ヤマハCG-TA



ヤマハから出ている、その名も「トランスアコースティックギター」。そのクラシックギタータイプが数日前に発売となった。


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アンプをつながずに、エフェクトが施された音がギターの表板から直接出てくるというもの。いわゆるエレアコのようにブリッジ部に圧電型のピックアップが仕込まれ、その出力を取り出すのではなく、ピックアップされた信号にエフェクト処理を施したのち、小型のアクチュエータで表板を振動させるという仕組みになっているようだ。ヤマハはこの技術を組み込んだピアノも以前から発売している。

昨年だったか一昨年だったか、スチール弦タイプのものが発売され話題となっていたが、今回はナイロン弦のクラシックギタータイプCG-TAがリリースされた(海外で先行発売されていた様子)。クラシックギタータイプの価格が8万5千円。ギターそのものの仕様(使用材料等)をみると4万円程度のグレードなので、半分は新機構の付加価値のようだ。HPやYOUTUBEにある音源を聴く限り、エフェクトがかかった音は素のクラシックギターからはかなり遠く、いわゆるエレアコに近い感じだろうか。音色命ともいうべきピュアなクラシックギター領域には違和感があるかもしれないが、ライトミュージックでのナイロン弦としては重宝するかもしれない。実際、デッドな畳の四畳半でホールエコーを伴った生音が出てくる感じはどんなものか興味がある。ヤマハ製品ということで、田舎の楽器店でも触れることが出来そうだ。そのうち覗いてみようかと思う。


ヤマハによる紹介動画


今回追加発売されたクラシックギター(ナイロン弦)タイプのデモ。


少々エフェクトかけすぎかな…



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アラールの華麗なる練習曲



週末金曜日。夜半になってギターを取り出し、最近耳にしたこの曲の楽譜を開いて、さらってみた。


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20世紀モダンギターの源流となったフランシスコ・タレガ(1852-1909)が19世紀フランスのヴァイオリニスト:ジャン=デルファン・アラール(1815-1888)作の練習曲の一つを<アラールの華麗なる練習曲>と称してギターに移したもの。アラールはサラサーテの師匠にして演奏・出版・指導の各方面で高い評価を得ていたようだ。20世紀に入り、このタレガの編曲をセゴビアが演奏して大そう広まった。ぼくがアラールの名とこの曲を知ったは高校時代。セゴビアのレコードと古本で手に入れた音楽之友社「世界大音楽全集:ギター名曲集」の楽譜(写真)で親しんだ。

原調のイ長調はギターにもっとも適した調の一つだ。主三和音の基音A・D・Eすべてが、ギターでもっとも力強い音が出せる3本の低音開放弦に当たることがその一つの理由だ。この曲をギターに移すにあたってタレガは、各小節1拍目に低音追加するに程度の編曲に留めている。原曲のアルペジオ風音形がギターにはうってつけで効果的に響き、題名の通り<華麗なる>印象を与える。低音を付加せず、ヴァイオリン用の楽譜をそのままギターで弾いても、ほとんど印象は変らないだろう。

ヴァイオリンでは中々の難曲かもしれないが、ギターでは左手ポジション固定のまま分散和音として弾ける箇所が多い。難しいのは、分散和音のアルペジオにのせて高音のメロディーをレガートなフレージングで歌うことだろう。多くのアマチュアの演奏がアルペジオに意識が集中し、メロディーがボケてしまい、また4分の2拍子のリズムが感じられない演奏が多い。4小節単位のフレージングと4分2拍子の拍節感がこの曲のポイントだろう。そうしないと<華麗なる>感じは出てこない。よく6、7小節目に見られる低音Dの維持が指摘されるが、2ポジションセーハ維持の練習としては意義があるだろうが、この1点に固執してこの曲の演奏を評する必然性はないだろう。 …などど分かったような講釈を唱えながら、さきほど久々に弾いてみたら、ボロボロでありました(^^;


