カリンニコフ交響曲第1番ト短調



気付けば一月も下旬。このところ比較的暖かい日が続いていたが、ここへきてようやく寒波到来。寒さのピークもあと2週間程だろうか。今のところ風邪を背負い込むことなく日々健全。やがて来る春を待とう。 さて、今夜も第1番シリーズの続き。何となく春を待つ気分に相応しいかと、こんな盤を取り出した。


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病と貧困にうちに34歳で夭折した近代ロシアの作曲家カリンニコフ(1866-1901)の交響曲第1番。この盤については以前何度か記事書いた。彼の残した作品の中では二つの交響曲が有名で、特に第1番は全編美しい旋律にあふれた佳曲として、20世紀初頭には盛んに演奏されたと聞く。実際、手元にある戦前の本、門馬直衛著「音楽の鑑賞」(春秋社1940年刊)にはロシアの抒情派としてカリンニコフの名が挙げられている。その後一旦世の中から忘れられたかのように、録音やコンサートでもメジャーな存在ではなくなったが、2000年代になって入手容易なこのナクソス盤のリリースもあって、再びクラシックファンの人気を呼ぶところとなった。

美し過ぎる○○というフレーズが流行ったが、カリンニコフの交響曲はまさに美し過ぎる交響曲だ。第1楽章冒頭から短調の美しい民族調メロディーがユニゾンで奏される。ロマン巨編の映画音楽を聴いているかのよう。第2主題もウクライナの広大な小麦畑をイメージさせるように雄大で、しかも美しい。展開部ではフーガも駆使して盛り上がる。第2楽章はハープの伴奏を受けて哀愁に満ちた旋律が歌われる。第3楽章のスケルツォは実に立派で、ここでも美しい旋律がシンフォニックに扱われ素晴らしい。終楽章では第1楽章の主題が回顧され、それをモチーフに壮大に展開され明るい大団円となる。

このナクソス盤で演奏しているテオドル・クチャル指揮ウクライナ国立交響楽団は中々の実力派オケだ。ウクライナのオーケストラをいっても知名度は高くないが、歴史のある団体のようだし、ウクライナは多くの演奏家を排出している土地柄でもある。ウクライナ放送局のコンサートホールでの録音とのことで、少々残響が多めだが弦楽器は美しく録られているし、管楽器とのブレンド具合も申し分ない。併録されている交響曲第2番も1番に劣らず美しい。特に第2楽章冒頭、オーボエダモーレの切々とした歌、続く弦楽の美しく息の長い旋律にはグッときてしまう。チャイコフスキーやラフマニノフばかりでないロシアの懐深さを知る第一歩としても、カリンニコフのシンフォニーは好適な曲だ。そして冬の夜、しみじみと聴くに相応しい。


この盤の音源で第2楽章。1分36秒過ぎから出るオーボエによる抒情的な旋律はいつ聴いてもグッときてしまう。



スヴェトラーノフ&N響による全曲。1993年。ぼくにはもっともお馴染みのメンバーが揃っていた時代。第1楽章の美しい第2主題(1分35秒から)を奏でるチェロパートトップには徳永兼一朗氏も。ナクソス盤が出るまで、この曲のほとんど唯一の選択肢といえばスヴェトラーノフ(1928-2002)とソビエト国立響による70年代の録音だった。




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