マーラー交響曲第1番ニ長調



さてさて、一月も半ば。本日も業務に精励。 夜更けて、とらやの羊羹と渋茶で一服しつつ、こんな盤を取り出した。


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まだまだ続く1番推し。今夜はサー・ジョン・バルビローリ指揮ハレ管弦楽団によるマーラーの交響曲第1番ニ長調<巨人>。1957年録音。手持ちの盤は1977年にテイチクから出ていた<バルビローリ1500名演集>と称するPYE原盤のシリーズ。ジャケット裏の隅に1978年1月5日購入と書いてあるから、学生時代最後の正月に手に入れたことになる。帯裏の記載によると、シベリウス、ドヴォルザーク、ディーリアス、ニールセン、チャイコフスキー、エルガーなど中々多彩な15枚がリリースされている。手元にはこのマーラーとドヴォルザークの第7番がある。

当時バルビローリ(1899-1970)がシェフを務めていたハレ管弦楽団との一連のPYEレーベル録音は、バルビローリの個性がのちのEMI録音以上に色濃く出ていて興味深い。このマーラー第1番も、一見<サー>の名に恥じない英国紳士然としたバルビローリの内に潜むラテンの血がときおり表出する。第1楽章は冒頭から中盤まで地味に過ぎるのではと思うほど控え目に進行するが、終盤の盛り上がりでは、それまでの沈静を一気に打ち破るように爆発する。第2楽章のスケルツォはやや遅めのテンポで入り、トリオでは弦楽群がはばかることなくポルタメントを駆使して歌う。終楽章でもいくつかある楽曲のピークで打ち鳴らされる打楽器群の強打などは尋常ならざる形相だ。また近年、コーダではホルンセクションが起立してコラールを奏することが多いが、これはバルビローリのパテントといわれている。こうして並べると、こけおどし的な演出ばかりのように聞こえるかもしれないが、全体としてテンポは中庸、カンタービレも品性を保ちつつ進む。決して音楽の品格を失うことがない。このあたりがバルビローリの素晴らしいところかもしれない。

この演奏はこの曲の最初のステレオ録音らしいが、ややマイナーなPYEレーベル、そしてオケもロンドンのオケと比べると格下と評されても仕方ないところ。音質自体もときに作為的なところや、左右の定位が不安定になるなどイマイチの感は免れないが、バルビローリの個性と、それに応えるハレ管の健闘を良しとして聴く盤だろう。


この盤の音源。第1楽章は冒頭から抑え気味に進むが、後半11分45秒過ぎから一気に爆発。第2楽章スケルツォのトリオ(17分40秒から)では弦楽群が甘美に歌う。終楽章の大団円は49分05秒過ぎから。



現在91歳のブロムシュテット。デンマーク放響とのマーラー第1番@2016年。終楽章コーダ52分11秒ホルンセクション起立!



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持ち物検査<道楽編>



先回の続きで、持ち物検査<道楽編>


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所属している隣り町のマンドリンアンサンブルの練習やギター仲間との他流試合、ちょっとした演奏機会に持参するアレコレ。仕事同様、カジュアルなトートバッグを使っている。MHLってなあに?とオジサンに聞かれたときは、メキシコ・ハワイ・ロンドンと答えて煙に巻く(^^; <仕事編>の写真に写っていたペンケースと同じブランド。


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譜面台は定番ウィットナー社961D。丈夫な鉄製で、コンパクトだがずっしりと重い。ギター支持具も様々なものが出回っているが、昔からもっぱら足台派。木製やアルミ製も持っているが、持ち歩きには高校時代から使っている、そろそろ50年物になる鉄製を継続使用。クラシックギター弾きにとって、爪はヴァイオリン属の弓の相当する重要部位。幸い爪の健闘状態は良好で、割れやひびとは無縁。手入れも至って簡単で、ガラス製ヤスリで形を整え、2000番の耐水ペーパーで仕上げるだけ。アンサンブルでマンドリン系パートの楽譜を弾くこともあるのでピックも1枚忍ばせている。


