昭和のギター曲集 -16-
かつて親しんだ昭和のギター曲集をたどる記事。もうお仕舞にしようかと思っていたのだが、ふと思い出し、この曲集を取り出した。


阿部保夫編「バッハ名曲選集」ゼンオン・ギター・ライブラリーと称するシリーズ中の1冊。1976年に初版が出て、学生時代の当時すぐに買い求めた記憶がある。「演奏会用」という副題が付されていて、現在バッハのリュート作品として認知されている作品(4つの組曲、プレリュード・フーガ・アレグロ、前奏曲、フーガ:BWV995-1000,1006a)を中心にアマチュア中上級向けの曲が収録されている。
ぼくら以上の世代にとって阿部保夫(1925-1999)の名は日本クラシックギター界の黎明期から隆盛期に渡って活躍した演奏家・指導者としてよく知られた存在だろう。60年代終わりから80年代初頭まで続いたNHK教育TV「ギター教室」の講師としても何度か登場したときの姿も記憶に残っている。
70年代半ば当時、バッハの通称リュート組曲と言われる4つの組曲の楽譜を国内版で手軽に手にしようと思ったとき、例のブルーガー編の曲集が唯一の存在だったが、この「バッハ名曲選集」が出たことで選択肢が増えたと同時に、6弦のモダンギター用に校訂されたという意味でも意義ある出版だったと思う。実際、多く愛好家諸氏に受け入れたようで、初版から四半世紀が過ぎた1999年には阿部保夫氏の子息である阿部恭士氏(1951-)との共著という体裁になり、全面的に見直し再編された版に切り替わって現在でも版を重ねている。
阿部保夫・阿部恭士のHP
http://abe-guitar.com/
以下に阿部恭士による編曲集の楽譜がアップされている。中でも版権が切れたポンセの主要作品が目を引く。阿部恭士氏は70年代にはギター・リュートの両刀使いの演奏家として、その後は指導者として活躍しているようだ。
http://abe-guitar.com/JPN/index.html
これまでの「昭和のギター曲集」の記事はこちら。
BWV1006aのプレリュード。期待の若手:岡本拓也氏の演奏。
フーガBWV1000。シュタウファー系19世紀ギターによる演奏。少々強引なところもあるが、意欲的な演奏。
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