バッハ BWV998



中年オヤジ…という自覚でいたが、気付けば今年は前期高齢者となる。もはや老年ジジイだ。毎日ボーッとしているようで、公私ともにそれなりに思い悩むこともあって、呑気な毎日というわけにもいかない。健康寿命もよく見積もってあと20年。以外に厳しかったのねぇ、人生って(^^;…そんなことをぼやきつつ、今夜は久しぶりに楽器を取り出し、この曲の楽譜を広げた。


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バッハのBWV998「プレリュード・フーガ・アレグロ」。
BWV995~1000番それと1006aはリュートまたはそれに類する楽器(ラウテンヴエルク等)のためのものとされ、ギターやリュートの愛好家にとって馴染みのバッハ作品だ。もちろんそれらの作品の真偽をめぐって過去から様々な研究や議論がなされてきたが、新バッハ全集でこの7曲がひとまず認知されることになった。これらの作品を現代の6弦モダンギターで弾くことには議論はあるだろうが、クラシックギター弾きにとって貴重かつ魅力的な作品であることには違いない。中でもBWV998「プレリュード・フーガ・アレグロ」はもっとも好きな曲の一つだ。初めてこの曲に接したのはクラシックギターを始めてまもない高校時代で、例のセゴビアアルバム第1巻に載っていた楽譜だった(セゴビア編では終曲のアレグロは含まれていない)。ギターを始めて少し経ち、朝のNHKFMでバロック音楽に親しむようになった頃で、バッハの作品を自分の手で音に出来ることに感激したものだった。

オリジナルのBWV998は変ホ長調だが、セゴビア編を含めてギター用編曲では多くの場合ニ長調に移され、6弦を二度下げてDに合わせる。これだけでもギターの響きが途端に重厚になり、「やる気」にさせられる。プレリュードはその低弦に支えられて8分の6拍子にのった流れるような旋律が美しい。フーガは出だしこそ気分よく始められるのだが、3声フーガの織り成す文様が広がるにつれ、左手の押弦に苦しむようになる。終曲アレグロは、16分音符のスケールだけを見ているとさほどではないが、8分音バス音の下支えをしっかり出しながらとなると、難易度急上昇となる。この曲に接してやがて半世紀。こうして時々楽譜を広げては苦しみながらも楽しみ、そして最後は挫折の溜息で終わる(^^;


モダンギターによる演奏。サネル・レヂッチというギタリスト。多くの国際コンクールで入賞を果たしているようだ。 動画を再生できません…と出るが、そのあとの下線部をクリックすると、YOUTUBEへ飛んで再生が始まる。


オリジナルの2段譜を見ながらだと、フーガの各声部の動きもよくわかる。


リヒテルのピアノによる演奏。


「音楽と情熱」ベンジャミン・ザンダーによるこの曲のレッスン。指揮者や他の楽器奏者によるマスタークラスは極めて有益だ。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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