バッハ BWV1003
台風が甚大な被害を残して去ったあと、季節は一気に進み、朝晩は幾ばくかの寒ささえ感じるようになったが、今年は太平洋高気圧の威力絶大で、秋の爽やかな気候には程遠い。ギターが冴え冴えと鳴る秋の好日が早く来ないかなあと思いつつ、今夜はこんな楽譜を取り出し、ひとしきりギターと戯れた。

バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ。BWVでいうと1001から1006に当たる。ヴァイオリン愛好家はもちろん、一般の音楽愛好家にも一連の無伴奏作品は人気が高い。ギター用への編曲も断片的には古くから行われてきた。もっとも有名なのはアンドレス・セゴヴィアが編曲した組曲第2番ニ短調の終曲「シャコンヌ」だろう。
しかし、シャコンヌ以外の組曲やソナタの全曲をギターで弾くようになったのは、そう昔のことではない。80年代以降にボチボチ始まり、90年代以降には一般的になってきた、そんな感じではないだろうか。ぼくも80年代半ば頃に無伴奏作品に興味をもち、ベーレンライター版のミニチュアスコアを手に入れて、オリジナル楽譜のままギターで遊んだ記憶がある。近年では国内出版も含めてギター版の楽譜も容易に手に入るようになった。手元には佐々木忠版とコルホーネン版があるが、ギターへの編曲に当たっては編曲者の意図がかなり色濃く出ている。
ギターへの編曲でもっとも大きなポイントは、ギターの和声楽器としての特性を生かして、オリジナルにどのような音を追加するか、あるいはオリジナル尊重で追加を極力避けるべきか、という点にある。ぼく自身は、音の追加はなるべくしない、追加する場合は中声部の和声音追加ではなく最低音のバス追加にする、という方向性が妥当ではないかと感じる。極論すれば、一切追加せずにオリジナルをそのまま弾くのも十分説得力があると思う。少なくても無伴奏ヴァイオリンや無伴奏チェロ作品ではオリジナルに音を加えずとも、妥当なアーティキュレーションとディナーミクで弾けば、ギターでも十分説得力のある演奏が可能だと思う。
…と、大上段に構えたようなことを書いてしまったが、そんな説得力のある演奏など、自称アマチュア中級には出来るわけもない。今夜はソナタ第2番イ短調の第2曲フーガを少しさらったが、次々に繰り出されるフレーズに刺激されながら下手なりに楽しみつつも、バッハの巨大な音世界に唖然とするばかりであった。
無伴奏ヴァイオリンソナタ第3番イ短調から第1曲グラーヴェと第2曲フーガ。8弦ギターを駆使したドリュー・ヘンダーソンによる演奏。第1曲グラーヴェはもう少し幻想的で自在な雰囲気がほしい。 フーガは4分20秒過ぎから。
同曲。一般的な6弦ギターによる演奏。 フーガは3分50秒過ぎから。
第3曲アンダンテ
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■

にほんブログ村
- 関連記事
-
- パク・キュヒ(G)当地来演 (2019/10/26)
- 佐藤正美(G) (2019/10/22)
- バッハ BWV1003 (2019/10/16)
- バリオス「フリア・フロリダ」 (2019/09/16)
- キケ・シネシ (2019/09/03)