ジェニファー・キムというギタリスト。13歳@2012年。同年にパークニング国際コンクールのジュニア部門で入賞しているようだ。


ジュリアン・ブリームによる演奏。使用楽器はロマニリョス…ですね。



この曲の楽譜
http://ks.imslp.net/files/imglnks/usimg/0/0f/IMSLP165685-SIBLEY1802.15148.e552-39087023636386score.pdf


ヴァイオリン用オリジナル楽譜。この練習曲集の第2曲目。
http://petrucci.mus.auth.gr/imglnks/usimg/f/f6/IMSLP354892-PMLP251731-Al_et_19.pdf



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最近弾いたギター 2019年春@上野入谷方面



過日、都内での仕事が早めに終わったので、その足で久しぶりに某上野・入谷方面のギターショップへ。前回お邪魔したのが昨年6月だから9ヶ月ぶり。そうか、前回はブーシェを弾いたっけと思いつつ、千代田線入谷駅で下車、店に向かった。例によってK社長のフレンドリーな対応もあって、随分たくさんの楽器を拝見したが、そのうちいくつかの印象を備忘を兼ねて記しておこう。


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■メイプル横裏の4本■
H・ハウザー3世 2006年
ハウザ-には珍しいメープルを使った一本。2006年作♯599ということで、ぼくの2006年♯588と近い製作時期。いろいろな楽器を弾いたあとにハウザーを手に取ると、一気に安堵が広がる。均一で十分な鳴り、やや小ぶりで弾きやすいボディー、派手さはないが正に安定のハウザーという印象だ。美しいトラ目の裏板と斑入りの表板は、いかにも素性の良さそうな材料であることを印象付ける。
G・オルディゲス 2018年
人気のゲルハルト・オルディゲス。今回のものはシンプリシオモデルだそうだ。低音レゾナンス(ウルフ)がE付近のドッスン低音を予想していたが、それほどでもなく、シンプリシオの名前からイメージするほど古風なスパニッシュではなかった。それでも軽めのボディ、美しいメイプルの造形、中高音のはじけるような鳴り方など、魅力的な楽器だった。
尾野薫トーレスモデル 2019年
弦長640㎜と645㎜の2本を拝見。ボディサイズはほとんど同一。尾野ギターはどちらかというと、あえて控えめな鳴り方、がっちりとした造形など、やや玄人好みという印象だが、このトーレスモデルは2本ともそうした印象とは対照的で、軽く発音し実によく鳴るギターだった。やや小型のボディーは全音域で反応がよく、軽いタッチでも気持ちよく音が立ち上がる。640㎜のものも音量感はまったく遜色なし。むしろナット幅が50㎜とコンパクトで弾きやすかった。もちろん工作精度は非の打ちどころなく、メープル材の美しさと相まって、今回みた楽器の中ではもっともひかれた1本だった。

尾野薫トーレスモデル2本
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■定番名器3本■
エルナンデス・イ・アグアド 1971年
フレタ・イーホ 1967年
バルベロ・イーホ 1999年
少し強引にこれら3本に共通する要素はと考えるてみると、ちょっと弾くと手元での音量感に乏しく、また弾き始めは何となく鳴りが渋いように感じるものの、少しその音に慣れてくると、そのよく通る高音やタッチに対するリニアリティなど、さすがによくできた楽器だと、ジワジワ感じてくる。以前同じこのフレタを弾いたときは、それほどピンとくるものはなかったが、今回は力強い低音とよく歌う高音が魅力的に感じられた。バルベロも過去あまりいい印象の個体に巡り合っていないのだが、今回のものはアルカンヘルと同構造であることが納得できるもので、透明感あふれる高音は実に美しかった。

