チック・コリア・アコースティック・バンド
十月に入って、いよいよ秋たけなわかと思いきや、暑い日が続き、そして台風も接近中。そりゃないぜ、セニョール!…とぼやきつつ、さて今夜はこんな盤を取り出した。

チック・コリア(1941-)率いる三人組のバンド、チック・コリア・アコースティック・バンドによる盤<スタンダード・アンド・モア>。お気に入りの盤につき、過去何度かブログ記事に取り上げた。チック・コリアのピアノ、ジョン・パティトゥッチ(1959-)のベース、デイヴ・ウェックル(1960-)のドラムス。
チック・コリアは60年代終わりにマイルス・デイヴィスのグループに加わり、エレクトリック・ピアノ<フェンダー・ローズ>を駆使して、当時のマイルス・バンドの方向性を強くサポートする存在となった。その後70年代にはリターン・トゥ・フォー・エヴァーを率いて一世を風びすると同時に、クロス・オーヴァー、フュージョンといったその後の潮流をけん引した。チック・コリア・アコースティック・バンドは、1985年に当時の若手技巧派と組んだチック・コリア・エレクトリックバンドの成功を受け、同じメンバーで楽器をアコースティックなものに変えて結成された。この盤はそのデヴュー盤にあたる。1989年録音。手持ちの盤は数年前に廉価盤で出た際に買い求めたもの。収録曲は以下の通り。
1. ベッシーズ・ブルース
2. マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ
3. ソー・イン・ラヴ
4. ソフィスティケイティド・レイディ
5. 枯葉
6. いつか王子様が
7. モーニング・スプライト
8. T.B.C. (ターミナル・バゲッジ・クレイム)
9. サークルズ
10. スペイン
この盤を聴くときはいつもそうだが、何といってもチック・コリアによる斬新なコードワーク、そして二人のリズム隊の圧倒的なテクニックに耳を奪われる。開いた口がふさがらないというのはこういう演奏にこそ相応しい。チック・コリアは70年代初頭にはフリージャズへの傾倒をみせたが、この盤ではフリージャズと聞いてイメージするような難解さはない。確かにコードワークは意表を突く斬新さと驚きに満ちてはいるが、原曲のオーソドクスなコード進行を常に感じさせるもので、ぼくのようなジャズの素人が聴いても違和感はない。聴きなれたスタンダードがひと皮むけて新鮮によみがえる。リズム隊の二人も、基本の4ビートはしっかりキープしながら、アクセントの移動やへミオラを取り交え、拍節感が失われそうになるギリギリのところですり抜けていく。それはチック・コリアのコードワーク同様、フレッシュかつスリリングで、現代のジャズを聴く醍醐味MAXだ。
この盤の音源で<モーニング・スプライト>
同<いつか王子様が>
このトリオによるライヴで<スペイン>
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