テデスコ ギター五重奏曲ヘ長調 Op.143



ギターネタ続く。今夜は久しぶりにこんな盤を取り出した。


201910_Tedesco_Quintet.jpg


カステルヌオーヴォ=テデスコ(1895-1968)作の五重奏曲。アンドレス・セゴビアの盤。1956年のモノラル録音。弦楽はこの盤以外では名前を見たことのないキジアーノ弦楽四重奏団。手持の盤は80年代終わりにセゴビア・コレクション全16巻として出たときのもの。同じテデスコの「プラテロとわたし」から抜粋10曲が併録されている。

濱田滋郎氏の解説によれば、1950年頃セゴビアがLAのミュージク・ギルド・オブ・ロサンジェルスの演奏会に室内楽奏者として出演交渉を受けた際、「テデスコが室内楽作品を書き下ろしてくれたなら」との条件付で承諾、テデスコがそれに応えてこの曲を書き上げたという経緯があるようだ。

全4楽章の充実した室内楽作品。近代的ながら親しみやすい新古典主義的な響きをベースに、民族的要素も組み入れ飽きさせない。前半二つの楽章が特に充実しているだろうか。ソナタ形式の第1楽章は二つの主題とも印象的で美しい。第2主題はふとボロディンの四重奏曲を思わせる。第2楽章は<ゆっくりと悲しげに>という指定に従い、ヴィオラの美しくも物憂げな旋律で始まる。ほどなくギターが入ってくるが、その裏でヴァイオリンが効果的な副旋律を付けていく。ギター入りの室内楽として、ギターと弦楽部のバランスがとてもよく、ギターパートの技巧披露だけという曲にはなっていない。おそらくギターパートを他の楽器に置き換えても聴き映えのする曲になるだろう。1956年録音ということだから、セゴビアはハウザー1世を弾いていた時期だろうか。モノラルながらクリアに録られていて、一聴して往時のセゴビアトーンと分かる。


この盤の音源。初演者セゴビアによる演奏。第1楽章


第1楽章。エウジェニオ・デッラ・キアラというイタリアのギタリスト。今年1月に来日している



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
09 | 2019/10 | 11
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)