パガニーニ:大ソナタ イ長調
全国的に異例の暑さに見舞われた週末が終わって5月も最終週。きょうも程々に業務に精励。いつもの時刻に帰宅した。ひと息ついて音盤棚を見回し、こんな盤を取り出した。

ジュリアン・ブリーム(1933-)が1970年に録音した「ロマンティック・ギター」と題された1枚。確か1971年高校2年のときに買った記憶がある。タイトル通り以下の初期ロマン派以降のギターオリジナル曲と編曲物が収録されている。
・パガニーニ:グランド・ソナタ イ長調
・メンデルスゾーン:無言歌第6番ト短調Op.19b-6(ヴェネツィアの舟歌第1)
・メンデルスゾーン:カンツォネッタ(弦楽四重奏曲第1番変ホ長調Op.12より)
・シューベルト:メヌエット(ピアノ・ソナタ第18番ト長調D.894,Op.78より)
・タルレガ:ラグリマ
・タルレガ:3つのマズルカ
中でもA面すべてを使って収録されたパガニーニのイ長調のソナタが当時としては聴き物だった。オリジナルはヴァイオリンとギターのために書かれている。古くはマヌエル・ポンセが編曲し、特に第2楽章がよく知られている。ここではブリーム自身の手によりギターパートにヴァイオリンパートの音を足すなどして、全楽章をギターソロにアレンジして弾いている。曲想は古典期から初期ロマン派の様式の従って書かれたオーソドクスなもの。パガニーニらしく明るく慰安的で、深刻さを持った曲ではないが、クラシックギターにとっては貴重なレパートリーだ。
ブリームは艶やかな音色と切れのいい技巧で見事な演奏を展開している。第1楽章提示部の繰り返しをしたあと、展開部ではテクニカルなパッセージを難なくクリアしながら盛り上げていく。解釈としてはパガニーニを初期ロマン派と位置付け、ややロマンティックに寄った演奏とぼく自身は聴いた。他の小品類もほぼ同じ路線の解釈で、テンポのゆれ、ポルタメントやスラーなどのギター的演奏技法もほどほどに繰り出している。当時高校生の頃の記憶では、セゴビアほど酔っ払わず、ジョン・ウィリアムスほど杓子定規ではなく、伊達男の粋な演奏といった感想を持ったものだが、今回あらためて聴いてやはり同じ印象だった。原曲のギターパート譜を見ると分かりやすくシンプルな曲だとは思うのだが、大ソナタらしい構成と起伏で飽かずに聴かせるにはある程度のスピード感が必要で、相当にテクニカルな曲だ。
YOUTUBEに多くの演奏をアップしているドリュー・ヘンダーソンによる8弦ギターを駆使した演奏(ただしこの曲では追加された低音弦2本はほとんど使われていないようだ)で第1楽章。コメント欄にブリームの録音(1962年とあるのは何かの勘違い?)にインスパイアされたと記されている通り、ブリーム編の演奏を忠実に再現している。ノイマン社のマイクを使っているとのことだが、音が歪みっぽいのはニコンD660のせいかしらん…
オリジナルのヴァイオリンとギターによる二重奏。第1楽章。パガニーニのギター作品にあって、この曲は異例とも入れる程ギターが主役。ヴァイオリンのオブリガード付きギター曲という曲想だ。
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