■ヤコピ父子■
ガマリエル・ヤコピ(父)1946年
ホセ・ヤコピ(子)1971年と1976年
人気のボサノバ奏者が使っていることから、その方面で人気のヤコピだが、もちろん古くからクラシックギターとしての人気も高い。アルゼンチンに渡る以前の父ガマリエルの作品は珍しく、70年代のホセ・ヤコピ時代の2本と比べると、印象はかなり異なる。この1946年の個体はすでに以後のヤコピの特徴である逆扇形のブレイシングを採用しているものの、重量は軽く、表板も薄く、作りとしては古いスパニッシュそのもの。低音ウルフはF付近。高音はややくぐもった独自な音。これで高音はもう少し華やかに立ち上がるとぼく好みだが、まあそこがヤコピの個性なのだろう。70年代ホセ時代の2本は低音ウルフは少し上がり、楽器もやや重くがっちりとした作りになっている。それでもややくすんだ高音は変わらない。

■その他■
清水優一ロマニリョスモデル 2018年
1980年生まれというから、そろそろ若手というよりは中堅という位置付けになるのかもしれない。数年前からアウラで売り出し中の成長株。このロマニリョスモデルはロマニリョス1世の完コピともいうべきもので、内部構造から造形まで精緻に作り込まれている。低めの低音ウルフと木質系の高音はバランスよく、落ち着いた成熟した鳴り方だ。
カズオ・サトウ 2006年
ドイツに本拠地におくカズオ・サトウ氏の最上位モデル。手に取るとずっしりを重く、おそらく1800グラムを超える程度だろうか。重量に比して表板はやや薄めなのか、低音ウルフは低めでFからE辺りでドッスンとお腹に響く。中高音はやや鳴り過ぎかと思う程、開放的によく鳴っていた。

清水優一ロマニリョスモデル。完コピのロゼッタ。
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…というわけで楽しく小一時間過ごし、例によって御礼代わりに弦を何セットか購入して店をあとにした。久しぶりの入谷巡礼。さて次回の巡礼はいつになりましょうか…


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アニタ・オデイ



桜の便りもボチボチの三月最終週。今年度の仕事は完了見込みとなり、すでに新年度案件に着手してボチボチ進行中。週明け月曜のきょうもそこそこ業務に精励し、いつもの時刻に帰宅した。 さてひと息ついて、チョイ久々にジャズを聴こうかと、こんな盤を取り出した。


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アニア・オデイの代表作<This is ANITA>。白人女性ヴォーカリストの中で人気の高かったアニタ・オデイがスタンダードを歌った盤。1955年モノラル録音。収録曲は以下の通り。

1.ユーアー・ザ・トップ
2.ハニーサックル・ローズ
3.バークリー・スクウェアのナイチンゲール
4.フー・ケアズ
5.言い出しかねて
6.ファイン・アンド・ダンディ
7.アズ・ロング・アズ・アイ・リヴ
8.月とてもなく
9.タイム・アフター・タイム
10.アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームズ
11.ほれっぽいの
12.ビューティフル・ラヴ

ビッグ・バンドの専属ヴォーカリストからソロへという、当時の典型的なキャリアを積んだアニタ・オデイだが、その人生は例によって酒とドラッグ、そしてそこからの再生という辛酸人生だった。ぼくなどは彼女の熱心なファンではないが、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーン、カーメン・マクレイやビリー・ホリデイといった黒人女性ヴォーカルのディープで濃密な歌とは別の味わいを持つ白人女性ヴォーカルも好きで、アニタ・オデイやクリス・コナーなども時々聴きたくなる。この盤でも曲によってビッグバンド、コンボスタイル、それぞれに合ったバックで軽快にスィングしていて心地よい。英語の発音はクリアだし、歌い回しもフェイクし過ぎず、素直かつチャーミングに歌い上げている。ギターのバニー・ケッセルも参加していて、単調になりがちな歌伴のアクセントになっている。定番になるだけあっていいアルバムだ。