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音楽辞典と楽典のポケット版もお手軽ながら重宝する。練習時のちょっとした疑問、調べものには必要十分な必携品。ソニーの小型スピーカーSRS-HG1は練習時の録音確認や、スマートフォンでYOUTUBE音源を確認するときなどに使う。バックに見える幅広の黒いものは折りたたみ譜面カバー。通常サイズの楽譜3面を横に並べられる。譜めくりが難しい曲で使う。


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合奏練習前や本番前にはカルカッシ25の練習曲とオデルマンドリン教本でウォーミングアップ。


この他に合奏用のパート譜やスコアを入れ、もちろん楽器を担ぎ、道楽三昧の楽しい出陣と相成る。


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持ち物検査<仕事編>



年が改まり、気分転換に普段使いの仕事用バッグを新調した。ついでの内容確認の記録備忘。


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現職場は服装他、程々のカジュアルは問題ないので、通勤コーデもほとんどノータイのビジネスカジュアル。バッグもそれに合わせてトートバッグを愛用している。


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今回新調したのは以前記事にしたリネンシャツと同じメーカーのもの。山梨県富士吉田にあるオールドマンズテーラーというアパレルメーカー製。琺瑯製のロゴマークがナイス! 英レッツ社製の手帳は今年のものと前年のもの2冊を持ち歩く。時々前年の手帳を開き、去年の今頃何していたかなと年寄的回顧。ペンケースも小型革製。


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ウェットティッシュ(除菌シート)も忘れずに。車中や出先でサンドイッチなどつまむときに。ウェットティッシュなど何でもいいのだが、パッケージデザインが派手でない無印良品製をチョイス。小さなビニールパウチには頭痛薬、胃腸薬、絆創膏、綿棒他。キーホルダーはティファニー製でプチ自慢(^^;


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パスケースはスペイン:カンペール社製。携帯傘は軽さとコンパクトを追求するアウトドア志向で選択したモンベル製。イヤホンはシュアSE535。職場のフロアでは革靴脱いでサンダル履きになることもあって、靴べらを常時携帯。英老舗アビーホーン社の水牛角製。

派手なバッグやファッションでブランド物を身に着ける趣味は皆無だが、財布にやさしい、ちょっとした小物にこだわるのは悪くないかなあと。…ん?肝心の仕事用書類が…ない。最近は仕事持ち帰りもなく、車中勉強もなく、バッグの中はガラガラなのでした(^^;


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メンデルスゾーン交響曲第1番変ホ長調



仕事始めの1週間が終了。正月明けという気分も希薄。淡々とした今年の始まりだ。週末土曜日。これといった用事もなく一日終える。夜になって食卓テーブルのノートPCを開き、ネットに流れるニュースを眺めながら、こんな盤をドライブにセットした。


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年頭以来の1番推し。今夜はメンデルスゾーン(1809-1847)の交響曲第1番ハ短調。カラヤン&BPOによる全集中の1枚。1972年ベルリン・イエス・キリスト教会での録音。例によってギュンター・ヘルマンスと、彼に加えてクラウス・シャイベが録音技術を担当。まさにカラヤン黄金期の布陣。メンデルスゾーンの1、2番が手元になかったので、それではと物色し、数年前にタワーレコードのワゴンセールで買い求めたもの。

この曲はメンデルスゾーン15歳のときの作品。それ以前に弦楽のための交響曲を12曲作り、そのあとに作った初めての管弦楽交響曲。第1楽章冒頭から古典~初期ロマン派の短調作品がもつ劇的な展開と感情表現が素晴らしい効果をあげている。第2楽章は15歳の少年が作ったものとは思えない深い叙情と歌に満ちていて、今更ながらにメンデルスゾーンの天才ぶりに驚く。第3楽章はメヌエットだが実質的にはスケルツォ。ここでも短調らしい厳しい表情と時々長調に転じたときの大らかな響きのコントラストが素晴らしい。アレグロ・コン・フォーコの指示がある終楽章もロンド形式ではなく、きっちりとソナタ形式で書かれていて、手に汗握る展開だ。中間部におかれたフーガも素晴らしい効果を上げている。

