マイナルディ(Vc)のベートーヴェン
波状攻撃で到来する寒波も今一つ力なく、何となく春の予兆色濃いきょうこの頃。本日も業務に精励。仕事帰りに行きつけのヘアサロンで髪を切ってサッパリ。さて、夜更けの音盤タイム。机まわりの整理をしながら、こんな盤を取り出した。

往年のイタリアの名手エンリコ・マイナルディ(1897-1976)のチェロ、同じくイタリアのカルロ・ゼッキ(1903-1984)のピアノによるベートーヴェンのチェロソナタ集。1955年10月ハノーファ:ベートーヴェンザールでの録音。手持ちの盤は2007年にタワーレコードのヴィンテージ・シリーズとしてリリースされたもの。マイナルディとゼッキの名を知る世代は、おそらくぼくより一世代上の愛好家だろう。1958年にはこの二人のコンビで来日している。60年代に聴かれたベートーヴェンのチェロソナタとしては、フルニエ、ヤニグロあたりで、マイナルディの録音はその一部しかリリースされていなかったという。全曲のリリースとしてはこの盤が初めてらしい。元々ピアニストとしてそのキャリアをスタートさせたカルロ・ゼッキは、むしろ指揮者として名高く、日本のオケにも度々客演した。ぼくも群馬交響楽団を指揮したコンサートで晩年のゼッキの実演に接している。
先ほどから第2番ト短調を聴いている。ベートーヴェンの5曲あるチェロソナタの中で唯一の短調曲。冒頭から6分近く続く瞑想的かつ叙情的な序奏で始まる。この序奏は独立した緩徐楽章と言えるほど充実していて、続くアレグロ・モルトの主部と、第2楽章のロンドとで、3楽章構成といってもいい程だ。その序奏ではマイナルディのやや古風な音色のチェロが悲痛な歌を奏で、その歌に寄り添うようにゼッキの達者なピアノが冴える。以降の楽章もマイナルディとゼッキのコンビは堂々したテンポ設定でかまえが大きく、ときに繰り出す深いアクセントが曲の重量感を強調する。
モノラル録音であることも手伝ってか、総じてオールドファッションといっていい演奏だ。遅めのテンポ、フレーズの終わりには頻繁にやや目立つリタルランドが入る。時として音程の不安定さも耳につき、テクニカルな面からいえば、ヤニグロはおろかフルニエにも及ばないという印象。しかし一方で、何とも懐かしいチェロの音色、ダイナミクスを無理に拡大せず、常に自然体で曲を進めるアプローチなど、現代の演奏からは聴くことが難しい美点も多いよい演奏だ。
この盤の音源で第2番。
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