この盤の音源で<ビューティフル・ラヴ>


1963年来日時のテレビスタジオでの演奏。バックは宮間利之とニューハード。


同じセッション。コンボバックでお馴染みの<You'd Be So Nice to Come Home To>。



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原典版カルカッシギター教則本



注文していた「原典版カルカッシ完全ギター教則本作品59」が届いた。この三月に現代ギター誌の臨時増刊号として出たもの。監修:原善伸、翻訳:上谷直子。


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ぼくら世代はもちろんのこと、さらに上の世代あるいはぼくらより下の世代も含め、マッテオ・カルカッシ(1792-1853)の教則本でクラシックギターのいろはを習った輩は多いはずだ。昨今は新しいメソッドも使われているようだが、ピアノの世界でバイエルが根強いように、クラシックギターにおいては今でもカルカッシはもっとも広く使われている教則本の一つだろう。一方で、この教則本は古い、単調で退屈だとの声もよく聞く。「…が、果たして時代遅れで単調でつまらないものだろうか」と監修の原氏。

ぼくは高校時代に独習用の教材としてこの教則本に触れた。だがそれも遥か彼方の記憶になっていたが、近年になってあらためてこの教則本に触れて、その素晴らしさに感心した。収録されている練習曲や各調のスケール、カデンツなど、古典的な素養に必須と思われるコンテンツがしっかり含まれている。これを退屈でつまらないと感じるなら、クラシック音楽そのものが退屈でつまらないと言っているに等しいとさえ感じる。もちろん、初級から中級の入り口あたりをカバーする内容であることから、複雑な形式や、凝った和声も出てこない。すべては19世紀初頭の古典音楽のもっとも基礎的な内容が多い。しかし、それらはその時代以降の音楽に触れるにあたっての必須の前提事項とも言えるものだ。若い頃に単調でつまらないと感じたものが、この年齢になって味わい深く響きという加齢要素もあるかもしれないが、今あらためのこの教則本に触れると、まだ電灯もなく、わずかな燈火のもとで市井の子女がこの教則本を開き、今のギターに比べるとずっと小さく華奢な当時の楽器をつま弾いていた情景が目に浮かんでくる。

今回の原善伸監修の「原典版」は、日本にこの教則本が入ってきてから長いこと続いていた誤りや慣習的な編集を見直し、初版と目される1835年にパリで出版されたカルリ版(Paris Carlie Cie)をわかりやすく翻訳したものとのこと。校訂ノートもしっかりと付されていて、信頼に足る版になっている。数年前に故佐藤弘和校訂で出た作品60「25の練習曲」原典版と併せて紐解けば、カルカッシの意図と当時の古典ギター音楽の骨格がよく分かる。2冊セットでギター弾き必携の出版だ。


カルカッシ教則本とセットとなるべき「25の練習曲」から弾いて録音したもの。7曲が連続再生される。弾き損じ多々あるがご容赦のほど(^^;



同教則本の1836年刊マインツ・ショット版はこちら

作品60「25の練習曲」の同版はこちら

カルカッシの主要作品は以下(Boijeコレクションの該当ページ)



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舘野泉:フィンランド・ピアノ名曲集



春分の日。野暮用少々こなした他は終日在宅。午睡から覚めた夕方のひととき、前回の記事に書いたシベリウス:抒情小品集で思い出し、北欧つながりのこんな盤を取り出した。


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以前、一度記事にした舘野泉によるフィンランド・ピアノ名曲集。1991年、舘野泉氏がまだ<左手のピアニスト>になる前、五十代の壮年期に録られたもの。彼の第二の故郷ともいえるフィンランドの作曲家による小品集。原盤はFINLANDIAレーベル。手持ちの盤はワーナークラシックレーベルの廉価盤シリーズの一枚。廉価盤として出てからも、すでに十年以上経過しているが、息長く人気を得ている様子。収録曲は以下の通り。少し長くなるが記しておく。

シベリウス作曲
 練習曲 作品76-2
 樅の木 作品75-5
 即興曲 作品5-5
 ロンドレット 作品40-7
メリカント作曲
 牧歌 作品73-1
 ゆるやかなワルツ
 スケルツォ 作品6-4
メラルティン作曲
 舟歌 作品59-1
 蝶のワルツ 作品22-17
 高みにて 作品98-3
パルムクレン作曲
 とんぼ 作品27-3
 プレリュード=カプリス 作品84-3
 5月の夜 作品27-4
 ヴィネツィアのゴンドラ漕ぎ 作品64-1
 海 作品17-12
クーラ作曲
 羊飼いのポルカ
 結婚行進曲 作品3-2
カスキ作曲
 前奏曲 作品7-1
 トロルのタップダンス 作品15-1
マデトヤ作曲
 ワルツ 作品34-4
 古い記憶 作品31-4
 伝説 作品34-3
ハンニカイネン作曲
 夕べに
 ワルツ 作品17-1
リンコ作曲
 アリア 作品1-4
 田園風メヌエット 作品6-9
 
