W・ウォルトン <5つのバガテル>
少しまとめて注文していた楽譜が届いた。その中から今夜はこの曲の楽譜を眺めている。

現代イギリスの作曲家ウィリアム・ウォルトン(1902-1983)がギターのために作った<5つのバガテル>。ウォルトンというと一般の音楽愛好家には、2つの交響曲、ヴァイオリン協奏曲、チェロ協奏曲あたりがよく知られている曲だろうか。この<5つのバガテル>はウォルトンが書いた唯一のギター曲で、英国のギタリスト:ジュリアン・ブリーム(1933-)のために書かれ、弟子のマルコム・アーノルド(1921-2006)50歳の誕生日を記念して贈られた。そして1972年、ブリームによって初演と録音がなされた。
ウォルトンは系譜としてはロマン派に軸足を置きながら、ときに新古典主義や民族的要素なども取り入れた作風で知られる。この<5つのバガテル>も70年代の作品ではあるが、決して難解な現代曲ではなく、明解な調性をもち、ラテン風のリズムや親しみやすいメロディーを織り交ぜ、聴きやすい作風に仕上がっている。同時にギターがもつ物理的な特性や効果的な音響にも十分意が尽くされていて、現代のモダンギターをプレゼンテーションするには好適な曲だ。
とはいっても、こうして楽譜を眺めていると、もちろん古典的な調性感と機能和声からなる19世紀古典派ギターの作品とは次元を異にしているので、初見で簡単に遊ぶのは難しい。「初見で7割弾ける曲がその人が練習すべき曲のレベル」という言葉を何度か見かけたが、その点からいえば、この曲はぼくのレベルを完全に超えている。が、たまにはそういう曲に立ち向かってガツンと打ちのめされるのもいいかなあと、楽器を横に置き、楽譜を眺めている。
楽譜付き音源。全5曲。
上の楽譜付き音源で演奏しているステファニー・ジョーンズによる第5曲。
第3曲「キューバ風に」
この曲にはウォルトン自身による管弦楽編曲版がある。当然だが、ギター版よりずっと色彩的で華やかな印象だ。
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