P・トルトゥリエ@1972年東京



一昨日、梅雨空続く七月最初の週末日曜日。薄暮の時刻、物憂い空を眺めながら、こんな盤を取り出した。備忘のために記事に残そう。


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ポール・トルトゥリエ(1914-1990)が1972年に来日した際に録音した盤。ピアノ伴奏:岩崎淑。1972年といえばぼくが高校3年のとき。立川澄人と鳥飼久美子が司会をつとめていたNHKテレビ『世界の音楽』に、ちょうど来日していたトルトゥリエが出演してドヴォルザークのチェロ協奏曲の第3楽章を弾き振りしたのを覚えている。このレコードのライナーノーツはトルトゥリエの弟子;倉田澄子が書いているのだが、その記述によれば、この録音はリサイタルのすぐ翌日に世田谷区民会館で行われたとある。そのためかこの盤はリサイタル当日の熱気をそのまま聴く趣きがあって貴重な録音だ。収録曲は以下の通り。

<A面>
ヴァレンティーニ:チェロ・ソナタ第10番ホ長調 グラーベとアレグロ
ショパン:前奏曲第4番ホ短調
パガニーニ:ロッシーニの主題による変奏曲ニ短調
ドヴォルザーク:ロンド・ト短調
サン=サーンス:白鳥
パガニーニ:無窮動
<B面>
グラナドス:ゴエスカス間奏曲
サラサーテ:サパテアード
ラヴェル:ハバネラ形式の小品
トルトゥリエ:ビシュネット
マスネ:エレジー
フォーレ:夢のあとに
フォーレ:蝶々イ長調
ショパン:序奏と華麗なるポロネーズ・ハ長調

ヴァレンティーニのチェロ・ソナタに始まり、サン=サーンス、フォーレ、グラナドスなどのチェロでよく弾かれる曲、またパガニーニやラヴェル、ドヴォルザークの編曲物など多彩なプログラムが続いている。1914年生まれのトルトゥリエは当時58歳。まだまだ技巧的も万全の頃だった。実際この盤でもテクニカルなピースをいくつか弾いている。元々ヴァイオリンのために書かれたパガニーニの「ロッシーニの主題による変奏曲」と「常動曲」、またサラサーテの「サパティアード」でみせる技巧の切れは素晴らしいの一言だ。一方、フォーレ「夢のあとに」やグラナドス「ゴエスカス間奏曲」での歌ごころも文句なしにいい。録音もややオンマイクながらチェロの音をリアルにとらえていて、少し大きめの音量で聴くとあたかも目前にトルトゥリエがいるかのように聴こえる。この頃伴奏ピアノで名をはせた岩崎淑がまたいいセンスだ。ゴエスカス間奏曲の冒頭、単調なピアノ伴奏にのせてチェロがひとしきり歌ったあと、ピアノのフレーズが出てくるあたりの雰囲気や入り方は絶妙でゾクッとくる。A面を聴き終えたところで一服し、続いてB面を聴けば、一夜のリサイタル気分にひたれる。


この盤の音源でフォーレ<夢のあとに>


同サラサーテの<サパティアード>


トルトゥリエの夫人もチェリストだった。家族で演奏した映像があったので貼っておこう。



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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