モーツァルト 交響曲第25番ト短調K.183



先々回の記事に書いたモーツァルトのレクイエム。その記事を読んだ知人(特にクラシックマニアというわけではない)から、映画「アマデウス」でこの曲を知って、その後CDも手に入れたはずだとメールがあった。確かに「アマデウス」はレクイエムの周知に大きく貢献した。そういえば、あの曲も「アマデウス」によって随分と知られるようになったはずだと思い出し、こんな盤を取り出した。


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モーツァルトの交響曲第25番ト短調K.183。オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団。1956年録音。コシュ・ファン・トゥッテ序曲K.588、アダージョとフーガK.546、それと交響曲の第25番、29番、31番<パリ>というカップリングが実に魅力的な盤だ。

戦後まもなくEMIの名プロデューサー:ウォルター・レッグがロンドンの腕利きミュージシャンを集めて結成したフィルハーモニア管弦楽団。その実力がいかんなく発揮され、各声部が明瞭に分離しかつ音場感を保った秀逸な録音、そしてそれらの特性とクレンペラーの明晰な音楽作りがマッチして、素晴らしい演奏を繰り広げる。オケは対向配置。時代性もあって重厚長大の大編成で、音はどっしりと大地に根を張ったような組立てではあるのだが、鈍重さはまったくない。実際、この25番の第1楽章などは、予想を覆えすほど速めのテンポで突き進み、引き締まった響きと適切なアーティキュレーションで、この曲冒頭の緊張感が表現される。第3楽章メヌエットなどは、もっとゴリゴリやるかと思うと、意外にもしなやかだ。フィルハーモニア管の弦楽パートは実に優秀で、整ったアンサンブルとピッチの揃ったすっきりとした音色で、重量感としなやかさを併せ持つ。その向こうから聴こえてくる木管群のよく通る音色も印象的だ。クレンペラー&フィルハーモニア管のステレオ録音は、モーツァルト、ベートーヴェン、ブラームス、いずれも傾聴に値する名演が並ぶ。


クレンペラー盤の音源。第25番全曲


タカーチ四重奏団創立メンバーのガボール・タカーチ=ナジ(1956-)がシェフを務めるワインバーガー室内管弦楽団による2016年のライヴ。中々の攻め具合!


楽譜付き音源。パッと見の譜ヅラはいたってシンプル。音楽の躍動がそのままグラフィックに描かれているかのようだ。音源は上に貼ったタカーチ=ナジとワインバーガー室内管弦楽団によるもの。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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