かなりのクラシック通でも、こと北欧となると見知っている作曲家の名前はぐっと減るだろう。実際、ここのリストした作曲者でシベリウス以外で数名の名を上げられたら、かなりの北欧通だ。まあ、通でもあってもなくてもどうでもいい。北の彼の地にも、歴史的に多くの作曲家がいて佳作を残し、いまこうして極東のド田舎の端っこに住むオッサンを和ませる多くの曲があるという事実だけで、世界は広し、歴史は長しと思う。

演奏者自身によるライナーノーツによれば、ここの収められている多くの曲は民族的ロマン主義のカテゴリーに入り、現在でも多くのフィンランド人に愛されている曲ばかりだそうだ。メリカントはシベリウス以上に親しまれ、クーラの<結婚行進曲>は実際に婚礼の音楽として使われることも多いという。 いずれも数分に満たない小品。淡い抒情、静かな祈り、冬の夜の星のきらめき、深い森に囲まれた鏡のような湖面…そんなイメージが自然とわいてくる。 コアなマニアでなければ、お手軽に北欧風情を楽しめる、一家に一枚的なエヴァ―グリーンだ。


シベリウス <樅の木> 作品75-5


メリカント <牧歌> 作品73-1


舘野泉@2016



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グリーク:抒情小曲集



三寒四温。季節も進んでそろそろ桜開花予想が気になる時期だ。確か去年は異例に早く桜前線が進行したっけ…ボーッとそんなことを思いつつ本日も業務に精励、7時過ぎに帰宅した。ひと息ついて音盤タイム。久しぶりにこの盤を取り出した。


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日本在住のロシア人ピアニスト;イリーナ・メジューエワが弾くグリーグ作曲の抒情小曲集。おなじみ日本コロンビアの廉価盤シリーズ:クレスト1000の一枚。かれこれ十年程前、まだ隣り町のタワーレコードが営業していた頃、給料日後の定期買い出しで手に入れた。

夜更けに聴くピアノ曲として相応しいのはどんな曲だろう。例えばその名の通り、ショパンの夜想曲などは定番だろうが、それと並んでこの抒情小曲集もよい選択肢の一つだ。グリーグの抒情小曲集は全部で66曲からなって、この盤ではその中から20曲が選ばれている。グリーグはこの曲集を管弦楽にも編曲していて、そちらもよく演奏される。どの曲も長くても数分の、まさに小曲集。ほとんどの曲にタイトルが付けられていて、「妖精の踊り」「子守唄」「夜想曲」「郷愁」…といった具合だ。そしてのそのタイトルからイメージする光景が、ピアノの多彩な表現を通して浮かんでくる。ショパンの夜想曲がその名の通り、夜にイメージするロマンティックな世界を再現しているとすれば、このグリーグの抒情小品集は、自然や生活の光景そのものが音で再現されているといったらよいだろうか。中でもアルバムタイトルにもなっている「夜想曲」作品54-4や「森の静けさ」作品71-4などがよく知られる。

メジューエワの演奏は、弱音を主体にして、ガラス細工のような小品の一つ一つをいとおしむかのように丁寧に弾いている。録音は2000年3月。音響が優れていることからしばしば録音セッションにも使われる当地群馬県みどり市の笠懸野文化ホールで行われている。やや近めの音像でクリアに録られた音質も秀逸だ。


メランコリーな<郷愁>作品57-6


<夜想曲>作品54-4と<あなたのおそばに>作品68-3の2曲。


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プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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