チェンバロ&マーラー



好天の週末。久しぶりに隣り町高崎でのコンサートへ。偶然重なり、チェンバロとマーラーのダブルヘッダー。初夏の昼下がりから夜半のひとときまで、充実した一日となった。


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まずは午後3時から始まったチェンバロ奏者・大木和音のリサイタル@高崎シティギャラリーコアホールへ。高崎での大木和音のリサイタルシリーズは今回で17回目。毎年この時期恒例のコンサートとして定着している。一昨年2017年に聴いた際は、ギター弾きにはお馴染みのアルベニスやグラナドス、ファリャなどの近代スペインの作品をチェンバロで弾くという意欲的な試みで印象に残ったものだった。今回はスペイン、フランス、オランダのそれぞれ個性の違う作曲家のオリジナル作品と、後半はハイドンやJ.Sバッハの作品が並んだ。使用楽器はチェンバロ末期の大型楽器クリスチャン・クロール(1770年リヨン)レプリカ。 久しぶりに聴くチェンバロ。その音色にはやはり心惹かれる。ソレールの華やかな響き、フランスものの美しいメロディーと装飾フレーズ、そして王道バッハのフランス組曲と、時間も空間もワープして、三百年の歴史を肌で感じるひとときだった。

午後6時過ぎからは群馬交響楽団第548回定期演奏会へ。今回は1993年から2008年まで群響の音楽監督を務め、同団黄金期を打つ立てた高関健氏が来演。近年も時折客演指揮をするが、彼の登場する演奏会は1900名収容の群馬音楽センターがいつも満員御礼となる。今回は得意のマーラーをメインプログラムとし、その前にはマーラー編バッハ管弦楽組曲(「バッハの管弦楽作品による組曲」)を置くという、いつもながらのマニアックな選曲。取り上げられたマーラー交響曲第7番ホ短調「夜の歌」は以前2007年3月に定期でも演奏され、ぼくもその折に聴いている。

マーラー編のバッハ組曲は20世紀初頭のバッハ像を見る思い。大規模な管弦楽編成、ピアノによる通奏低音も入る。当時の演奏様式を再現するかのように、弦楽群はレガートかつ濃厚な表情付け。ロマン派のバッハかくありなんの演奏だった。休憩をはさんでメインプログラムのマーラー第7交響曲。久々に接するマエストロ高関によるマーラー。相変わらず精緻で明確な造形。バランスよく細部まで見通せるオーケストラコントロールが素晴らしい。いわゆるマーラー的な通俗性がやや後退し、ときに調性感が浮遊するような部分もあって、玄人向きとも言われる第7番だが、こうしてライヴで一つ一つの音が生まれてくる瞬間を目の当たりにしながら聴いていると、やはり引き込まれ、その音響に浸る快感に支配される。第2・4楽章におかれた二つの夜曲では、副題「夜の歌」の由来となった楽章らしく、ホール内の気温が下がったのではないかと感じるような、ひんやりとした空気感に包まれ、また終楽章ではマーラーらしい迫力に満ちた大団円となった。

チェンバロによるバロックから古典派までの瀟洒かつ華麗な響き、そして20世紀に架かるマーラーの管弦楽。三百年の音楽の歴史を一気に俯瞰したような充実した二つのコンサートに満たされ、ようやく昼間の熱気も癒えてひんやりとした夜風の吹く中、帰途についた。


大木和音のチェンバロによるアルベニス「アストゥリアス」



マーラー第7交響曲「夜の歌」第4楽章には夜曲の雰囲気を出すためギターとマンドリンが登場する。アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団による全曲。以下のリンクでは第4楽章から再生。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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