カラヤンの演奏は各パートがもっと渾然一体となった、やや肥大した響きだったように記憶していたのだが、きょう聴いてみるとそんな感じはない。各パートはきっちりと分離し、整ったアンサンブルを聴かせる。よく伸びた低弦群の音がヘッドフォンからしっかりと聴こえてくる。木管群の距離感も適切だ。それでもトータルとしては、細部よりは全体を、縦よりは横を重視した解釈と演奏。テンポ設定も意外にもゆったりとしていて、この曲の若々しい側面はやや控えめ。むしろ成熟した響きを感じさせる演奏だ。


この盤の音源


スコア付き音源。アバドとロンドン響による演奏だそうだ。


フランツ・リスト・ワイマール音楽大学の学生オケによる演奏。ベルリンフィルの教育プログラムの一環として、フィルハーモニーの室内楽ホールで演奏されたときの模様だそうだ。



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シューベルト交響曲第1番ニ長調



新年気分も抜け、本日も業務に精励し、ほぼ定時に退勤。職場を出ると外は5時を過ぎてもまだ少し明るく、日足が伸びつつあること感じる。さて、夜半近くなって音盤タイム。年頭からの第1番推し続く…。今夜はこんな盤を取り出した。


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ロイ・グッドマン(1951-)が指揮するハノーヴァーバンドによるシューベルトの交響曲全集。十数年前、激安ボックスセットの先駆者ブリリアントレーベルから出たもの。原盤は英国ニンバスレーベル。同コンビによる一連のピリオドスタイルの演奏はこの他にもベートーヴェンやシューマンなどが出ていた記憶がある。激安ボックスの宿命でライナーノーツはまったくなく詳細の情報は不明。録音時期はこのコンビが活躍した90年代初頭と思われる。

シューベルの第1番といってもさすがにパッとメロディーは浮かばなかった。実演で取り上げられることも少ないし、全集でもなければ単体で録音される機会も少ないだろう。1813年、シューベルトが16歳のとき作品だそうだ。曲はハイドンやモーツァルトの流れを汲む完全なウィーン古典派の様式。全4楽章30分弱の構成で、ところどころベートーヴェンの影響を感じさせるところや後年のシューベルト作品を思わせる和声などもある。16歳のまだ少年といっていい歳に書かれたとは思えないほどの充実ぶりだ。

第1楽章アダージョの序奏はニ長調トニカ分散音のトゥッティで始まる。華やかな響きで年明けのこの時期に聴くにはまことに相応しい。第2楽章はハイドン風のアンダンテであるが、和声感や曲想はかなりロマンティックに寄っていて、この時代を反映している。第3楽章はメヌエットの指定があるが、少しテンポを上げればそのままベートーヴェン風のスケルツォになりそうな曲想だ。ロイ・グッドマンとハノーヴァーバンドによる演奏は颯爽としていて精気にあふれる。残響豊かな録音と合せて、若々しいこの曲にはピッタリだ。


手持の盤から第1楽章をアップしてみた。


スコア付き音源。全楽章。



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ベートーヴェン交響曲第1番ハ長調



年頭に当たって何気なく始めた第1番シリーズ。きょうはこの第1番を取り出した。


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最後の巨匠ともいわれたクルト・ザンデルリンク(1912-2011)がフィルハーモニア管弦楽団を振ったベートーヴェン交響曲全集。1981年のデジタル録音。手持ちの盤は20世紀が終わる頃、激安ボックスセットで出たときのもの。80年代初頭の録音ということだから、当初のリリースはLPであったはずだが、話題になった記憶がない。全曲が録音されていながらLP時代のリリースは一部にとどまったようで、このCDセットで初めて全容が明らかになったといっていいだろう。手持ちのDiskyCommunication版ボックスセットは、Disk-1に入っている第1番が第3楽章までで終わり、第4楽章はDisk-5へ飛ぶという、廉価ボックスとはいえ少々難有りの編集がいただけないが、その後再発されたセットは6枚組みになり楽章割付も正常化、加えて同時期に録音された序曲類も入って、まともなセットになった。

