていたのでどうしようかずっと思案していたのだが、三千円でお釣りがくるという値段に背中を押されて手に入れた。
80年代後半になって独グラモフォンに再録音するまで、この<旧全集>は長らくバーンスタインの名刺代わりとでもいうべきものだったし、現在でもマーラー演奏のベストと推す意見も多い。それほどまでにマーラーの演奏を語るときには必ずといっていいほど引き合いに出される録音だ。ぼくも70年代半ばにこのコンビの演奏による第5番と第9番のセットでマーラーにのめり込んだ。その後、リサイクルショップのジャンク箱から先に記したオリジナルのLPセットを捕獲し、他の録音を含めた全容を知るに至った。LP盤で不足はなかったが、2009年にDSDマスタリングされた音源を使ったとのふれ込みや、長丁場の曲はやはりCDの方が扱いやすいという安直な理由もあって手に入れた。
さきほどから第5番嬰ハ短調(1963年録音)を取り出して聴いている。LP時代から聴き親しんできた演奏だ。広いオーディオレンジと豊かに広がる音場感、ホールトーンに溶け込むピラミッドバランスの音響…そういう現代風マーラー録音の対極といってもいい録音音質であり、演奏自体もそうした見栄えの良さを追い求めたものではない。冒頭のソロトランペットもいささかショボイし、ニューヨークフィル全体の音も潤いに欠ける。しかし、どこを取ってもまさに血が吹き出るような情熱にあふれ、バーンスタインの熱い指揮棒に、オケがきしむような音で付いていく。コンサートホール中ほどのS席ではなく、バーンスタインの靴音が聞こえてくる指揮台のすぐ横で、熱気を感じながら聴くようだ。もちろん、必要なホールトーンは確保されているし、各パートのバランスも良好で、新しいマスタリングの効果もあってか音の解像度も良好。アナログからデジタルの移行期に録音されたテンシュテット&ロンドンフィルとのセッション録音による全集よりは音質良好と感じる。
マーラーをロマンティックで甘美な音楽として雰囲気重視で聴きたい向きには他の選択肢があるだろうが、バーンスタインが心血を注いだといっていい、一時代を画したマーラー演奏をまとめて聴けるという意味において価値あるセットだ。
この盤による音源。第5番第4楽章アダージェット。十代の終わりにこの曲をこの演奏で聴き、これまでいったい何回聴いたか知れない。学生時代にこの曲を大編成のマンドリンアンサンブルで演奏したこともあって、懐かしさも手伝い、当時練習を重ねた冬のこの時期になると聴きたくなる。 一旦静まったあとの5分19秒、次のフレーズに入る一瞬の間合いに背筋がゾクッとくる。5分44秒から音楽は再び動き出し、以降バーンスタインがほとばしり出る熱情を抑え、オケがこらえ、しかしせきを切ったように流れ出る。
ウィーンフィルとのライヴでのアダージェット。確か70年代前半かと。
この盤の音源で第5番嬰ハ短調全曲
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