五嶋みどり愛奏曲集



九月がスタートして一週間。今週もボチボチ働いて週末金曜日。夜半近くになってからアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。

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1992年、五嶋みどり二十歳のときの録音。デビューから数年が経ち、すでに実力・名声とも第一級に達していた時期だ。このアルバムにはクライスラーやサラサーテをはじめ、ヴァイオリンのポピュラーな小品が並んでいて、二十歳の彼女の上品かつフレッシュな演奏が楽しめる。
実のところ以前はこうした小品集のたぐいはあまり好まなかった。ヴァイオリンやピアノを聴こう思い立つと、ついつい大規模な協奏曲やシリアスな無伴奏作品を選ぶことが多かった。小品集をまともに聴くようになったのは、四十路を過ぎてからと言ってもいい。

小品の洒脱な味わい、そしてプレイヤーの磨かれた技巧と良質の遊びごころを聴く楽しみ。プレイヤーにセットし、ときにCDのトラック半ばで(LPならA面が終わったところで)休憩をして、一夜のリサイタルを気分で楽しむ風情も中々よい。この盤は<アンコール!ヴァイオリン愛奏曲集>と題されていることからして、五嶋みどりのお気に入りの小品がチョイスされているのだろう。収録曲は以下の通り。

 クライスラー/プニャーニのスタイルによる前奏曲とアレグロ
 サラサーテ/ハバネラ
 パガニーニ/カンタービ
 キュイ/オリエンタル 作品50-9~「万華鏡」から
 ヴァツェヴィッチ/オベレック第2番
 エルガー/愛の挨拶
 クライスラー/ウィーン風小行進曲
 ショスタコーヴィッチ/4つの前奏曲~24の前奏曲作品34
 エルガー/朝の歌
 サラサーテ/序奏とタランテラ 作品43
 ドヴォルザーク/スラヴ舞曲ホ短調 作品72-2
 プロコフィエフ/行進曲~歌劇「3つのオレンジへの恋」から
 チャイコフスキー/メロディ「なつかしい土地の思い出」から
 シマノフスキー/アレトゥーサの泉 作品30-1~「神話」から
 クライスラー/シンコペーション
 グルック/精霊の踊り
 フォーレ/子守歌 作品16
 スクリャービン/エチュード 変ニ長調 作品8-10
 バルトーク/ルーマニア民俗舞曲Sz.56
  I.棒踊り・II.腰帯踊り・III.足踏み踊り・IV.ホーンパイプ踊り・V.ルーマニアのポルカ・VI.速い踊り
 イザイ/子供の夢 作品14

どの曲も自然で快活な歌いまわし、テンポはもたれず、フレッシュさは比類がない。音程が極めて正確でビブラートも控えめなためか、一聴すると線が細いような印象すらあるが、音に力が無いわけではない。G線をフォルテで弾ききるときの音などは迫力も十分だ。収録曲の中でぼくのお気に入りは、クライスラーの「ウィーン小行進曲」。軽快なテンポで印象的な短調のメロディーを奏で、ときに見せる音のタメや脱力など、二十歳とは思えない憎いばかりの歌いまわしだ。録音も素晴らしくよく、ロバート・マクドナルドの伴奏ピアノ共々クリアかつ響き豊かにとらえられている。オーディオセットのグレードに関わらず、左右のスピーカを部屋に中に適切にセッティングすれば、方寸の小部屋にも天上の高いステージの響きが広がる。

彼女は社会貢献にも積極的で、日本のみならず途上国の学校を無給で回るなど、人柄にも好感が持てる。以前サントリーホールで彼女が弾くシベリウスのコンチェルトを聴く機会があった。CDでの印象同様、演奏は素晴らしくピュアで、ステージマナーも謙虚で誠実な印象だった。

手持ちの盤からアップ。クライスラー「ウィーン小行進曲」


同じく、エルガー「朝の歌」



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音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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