シューベルト:ピアノ五重奏曲<ます>
お盆休みも終わり、仕事の気分は今年後半戦に。本日もボチボチ業務に精励。ホドホドに切り上げ、いつもの時刻に帰宅した。夜半の音盤タイム。久しぶりにシューベルトの室内楽でも聴こうかと思い、こんな盤を取り出した。

アルフレッド・ブレンデル(1931-)とクリーヴランド四重奏団による演奏。録音は1976年。かつてこのジャケットは実によく目にした。<ます>のレコードというと必ずといってよいほどこの盤が取り上げられたものだ。当時46歳だったブレンデルを囲んでメンバーのリラックスした表情が印象的だ。現在も同じジャケットで販売されている。クラシックの世界ではオリジナルジャケットの扱いがジャズなどに比べて重視されないことが多い中、異例ともいえる。それだけこのジャケットの印象はよく、演奏内容共々パッケージとしての完成度が高かったのだろう。録音もアナログ最後期の優秀なもので、コントラバスの強調感もなく、コンパクトな室内楽の雰囲気を保ったまま明瞭に録られている。
室内楽の基本形は弦楽四重奏だが、こうしてピアノが加わると俄然音楽が色彩豊かになる。この曲に関していえば、コントラバスが加わっている(Pf・Vn・Va・Vc・Cb)ことよりも、やはりピアノの印象が強い。特にこの曲の明るく穏やかな曲調にはピアノ良い面が表出する。加えて、重くなく渋すぎないブレンデルのピアノと、ジャケットの印象そのままの、メンバーの明るく楽しそうな様子が伝わってくる。特に第3楽章スケルツォと続く有名な第4楽章はその感が強く、聴いていて幸せな気分になってくる。
実はこの曲には想い出がある。ぼくの受験時代、当地ローカルテレビ局は受験シーズンになると大学合格者速報をテレビで流していて、その番組のBGMがこの<ます>だった。第4楽章をエンドレスで繰り返し、それにのせてその日の合格者氏名を読み上げていた。しかし高校3年の3月、アナウンサーはぼくの名前を読み上げず<ます>のメロディがだけが空しく流れた。そんなことがあって、この有名な<ます>の第4楽章は進んで聴く気分にならない曲の一つだった。あれから四十余年。さすがに心痛むほどの感傷はなく、むしろこの陽性の曲調が心地よく響く。まあ、歳も取ってみるものだ。
丁々発止と渡り合う天才達若き日の競演。パールマン、ズッカーマン、デュ・プレ、バレンボイム。コントラバスはメータ。冒頭ドキュメンタリー風のエピソードがあり、15分過ぎから本番。10分15秒過ぎにはチェロを弾くパールマンの姿も。パールマン…チェリストでもいけたのでは?。中ではデュ・プレの存在感が圧倒的。第4楽章28分30秒過ぎからの歌いっぷりなど、まるで後期ロマン派の楽曲を聴いている様。
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