先ほどから第1番を聴いている。ザンデルリンク68歳の円熟期の録音。音楽は悠々と流れる。音価いっぱいに引き伸ばされるレガートなフレージング、柔らかなアインザッツ。ベートーヴェンの交響曲がもつ熱く劇的なイメージは少ない。こう書くと腑抜けのベートーヴェンと受け取られかねないが、そんなことはない。腕利きが揃うフィルハーモニア管の追従もよく、ゆっくり、ゆったりでありながらアンサンブルの縦の線はきちんと揃い、音楽全体は整然と進行する。90年代以降の新世代の演奏と比べるとオールドファッションの感は否めないが、今となっては貴重なスタイルだ。内田光子がベートーヴェンの協奏曲録音に際し、「ザンデルリングとでなければベートーヴェン録音はありえない」とザンデルリンクとの協演を希望して録音が実現したという(内田光子のベートーヴェンとしては少し前にラトル&ベルリンフィルとの新録音がリリースされた)。ザンデルリングというと70年代初頭のシュターツカペレ・ドレスデンとのブラームスがまず思い出されるが、ブラームスでみせる男性的な表情とはまた違った色合いのベートーヴェンだ。


第1番の第1楽章。手持ちの盤からアップした。冒頭の序奏のテンポに驚く。


ティーレマン&ウィーンフィルによる同曲全楽章。ティーレマン&ウィーンフィルによる同曲全楽章。10年程前の演奏。



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ハイドン交響曲第1番ニ長調



年の初め=最初=第1番に引っ掛け、バッハのBWV第1番でスタートした今年の音盤タイム。きょうは続いてこちらの第1番を取り出した。


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ハイドンの交響曲第1番ニ長調。デニス・ラッセル・デイヴィス指揮シュトゥットガルト室内管による全集中の1枚。初期交響曲として第1番ニ長調・第37番ハ長調・第18番ト長調・第2番ハ長調が収められている。この全集盤は1995年から没後200年のハイドンイヤーとなった2009年にかけて録音が行われたようだが、個々の演奏に関する録音データが付されておらず、この第1番についても録音日時は不明。録音状態は他の演奏同様に明瞭でスッキリした印象。各パートの動きも明快だ。

ハイドン(1732-1809)が交響曲を書き始めた時期、そしてこの第1番がいつ作曲されたかは諸説あるようだが、1757~1761年頃に書かれたということになっているようだ。ハイドン30代後半に当たる時期で、すでに作曲家としての手法は確立していた頃と思われる。実際この第1番の第1楽章などを聴くと、第1番という番号からイメージするような稚拙な印象は全くない。

曲は3楽章形式で、第1楽章プレスト、第2楽章アンダンテ、第3楽章アンダンテから成る。第1楽章は立派なソナタ形式で、主題の提示や短調に転じる副主題の扱い、展開部でのいくつかの耳を引くフレーズなど、まったく飽きさせない。この第1楽章の充実ぶりから、作品そのものが初期のものではなく、もっと後の時代のものではないかとされるのもうなづける。弦楽パートだけによる第2楽章、溌溂とした第3楽章、いずれも生き生きとした明るさをもちながら単調さを感じさせない。15分に満たない規模だが、全楽章を通じて古典的雰囲気を堪能できる佳曲だ。


この盤の音源で第1楽章。手持の盤からアップしたもの。


全楽章の楽譜付き音源。アダム・フィッシャー盤の演奏かと。第1楽章冒頭、序奏なしで第1主題が提示される。短調に転じる第2主題は0分50秒から。提示部は繰り返され、2分16秒から展開部へ。



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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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